シニア犬と暮らすということ【ワンコも必ず老いていく】

シニア犬と暮らすということ【ワンコも必ず老いていく】

私は子犬よりもシニア犬のほうが可愛いと思います。可愛いというより愛おしいという気持ちの方が強いです。飼い主さんとその子が生きてきた時間がそれがこの子達の全てだからです。

お気に入り登録
SupervisorImage

記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

シニア犬

老柴犬

子犬が可愛いのは、当たり前です。
子犬の成長をみるのは本当に楽しい事です。
でも子犬時代はあっという間に過ぎ、7歳を過ぎればシニア犬の仲間入りをします。
犬の平均寿命は12歳〜16歳とすれば半分はシニアという事になります。

老いるという事

誰よりも早く走った子も、飼い主さんを引っ張って散歩していた子も、いつかは必ず年を取り飼い主さんよりも歩みが遅くなります。
確かに元気だった子が老いる姿は切ない気持ちになります。でも私はそんな姿が愛しくて仕方ありません。
今我が家にも15歳の老犬がいます。
誰よりも走るのが速くて、サッカーボールが大好きで、じっとしていることができなかった甘えん坊が、今は寝てる時間が増え一日中寝ています。耳も遠くなり、呼んでも気がつかない事もよくあります。
目も悪くなり、かくれんぼが好きだったのに暗い所だと見えないのか目の前にいても気がつかず探しています。
白髪も増え、まつ毛まで真っ白になっています。いつも時間はゆっくりと流れ、ちょっと早くなるのはご飯の時だけです。それは若い時と変わらず、むしろ若い時よりも食への欲求が強くなります。お散歩もゆっくりです。でも、震える足で一生懸命歩く姿が私は大好きです。
「ガンバーれ。ガンバーれ。」
と独り言を言いながらいつもお散歩しています。
面白いのは子犬の頃よりもずっと頑固でワガママになります。我が家の愛犬だけかもしれませんが、それがまた可愛いところでもあります。
子犬のころよりも、今の姿がずっと続くといいなと寝顔をみながらいつも思っています。

介護や病気

確かに介護や病気になった時は大変です。
失禁したり、時にはうんちも間に合わなくて布団でしてしまったり、ご飯もうまく食べられなかったり、歩くのも困難な時は支えてあげないといけない時もあります。 ずっとかがんでいる姿勢は腰痛の原因となり腰痛が持病になりました。
それに病気になるとお金もかかります。
お薬代や介護用品。治療費。汚してしまう事が多くなるのでほぼ毎日洗濯しています。
動物を飼うということは、綺麗事では済まない事もあります。
こんなに愛おしいと思っているのに、仕事で疲れて帰ってきて、汚れた布団を見るとイライラして怒ってしまい自己嫌悪になることもしょっちゅうです。
でも落ち込んでる時には必ず横にきて大丈夫?って顔で横にいてくれるこの子が心から愛おしく大切な存在です。

最後に

コーギー

子犬子猫の成長はあっという間です。それよりも老いてからの時間の方が長く続きます。
これからペットを飼いたいという人も考えてほしい事があります。
可愛かった子も必ず老います。
その時老いた子を愛おしいと思えますか?

  • 部屋を綺麗にしてもすぐ汚してしまう。
  • 洗濯したばかりの布団でおしっこやウンチをしてしまう事もあります。
  • 時間がないときに限って散歩で歩かず、かがんで体を支えてあげなければいけません。
  • 認知症になると夜鳴きがひどくなり眠れなくなることもあります。
  • 綺麗にしても毛の艶もなくなり白い毛が増え、ケアしていても口臭がきつくなることがあります。
  • 治療費や薬代は増え、予定外の出費が増えます。
  • 病気で通院しなくてはいけなくなり、仕事をしている場合、休んだり遅刻したりする事も増えます。
  • 一匹で留守番も難しくなり、出掛ける時間も制限されます。自分の時間も持てなくなります。
  • いつかはお別れの時がきます。悲しい最後の瞬間を見送る覚悟がいります。

それでも犬と暮らしていけますか。

それが出来ないと思うなら犬を飼う事は諦めて下さい。ペットを飼うということは、その子の全てを最後まで受け入れることです。
最後の最後まで愛してあげてほしいと思います。犬は最後の最後まで私達飼い主を愛してくれ、癒しを与えてくれます。
「今まで私達に尽くして癒しや楽しさを与えてくれたんだから、歳をとって介護するのは当たり前。というか介護させてもらっていると思ってる。」
と以前友人がいっていました。
今まで無償の愛を注いでくれた愛犬の最後を看取る事は私達飼い主の義務だと思います。

監修獣医師による補足

病気になったから捨てられたのだろうと思われる動物が病院の前に置き去りにされていた経験が私自身にもありますし、同じ理由で飼育放棄された犬、猫の話を保護団体から聞くことがあります。この記事に書かれているような覚悟を持って犬を飼い始め、最後まで愛情を持って飼い主の責任を全うすることがもっと当たり前のことになって欲しい、と思います。

ペットの介護も、ペットの体の大きさにかかわらず大変なことです。人間の介護においても、介護する側の負担の大きさは社会問題として取り組んでいく課題として認識され始めていますが、ペットの介護においても、大変なことがあればどうか自分だけで、家族だけで抱え込まずにかかりつけの動物病院にも「こんなことで困っている。」と相談してください。飼い主さんと一つのチームになって、その子ができるだけ気持ちよく過ごせるようにしてあげたい、と私たち獣医師も思っています。

獣医師:木下明紀子
はてな
Pocket

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 匿名

    全くその通りです。
    今 たくさんの病気を抱え
    病院通いの日々。
    仕事も辞め 愛犬中心の日々です。
    頑張れるのは 愛おしくてたまらない存在だから。
    最後までちゃんと大事に守っていきたいです。
  • 投稿者

    50代以上 女性 ぴよ

    うん、その通りと納得できる話ばかりです。
    私は昨年二月に愛犬を看取りました。二十歳を目前にしていた柴犬♂です。マックスで14キロあった体重も旅立つ頃には7キロに足らなくなってました。
    そして、最後の瞬間は私の腕の中で旅立ちました。

    介護が必要になってからは、買い物さえも誰かが帰って来て留守番して見てないと心配でした。まとめ買いも当たり前になってました。山盛りの洗濯物を取り込んで隣でたたみ、アイロンかけてました。
    片時も離れられなかったです。

    トイレが難しくなりオムツをしました。ひきちぎってしまったり、漏れたりずれたり。手作りでオムツカバーを作りました。
    まっすぐ歩けなくなり自転しながら、部屋の中をグルグル回り移動をするようになってからは物を全て退かし転んでも痛くないようにパーツになったクッション材を買って床に敷き詰めました。汚したら汚れたとこだけ洗いました。歩けなくなってからは身体に合う布団を何度も作り変え、寝返りをさせ位置を変え、足のマッサージをしました。夜寝る時はいつも隣で寝てました。気分転換に抱っこの日光浴や散歩。自力でご飯が食べれなくなってからはスプーンで食べさせ、手作りドレッシングを作るボトルで水を飲ませたり。
    キリがないほどの介護をさせてもらいました。

    子犬の時は手をかけてあげれなかったので旅立つ五年前からは楽しませてもらいました。そして介護が出来たこと、感謝してます。
    13歳の時に獣医さんからは「あと一、二年でしょう。」と言われていたのにそれから六年も頑張ってくれました。生活全部が介護になった一年は私にとって一番、親密さを味わえました。【ありかとう】しかありません。

    でも、介護は大変です。疲れます、泣きます、家族に八つ当たりをしたくなります、自分の時間はありません。旅立ったあとは自責の念にかられます。その気持ちがペットへの愛情に勝てなければ飼ってはいけないと痛感しました。
    それをきちんと踏まえて家族と話し合ってからではないとペットを迎えてはダメだと思います。

    そして我が家には昨年夏から話し合いをして新しい豆柴♂を迎えました。今度は家族の手を借りながら私が最初から最後まで責任をもち、家族の一員になってもらおうと思いました。そして今ではすっかり家族の一員です。
    もちろん、リビングには先代柴犬も一緒です。

    終わりにかわいそうな最後を迎えるペットが一匹もいなくなるようにと祈るばかりです。
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい

あなたが知っている情報をぜひ教えてください!

※他の飼い主さんの参考になるよう、この記事のテーマに沿った書き込みをお願いいたします。

年齢を選択
性別を選択
写真を付ける
書き込みに関する注意点
この書き込み機能は「他の犬の飼い主さんの為にもなる情報や体験談等をみんなで共有し、犬と人の生活をより豊かにしていく」ために作られた機能です。従って、下記の内容にあたる悪質と捉えられる文章を投稿した際は、投稿の削除や該当する箇所の削除、又はブロック処理をさせていただきます。予めご了承の上、節度ある書き込みをお願い致します。

・過度と捉えられる批判的な書き込み
・誹謗中傷にあたる過度な書き込み
・ライター個人を誹謗中傷するような書き込み
・荒らし行為
・宣伝行為
・その他悪質と捉えられる全ての行為

※android版アプリは画像の投稿に対応しておりません。