まずは名前を覚えさせる
子犬をお迎えしたら、もしくはお迎え前から愛犬の名前を考えている方もいますよね。決めた名前で愛犬を呼び始め、しばらくすると犬自身も覚えていくものですが、できるだけ早く名前を認識させるトレーニングは実は大切なのです。
犬は人間の言葉はわかりません。長く生活を共にしていくことで「ごはん」「さんぽ」「まて」など自分に関係のありそうな単語を聞き取って覚えることはありますが、基本的には人間の声は雑音のひとつで、お迎えしたばかりの子犬なら、名前をまだ認識できていないということも少なくありません。
監修ドッグトレーナーによる補足
最近の研究によると、犬は人間の2~4歳程度の知能を持ち、人間の言葉の単語とイントネーションに反応していることがわかっています。楽しそうな声や、悲しい、怒っている声、呼んでいる声などを聞き分け、日常で何度も出てくる言葉を特に覚えていくそうです。
日常で一番多く出てくる言葉はその子の名前ですよね。楽しそうに何度も呼びかけてあげることで次第に覚えてくれるようになりますよ。
名前を覚えさせる方法
名前を覚えさせることは、犬のしつけの基本中の基本。これができていないとしつけが進められないと言っても過言ではありません。
名前が決まったら、犬のそばに行って“はっきりとわかりやすく一度だけ名前を呼びます。そしておやつをあげたり、優しく撫でてあげましょう。最初のステップはこれで十分です。
これを毎日10回程度くり返します。次第に名前を呼ばれると犬が顔をあげたり自ら寄ってくるようになったら、名前を認識してきたということでこのトレーニングは完了です。
監修ドッグトレーナーによる補足
「名前を呼ぼれたら嬉しいことが起こる」と子犬に認識させることが大切。認識してくると、嬉しいこと、良いことがあると学習して子犬の方から人に寄っていく行動を見せるようになります。
必ず名前=嬉しいことになるよう、根気強く教えてあげましょう。
名前をもっともっと好きにさせる
子犬が自分の名前を認識し始めて反応するようになったら、次のステップへ進みます。これまでは名前を呼び、無条件でおやつをあげたり撫でるなど犬にとっての「ごほうび=いいこと」があるようにしてきました。
ここからは「アイコンタクト」をしっかりと教えるために、名前を呼び、犬が振り向いたらおやつなどのごほうびをあげるようにしましょう。名前に反応して振り返ったらご褒美を与えるをくり返すうちに、名前を呼ばれたら飼い主さんのところまでごほうびを自ら取りに来るようになります。 これができるようになると、「おいで=呼び戻し」のトレーニングにつながります。
名前で振り向くようになったら
子犬が名前を呼ばれて振り向くことになったら次のステップに進みます。次は振り向いて飼い主さんの目を見ることができた時にごほうびを与えます。これがなかなかうまく行かない場合は、なんとなく顔のあたりを見ているだけでもOKとしましょう。そこから徐々に目を見れたらごほうびとステップアップしていきます。
飼い主と愛犬が目を合わせるアイコンタクトは、トレーニングするのにとても大切なことです。アイコンタクトができないと指示を出すのが難しくなりますが、目が合わなくても飼い主さんに注目できるようになれば問題ありません。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬の行動を誘発させる方法の一つに「シェイピング」という方法があります。シェイピングとは、形づくるという意味で、最終的な行動に至るまで、少しずつ段階(スモールステップ)を分けて、段階を達成する度に報酬(ご褒美)を与えるという方法です。少しでも近い行動ができたら、徐々にステップアップして、行動を増やすことで犬は自信をつけていきます。
例えば、アイコンタクトで手を見る⇒上に動いた手を見る⇒目の高さまで手を動かすなど徐々にレベルアップしてみましょう。
ポイントは、犬の行動をよく観察して、タイミングよくご褒美を与えることです。
名前で叱らないで!「ダメ」の上手な伝え方
よく犬を叱る時に「〇〇!イタズラしちゃだめでしょ!」など、名前を呼んでから注意したり、怒り口調で「〇〇!!」と名前自体を叱る言葉として使ってしまう飼い主さんがいるのですが、これはNGです。
これを続けてしまうと、名前に嫌なイメージがついてしまったり、呼ばれて近づくと怒られたという経験から嫌な記憶となり、名前を呼んでも来てくれなくなってしまうのです。
監修ドッグトレーナーによる補足
「名前を呼ばれたら嫌なことが起こる」では、呼ばれたら叱られる、嫌なことが起こると思い込んでしまう恐れがあります。そうなってしまうと、楽しそうな声で名前を呼んだとしても怯えてそばにきてくれなくなる可能性も。
たとえ名前を覚えたとしてもアイコンタクトも取れず、信頼関係を築くことはできなくなってしまいます。トレーニン中は特に名前を呼んで叱ることは避けましょう。
まとめ
子犬をお迎えしたら素敵な名前をつけて、その名前を呼ばれるといいことが起こるんだと覚えてもらうことが第一歩。最初は戸惑うような仕草を見せることがあるかもしれませんが、ゆっくりとくり返すことで名前を認識するようになります。
名前を覚えてもらうことは、これから十数年と続く愛犬との生活を送る上でとても大切なことです。トレーニングの基礎となることなので意識するようにしてくださいね。
名前の呼び方は統一しなければならない?あだ名で呼んだらいけない?と疑問に思う方も多いかと思いますが、まずは正式名をしっかり覚えてもらうことが重要。名前を覚えた後なら、愛称など呼んでも愛犬はしっかりと反応してくれるようになります。
余談ですが、愛称=あだ名が多い犬ほど愛されているなんて言われることも。あくまでもトレーニング中は家族の中でも呼び名は統一して、しっかりと覚えてもらうようにしてくださいね。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬は、長文を理解することは難しいですが、シンプルな言葉は、人間が話す時の感じで理解していると分かっています。また、犬にとって聞き取りやすい母音は「あ(A)、う(U)、お(O)」、反対に聞き取りづらい音は「い(I)、え(E)」と言われています。
子犬に名前を付ける時は、聞き取りやすい「あ(A)、う(U)、お(O)」を使ったり、短い名前にするなども考慮すると、名前を早く覚えてくれるかもしれませんね。