犬が威嚇するのはどんな時?
遊びの延長
犬が遊んでいる時に、興奮した気持ちを抑えられず威嚇のような行動をとることがあります。お気に入りのおもちゃを取られると感じた時に、相手を威嚇して遠ざけようとする犬もいます。
これは子犬期の過ごし方が原因となっているかもしれません。社会性を身につける前に、兄弟や親犬と離れた場合、遊び方の加減がわからないまま育ってしまうことがあります。社会性を養うためには、子犬の頃からさまざまな経験をさせてあげることが重要です。
家族を守るため
犬は仲間意識が強い動物のため、家族に危険が及びそうな時に威嚇をすることがあります。忠誠心から飼い主を守ろうとする性格は番犬向きとも言えますが、過剰な警戒心は周囲にケガをさせる恐れもあるので注意しましょう。
母犬も、周囲から子犬を守るために威嚇行動を取ります。これは母性から来る行動で、妊娠や出産による一時的なホルモンバランスの変化が原因と考えられています。
恐怖心を感じている
恐怖心から犬が威嚇行動をとる場合があります。慣れない環境にストレスを感じている、追い詰められて逃げ場がないといったことが原因と考えられます。また、動物病院で治療を受ける際、威嚇行動をとる犬もいます。周囲に攻撃的になることで、その場から逃れたいとの意思表示をしているのかもしれません。
縄張りの主張
犬はもともと縄張り意識が強い動物です。自分の縄張りに知らない犬が入ることを嫌がり、威嚇によって追い出そうとする傾向があります。順位争いや力比べなどの行為は、特にオス犬同士に多く見られる特徴です。メスを取られると感じた時や、自分の食べ物を奪われそうになった時にも攻撃的になります。
体に痛みがある
ケガや病気によって痛みが生じると、犬が興奮して攻撃的になることがあります。相手を威嚇することで、痛みがある箇所を触られるのを避けるためです。体の一部だけ触るのを嫌がる場合はケガや病気を疑いましょう。犬は言葉で痛みを表現できません。日頃から様子を観察し、必要に応じて速やかに動物病院を受診して下さい。
犬が威嚇している時の行動やポーズ
1.体をこわばらせる
犬が緊張や興奮している時には、体に力が入ります。体を硬直させ相手をじっと睨みつけるのは、「これ以上近寄るな」と威嚇するためのポーズです。体の前の方に重心をかけるのは、強気の現れだと考えられています。
恐怖心が強い時にも、頭を低くして相手を見据える傾向があります。この場合、尻尾は股の下に引き入れたような状態になっています。恐怖の限界を超えると突如噛む可能性もあります。怯えているように見えても、安易に手は出さないようにしましょう。
2.吠える
犬は、相手を威嚇するために吠えることがあります。警戒心の強さによって吠え方は異なります。普段の鳴き声より少し大きめの音量で数回に分けて吠える時は、危機感は低く、遠くに見える相手を念のため威嚇している状態です。連続して吠える場合は、すぐ近くに危機を迫っていると感じていて、警戒心が高まっている状態だと考えられます。
3.唸る
犬が「ウーッ」「グゥーッ」と唸るのは、威嚇していることのアピールです。基本的には犬自身も争いを避けたいため、逃げるか戦うか葛藤しながら唸り声を出します。
低い音程の唸り声が一定のペースで続いている状態は、強い警戒心の現れです。吠えるのと合わせてこの唸り声が聞かれた場合は、攻撃をする前の警告とも捉えられます。
4.歯を剥き出す
犬が歯を剥き出すのも、典型的な威嚇のポーズです。いつでも噛みつける、攻撃する意志があることを示しています。鼻にシワを寄せて歯を剥き出し、前傾姿勢になっている時は、戦う自信がある状態と考えられるので安易に近づくのは危険です。
5.噛む
犬が相手を威嚇するために、噛みつくことがあります。空気を噛むような「空噛み」の素振りも威嚇行動のひとつです。過去にはドッグランで起きた咬傷事故により、被害にあった犬が死亡したケースもあるようです。噛む強さによっては大きなケガや事故に繋がるので注意しましょう。
犬が威嚇している時の対処法
原因を取り除く
犬が威嚇する原因を取り除くことが大切です。散歩中に他の犬に威嚇してしまう場合は、飼い主が間に入って視界を遮る、音を鳴らして気をそらすなどの工夫をしましょう。
来客やチャイムの音に反応して吠える場合は、部屋を移動させる、安心できるスペースを確保することも効果的です。犬が興奮している理由を見極め、それぞれに合った対処法を考えましょう。
落ち着いて対応する
犬が威嚇行動を取った時、飼い主が焦ってしまうと、気持ちが伝わって余計興奮する場合があります。まずは飼い主が気持ちを落ち着かせることが大切です。
犬に対しては「マテ」「フセ」などの指示を出し、興奮が収まるのを待ちましょう。周囲に飛びかかることを防ぐためにも、散歩の際はリードを短めに持っておくと安心です。
無視する
やめさせたい犬の行動に対しては、無視するのもひとつの方法です。飼い主に威嚇して吠えるのは、反応してもらうための行動とも考えられます。威嚇行為に飼い主が応えると、犬が「吠えれば自分の思い通りになる」と勘違いする可能性があります。
大きな声やオーバーなリアクションも、犬から見ると飼い主が遊んでくれている、構ってくれているように感じているかもしれません。望ましくない行動は無視し、好ましい行動は褒めるなどメリハリのある対応ができるとよいですね。
犬の威嚇を抑えられるしつけの方法
飼い主の指示を聞けるように、日頃から信頼関係を築くことを意識しましょう。怒鳴ったり叩いたりすると、犬が恐怖心を持ってますます攻撃的になる可能性があります。犬の長所を伸ばすしつけを心がけましょう。
犬が好き勝手に行動しないように、制御できる状態を維持することもポイントです。散歩の時は隣を寄り添って歩くリーダーウォークをしつけておくとよいでしょう。自分だけではしつけに不安がある場合、ドッグトレーナーなどプロに相談し、問題行動を改善するトレーニングを行うことも方法のひとつです。
まとめ
犬が威嚇している状態の時には、体のポーズや鳴き声にさまざまな特徴があるようです。威嚇行動の原因によって対処法も異なるので、犬の様子をしっかりと観察することが大切になります。思わぬケガや事故に繋げないためにも、犬の気持ちを汲み取って適切な対処ができるとよいですね。
ユーザーのコメント
20代 女性 小夏
犬同士のおもちゃの取り合いでも、人間に取られそうなときも威嚇します。
おもちゃだけは譲れないみたいですね〜
そういうときも落ち着くまでおもちゃは取らずに、体をなでなでして落ち着いてから声をかけて
おもちゃ頂戴っていうとすんなり渡してくれたりするんですよね〜
きっと急に取られるから「なに!?!?」ってびっくりして威嚇してしまうんでしょうね〜
30代 女性 もこじ
50代以上 女性 フーガ
我が家の犬たちは、「触らないで」に当てはまると思います。
飼い主に向かって威嚇なんてと思っていましたが、意味があることだとわかって
飼い主のほうが感情的になり反省しています。
50代以上 女性 匿名
取り上げようとすると、唸ります。
これと交換してと、おやつをあげると止めてくれます!
30代 女性 k.saito
これまで、とくに大きな病気も気になるところもそんなになく、無駄吠えはしないし、外に連れて言っても本当にいい子だね〜と言われるくらいです。
しいて言えばとにかく我が強くて、嫌なことにたいしては、歯をむき出して唸ることがたまに、ありますが。
それが、最近回数や種類が多くなり、、、
・服を着せる(小さい頃からなので、もう着せていません)
・ハーネスも嫌がりますが、これしないとお散歩できないよーと頑張ってつけます。帰ってきてから、はずすのにも唸ります。
・目ヤニを取ったり、顔を拭くと唸って噛みつこうとする。
・怒られたときに、逆ギレをして、歯をむき出してくる
・たまに、吐いてしまうときに、それを吐いた瞬間に食べるので、止めようとすると噛みつこうとしてくる
などが主で今まで普通にしていたことにもたまに唸るようになって、噛みつこうとして、最近では本当に噛んできます。
悪いことをしたと思ってはいるのか、すぐにゲージに逃げますが、話しかけるとゲージの中でも唸ってます。
しばらくして、仲直りしようか〜とオヤツやゲージから、出すと何もなかったようにはなるのですが、、
何か伝えたいことがあるのかななど思うのですが、
わからなくて、色々探っています。
ちなみに、小さい頃から、言ってることはある程度わかるようですが、伝えてくることがわかりづらく、わかってあげられていないのかなとも思います。
40代 女性 SUSU
その頃は、記事のまとめにあったような飼い主が犬のリーダーにならなければいけないといったリーダーシップ論がまさに全盛の時で、この論理に従って犬を叱る時はマズルをつかんだり仰向けにさせたりといったことをしつけ教室でも行われていました。威嚇に悩んでいる飼い主さんの多くがとても真面目にしつけに取り組んでおり、こんなに頑張っているのにどうしてうまくいかないんだろう?という思いを持ったのを覚えています。
その後、自分が犬のカーミングシグナルを勉強した際に、威嚇というのは犬にとっての不快のサイン、止めてほしい、これ以上近づかないで欲しいというカーミングシグナルの1つではあるが、かなり強めのシグナルだったのだと気がつきました。威嚇というシグナルを出す前にもっとたくさんのシグナルを出していると思います。のけ反る、横を向く、白目をむく、尻尾を左に振るなど、状況によって様々だと思いますが、どれも不快のシグナルです。このシグナルで気づいてもらえない時に、もう一歩進んだ威嚇というシグナルになり、これでも通じないとなった場合に最終手段として噛むという行為に至ってしまうと思います。威嚇されると飼い主さんも一瞬ひるんでしまうため、このシグナルが有効なんだと犬の方も認識してしまうことになり、ワンコの性格によっては、次回からはいきなり威嚇というシグナルを出してしまうこともあるのだと思います。これを止めさせる為に、リーダー論を使うことは非常にリスクが高いと思われます。嫌だという意思表示に対して、言うことを聞かなければいけないと教えることでもあり、威嚇でもダメなんだと認識してしまうと最後の噛むという手段しか残されていないことになってしまいます。ワンコの性格によっては、意思を伝えることを諦めてしまい、言うことを聞くようになるかもしれません。しつけとしては一見、成功したように見えるかもしれませんが、ワンコの心を考えると、自尊心や飼い主さんに対しての信頼は全くなくなってしまうのではないかと非常に不安になります。
我が家では基本的に嫌がることはしない、これをモットーにしています。ご飯の際に近寄ると威嚇するのであれば近寄りません。自分に置き換えて考えても落ち着かないし嫌だろうなと思うからです。
耳掃除や歯磨きをした際に嫌がった場合にはそこで止めるようにしています。またタイミングを見て続きをすればいいことであり、ワンコの為になるからといって、嫌がるのを無理強いして終わらせても次回からその道具を見ただけで逃げるようになり逆効果です。それでも無理してやろうとすると威嚇というシグナルにまで進んでしまいます。機嫌が良さそうな時に少し進めて、嫌な印象を持たせないところで止めるようにしています。
嫌な印象を持たせないこと、嫌だという意思表示を聞いてもらえたという想いは自分の敵ではない、味方でいてくれるという信頼にも繋がると思うのです。
威嚇自体が悪いことだとは思っていません。ちゃんとしたカーミングシグナルの1つです。でもここまでする前に分かってあげられるといいなと思っています。
20代 女性 ゆず
何が言いたいかというと、犬が威嚇するのにはそれなりの理由があるということです。その原因が、ストレスであると分かったならその原因を取り除いてあげてください。
また、最初のしつけの段階で甘やかし過ぎると我儘になってしまうのでダメなことはダメだと早いうちからしっかり教え込みましょう。ただかまって欲しいから威嚇するというケースもあります。そういう時は放置するのが得策だと思います。