犬の僧帽弁膜症について わんちゃんと共に向き合う病気

【獣医師監修】犬の僧帽弁膜症について わんちゃんと共に向き合う病気

愛犬が「僧帽弁膜症」という心臓病だと告げられると、びっくりするでしょう。この病気は一生涯薬を飲み続けなければいけなくなり、いつお別れになるかもわかりません。大切にケアをすれば1日でも長く一緒にいることができます。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の僧帽弁膜症とは

ハートの彫像と犬

獣医師や犬の病気関連本によって呼び名が異なります。「僧帽弁膜閉鎖不全」「僧帽弁膜不全症」などと呼ばれていますが、全て同一の心臓病です。筆者の愛犬の獣医師は「僧帽弁膜症」と話してくださいました。

心臓の中で血液の逆流を防ぐために開閉している弁が変形したり、つなぎ目が切れて弁が機能しなくなったり、弁そのものが何らかの異常で動きが低下していく病気です。

弁の動きが悪くなるために、血液の逆流が起きて心臓音にも雑音が入るようになります。この病気については、完治することはなく一生涯薬を飲み続けてできるだけ症状の進行を抑える治療になります。根本的に改善することは困難なので症状にあわせて投薬内容が変わります。

僧帽弁膜症の症状として

老犬に多いと言われていますが、筆者の愛犬(ロングコートチワワ)は7歳のときにフィラリア予防薬の事前検査の心音確認で「雑音が入る」ということで、精密検査を行いわかりました。人間の年齢では44歳相当の年齢です。

はっきりと病名がわかる前から「ゼーゼーと苦しそうな咳をする」ことが気になる症状で、フィラリアのお薬をもらう時期でもあったので、検査のときに相談しようと考えていました。定期検診を受けている愛犬でも、見つかるのが遅い場合があります。

検査方法

獣医師によって、検査する内容が異なりますが、以下のことを最低限行います。

  • 心臓音のチェック
  • エコー検査
  • 血液検査
  • レントゲン
  • 心電図

筆者の愛犬は、心音の雑音チェックとエコー検査のみで筆者も心音を聞かせてもらいました。確かに違和感を抱く音でした。

犬の僧帽弁膜症への対応方法

獣医師と犬

「僧帽弁膜症」と判断されたその日から、投薬開始になります。手術で治療という病院もまれにありますが、ほとんどの病院では投薬での治療を行っています。

1日も欠かさずにお薬を飲ませていれば、1日でも長く一緒に愛犬と過ごすことはできます。だから、諦めないでいつかくるお別れの日まで続けてほしいのです。

弁膜の衰えを遅くする薬を飲ませる

「僧帽弁膜症」は心臓の弁が次第に機能しなくなる病気ですので、機能低下を少しでも伸ばす薬を飲ませることになります。定期的に診察を受けてお薬を頂きますが、症状の進行度によっては変更がありますから、必ず月に1度の診察は欠かせません。

長期にわたって診察を受けていると、症状次第でお薬の変更は行われますが、薬が合わない場合もありますので、愛犬の様子がおかしい場合は、なるべく早く獣医師に相談しましょう。

うちの愛犬も、一度変更を行いましたが咳き込みがひどくなったので、元の薬に戻しています。

心臓病用のフードへの変更

ふだんのフードのままでよいという獣医師の方もいらっしゃいますが、なるべく心臓への負担軽減のために、心臓病用フードへの切替えをする方が延命につながります。

心臓病用フードは一般のドッグフードより減塩されているので、心臓への負担は減ると言われています。フードは、動物病院で購入可能で、ペットショップで売られているものより良質です。

メーカーによっては、小型犬には粒の大きさが食べづらいものがありますが、我が家では、少し包丁で刻んでやって与えていました。

水分量の調整

水分の摂取量にも制限が出され、体重から我が愛犬で1日の水分量は290ccの制限を受けました。水分を取ることは大切ですが、水分を取る血液内の水分が増えるので、血流を早くしてしまいます。

血流速度が早くなると心臓への血液量が増えるため、心臓への負担が増えてしまうことになります。摂取量は獣医師の指示に従って、与えてあげてください。

肥満にさせない

今までおやつを与えていた子や、運動量の少ない子で既に肥満体になっている子は、薬の量も増えますが、太っている分心臓からの血液を送り出す負担が大きくなります。我が愛犬(ロングコートチワワ)で治療開始時、4.6Kgの体重でした。

獣医師から真っ先に言われたことは、「少しずつでいいので、4.2Kgまで落としてください」と指導がありました。おやつや味付けしていないお肉を与えていたせいもあったので、延命のためということで、運動でではなく、専用フードしか与えないということで、理想体重に近づけました。

激しい運動はさせない。シャンプーも頻度を落とす

既に発症している愛犬は、走るとすぐに特有の咳き込みをするので、極力走らせる運動や、お散歩は控えめにします。シャンプーも意外と体への負担は大きいので、頻繁にすることは避けて、体調を見ながらにすることです。

もし、かかりつけの動物病院でトリミングサロンを併設しているところなら、カルテを見ながら、その子の体調を見て短時間で済むようにしてくれるので、筆者はこちらを利用しました。

異常なふらつきなどが出てきたときはすぐに連絡を!

元気のない犬

いくら薬で延命処置をしていても、薬での延命にも限界があります。投薬開始から3年がすぎて、10歳になった日のことでした。

筆者の愛犬が天国に行く前日、おすわりをしているのにフラフラと落ち着きがなく、目がうつろでフードも食べなくなりました。

翌日はやはりフラフラした歩き方でおすわりをするのもつらそうでした。動物病院へ連絡するべきかどうか考えていたとき、バタンと倒れたので、動物病院に連絡を入れてすぐに連れて行きました。
あと500mで動物病院へ着くというところで、発作らしきひきつけを起こして、泡を吹き出して動かなくなりました。

一応、病院で診ていただきましたが、既に天国に旅立った後でした。

異常なふらつきなどは、もう心臓そのものが限界にきていたという証拠で多少の延命処置はできるものの、1日若しくは半日も持たなかったかもしれないというのが、獣医師の見解でした。

様子が変と気がつけば1日でもいいからという飼い主の気持ちは大切ですから、すぐに連絡を入れて、獣医師からの指示を頂いてください。

犬が僧帽弁膜症と判断されてもしてはいけないこと

薬の匂いを嗅いでいる犬

「僧帽弁膜症」は二度と健康な体に戻ることのできない完治不可の病気です。余った薬と今までの診察のお礼に行ったときに、かかりつけの獣医師から「よく3年間、定期的に診察に来てくれて、お薬をきちんと飲んでくれていた良い子ですね。

中にはひどい飼い主もいて、我々も困るんです」とのことで、お話を伺いました。病気について説明をして、一生薬を飲むことで延命できてふだん通りに生活ができると説明した途端、「もう殺処分してください。

もう治らないんでしょ?」と置き去りにしていく飼い主、病気のことを理解してくれたと思ったのに投薬をしていなかった飼い主で発作を起こしてから連れてくる飼い主など、大勢いらっしゃると聞きました。

「僧帽弁膜症」の薬は無保険だと約1万円、フードも病院での購入でも約7000円前後します。金銭面の問題もありますが、飼い主さんの倫理観に問題があるともいえます。「僧帽弁膜症」と判断されても、投薬を必ずしてその子の心臓の弁膜が耐えてくれれば、寿命を全うすることもできます。

まとめ

横になっている犬

犬の心臓関係の病気は、まだまだ研究が遅れている部分はあります。「僧帽弁膜症」も突然のことで、戸惑いましたが、寿命が途切れてしまうその日までしっかりとお世話をしてきました。延命治療になりますが、どうか投薬などを忘れずにいずれ来るお別れの日までかわいがってあげてください。

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