愛犬の保定は動物病院の診療・処置で役立つしつけ!

愛犬の保定は動物病院の診療・処置で役立つしつけ!

保定と聞くと、犬を押さえつけるイメージを抱く方もいらっしゃるかと思いまが、保定は犬ができるだけリラックスした状態で安全に処置ができるように固定する方法です。犬と人の安全のために、普段から保定に慣らしておくことが大切です。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の保定とは?

犬を抱く人

そもそも保定とは?

動物病院で診療や治療を行う際、犬が動かないように抱くことを『保定』といいます。
これは、獣医師の処置中に犬が暴れてしまい、犬はもちろん飼い主や獣医師の怪我を防止するためとても重要なものです。

動物病院のみではなく、自宅で投薬を行ったり爪切りや耳掃除、歯磨きなどの手入れを行う時にも有効なので、自分の愛犬をしっかりと保定できるようにしましょう。

これはよくあるケースですが、動物病院でのみ保定されていると、注射など痛いことをされるという、
「保定」=「嫌なことが起きる」という記憶が定着してしまいます。
ですので、普段から自宅でリラックスして保定できるよう慣らしておきましょう。

保定を慣らすコツ

保定中大人しくしていたら、しっかりと褒めてあげましょう。
最初は慣れないかもしれないので、保定中は優しく声をかけたり、体を撫でてあげます。
また、子犬のころから保定に慣れておくことも大切なので、これから子犬を迎える人は是非、しつけ項目に保定も追加してください。
保定についてはしつけ項目としては見逃されがちですが、予防接種や爪切りなど、保定が役立つケースは意外に多いので、これもしつけとして重要です。

保定の方法

保定の方法に関しては正確な定義がありません。
勘違いしてはいけないのが、暴れる犬に対して力任せに押さえることは保定とは言えないという事。

保定は小型犬から大型犬まで、それぞれの犬の性格や大きさに合わせた保定方法を自分で見つけることが大切です。

誤った保定の方法や、無理やり抑えることにより、犬が脱臼してしまったり最悪骨折など保定が原因で怪我が生じてしまいます。
怪我以外でも、体を強く押さえすぎることにより呼吸困難や体温上昇、パニックを起こす可能性もあります。

動物病院でこのような状況になってしまっては、正しい診断ができなくなります。
犬の安全のみではなく保定者の安全を確保するためにも保定は重要なのです。
無理やり押さえる保定を行ってしまうと嫌がって噛み付くことも考えられます。保定が原因で怪我へと結びついて欲しくないですね。

保定をする人はリラックスして行うようにしましょう。主な保定方法には四つ足でたった状態の『立位保定』、犬を座らせた状態の『犬座位保定』、横たわった状態の『横臥位保定』などがあります。

保定上達法

犬の診察

保定のコツ

保定のポイントとして、保定者は犬の体を自分の体にぴったりとくっつけます。肘や腕、脇を締めて上手に犬の関節を固定します。
保定者はパニックにならず、落ち着いて保定することが大切です。保定者に焦りや恐怖感があると犬に伝わってしまう可能性があります。
犬の状態をしっかりと把握することも重要で、万が一犬の状態が悪くなってしまった場合はすぐに保定を外しましょう。

少し高い場所に登ると大人しくなるわんちゃんも多くいるので、それを利用して高い場所で保定をする方がやり易いケースがあります。
動物病院でも診察台で保定をすることが多いですよね?
ですが、高いところが苦手なわんちゃんもいますので、最初は自宅の絨毯など柔らかくて安全な場所で練習をしましょう。
慣れてきたら徐々に高さを作ったりと工夫してください。
慣れないうちに高い場所で保定の練習を行う際は、急に暴れ出した時に台から飛び降りて怪我をしてしまう可能性もあります。
安全をしっかりと確保した状態で保定の練習に挑んでください。

また、動物病院では高いところがどうしてもダメな場合は正直に獣医師に伝え、防ぐことのできる事故は未然に防ぎましょう。

詳しい保定方法

立位保定

犬の顎に片腕を下から回し、犬を自分の腕と胸に密着させます。犬の顎に腕を回した手で首を固定します。この時、首輪があると便利です。
もう一方の手を犬の下腹部に回し犬を持ち上げて立たせます。犬の顎に合わした腕の肘を床面と水平になるようにすると、犬の頭部が固定できます。
保定者の胸と犬の体に隙間ができないことがポイントです。大型犬など一人での保定が難しい時は、二人で保定をするなど工夫をしましょう。

犬座位保定

犬の顎に下から腕を回して、もう片方の手で犬の腰部を軽く押します。するとおすわりの状態になります。

また、股関節の後ろ側を軽く前方へ押しておすわりをさせることもできます。
おすわりの状態になったら、犬の頭を抱きかかえるように犬の顎に腕を回します。
この時も首輪を掴んでおくと良いので首輪があるとやりやすくなります。もう一方の腕は、犬の腰部に回します。

保定者の腕に犬の体を引き寄せ、立位保定と同様、犬と保定者の間に隙間ができないようにしましょう。ポイントは、顎の下に回した肘をあげると頭部が固定できます。犬が前足を動かしてしまう場合は、前足も保定しましょう。

抱っこ

小型犬や子犬など、抱きかかえる事が可能な犬に適しています。これは、飼い主に抱かれると安心してリラックスするというメリットもあります。
ですが、抱っこに慣れている犬や抱っこが好きな犬でないと保定に失敗する可能性もあるので気をつけてください。

ポイントは、犬の頭が動かないようにどちらかの手で頭を軽く押さえることです。
両後ろ足の間に人差し指を入れて、親指と残りの指で左右の足を挟むようにしっかりと持つことで、安定性が増します。

まとめ

元気な犬

動物病院での診療やお手入れの際の保定は愛犬と飼い主・獣医師の安全のために重要です。
犬のしつけとしては見逃されがちですが、子犬の時からスキンシップを上手に取りながら安心して保定ができるようにしましょう。

成犬からでも保定の練習はできますので、心配な方は獣医師や動物看護師などの専門家に聞いてみましょう。

また、犬の性格や大きさで保定方法も様々なので愛犬にぴったりの保定方法が見つかると良いですね。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 シュナ

    保定という呼び方を実は初めて知りましたが、記事を読んで「あぁ、このことか!」と思いました。うちでは動物病院や天災(地震、雷)のときによく行なっています。どちらも犬が不安を感じるときや軽いパニックを起こしそうな状況のときですが、小さいころから行なっていたのでうちは問題なくできるようになりました。我が家の愛犬の保定のポイントはしっかりと体を密着して少しぎゅっとしてあげることです。昔、動物病院の看護師さんが保定してくれたこともあるのですが、飼い主のほうが安心するようで今ではこちらにくっついてきます。(飼い主としては少し嬉しいです。)小さいころは注射や体温を図る行為をとても怖がっていましたが、今ではとってもいい子で先生にもほめていただけます。ただ、、天災系はうちはとっても苦手でなれることはなさそうです。
  • 投稿者

    女性 Mineko

    実は先日、飼い犬が外耳炎になってしまったので、病院へ連れて行ったばかりでした。うちの愛犬はとにかく病院が大嫌いです!病院へ行くということが分かるようで、連れて行く前は家にいる時からソワソワし始めます。また、病院の前でも尻もちをついて中へ入るのを拒否するのです!まるで人間の子どもが駄々をこねているようで、見ていて笑ってしまいます(笑)。なんとか中へ入ることに成功してもプルプル震えて、とても小さくなってしまいます。診察台では大暴れ!獣医さんからも笑われてしまいます。注射の時はあまりに暴れるので、いつもは大人しい愛犬なのですが、手などを引っ掻かれてしまうので困ります。こういう時にどういう風にしつけをしたら良いのか悩んでいたので、今回記事を読んでみてよかったです。
  • 投稿者

    30代 女性 すず

    犬の基本的な骨格を知っておかないといけません。以前動物病院の獣医さんに聞いた話なのですが、トイプードルはとても足の骨が細く割りばしくらいらしいのですが、飼い主さんがシャンプー後のドライに夢中で、スリッカーブラシでとかしながらドライヤーをあてていたところ、足を抑え過ぎてぽきっと折れてしまったことがあるんだとか。嫌がって足を隠そうとしていたのに、飼い主さんが行けない方向に引っ張ってしまったそうなのです。それを聞いて、うちの犬も小型犬なので気を付けようと思いました。
    犬が暴れたときなどに、力任せに犬を押さえつけてしまうと、もしかしたら怪我をさせてしまうかもしれませんし。動物病院で検温や注射の際には、看護師さんや獣医さんが犬をきっちりおさえてくれて関心していたのです。保定、きちんと私もできるようになりたいです。
  • 投稿者

    20代 女性 シーナ

    記事のタイトルを見て「保定?」と思いましたが、内容を見て納得しました。動物病院で看護師さんが抑えてくださるあれですね!自宅でやる必要ある?と思いましたが、確かに保定されるときって大体注射されたり犬にとって嫌なことされる時が多いと思うので慣らしておいて無駄に緊張しすぎないようにしてあげるのもいいかもしれませんね。書かれているようにやってみましたが、不器用なのであっさり逃げられてしまいました。。。でも実家で飼っていたゴールデンを病院に連れて行ったとき、なじみの先生だったので私が抑えたりしてましたね。横から抱きかかえて暴れないようにしてましたがあれは保定に近いかも。やっぱり大型犬の方がやりやすい気がします。
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