毎日が防災の延長線!愛犬の命を守るために今日からできる防災術

毎日が防災の延長線!愛犬の命を守るために今日からできる防災術

私たちが暮らす日本は自然災害大国。自然の恩恵をたくさん受けている一方で、こうした脅威とも隣り合わせであることを忘れてはいけません。愛犬との幸せな毎日も“いざ”という時の対応一つで大きく変わってしまいます。いつ起こるかわからない災害が発生した時、愛犬とどう逃げて、生き抜くか。飼い主の皆さんは普段から考えることができているでしょうか?

災害時のペットとの避難をどう考える?

家族同然のワンちゃんたちと幸せに末長く暮らしていくためには、飼い主さんは普段からいざという時のことも考えておかなければなりません。

もし大きな災害が、今自分の身の回りで起こったら、飼い主さんはその尊い命を守り、共に生き抜くことができるでしょうか?

東日本大震災でペットの防災は大きな課題に

2011年3月に発生した東日本大震災では、ペットの防災が大きな課題になりました。

環境省がまとめた「東日本大震災におけるペットの被災概況」によると、この震災によって犠牲になったペットの頭数は、青森県で31頭、岩手県で602頭、福島県では 約2,500頭とされており、計3,000頭以上の尊い命が奪われてしまったというデータが出ています。

こうした甚大な災害が起きた時でもしっかりと大切な家族の命を守るために、普段から愛犬の防災についても考えておかなければなりません。

今回は日本で唯一の犬用抱っこ紐専門店の代表で、現在は愛犬と2人でキャンピングカーで日本全国を旅しながら暮らしている黄瀬知美さんに、愛犬家さんにはぜひ知っておいてほしい「ペット×防災」の考え方について聞きました。

どこで何があっても生きていかなければならない生活で気づいた防災

初めまして!家はキャンピングカー!愛犬と2人で日本中を自由旅、物を99.9%減らした結果、T-シャツ2枚で生きる日本で唯一の犬用抱っこ紐専門店、「erva」の代表の黄瀬です。

定住する家を持たない私にとって、どこで何があっても生き抜かなければならない毎日は防災そのもの。こうした非日常が日常になったことで、防災についての考え方が色々と変わってきました。

防災グッズを“買い足していくこと”が必ずしも正解ではない

旅に出る前、家があったときは、私自身に起こりそうなことや愛犬のムーちゃんに何かあった時のことを色々と想定して、さまざまなグッズを購入していました。

しかし、キャンピングカーを家にしてから、買い足すことだけが正解ではないと考えるようになりました。

確かに世の中には便利なグッズがたくさん出ていて、持っておくことでいざという時に助けられることもあるのですが、「持っているけど使っていない」「慣れていないので使えない」ことが多く、「これでは意味がない!!」と感じたんです。

災害発生時のような状況を想定すると、わんちゃんはもちろんですが飼い主さんの方もパニックになっているはずです。そんなパニックの状態で、初めて使うグッズが役に立つとは思えません。

そうして、グッズを買い足すことではなくまずはどれだけ減らすことができるか、そしてそれらを普段からどれだけ使って慣れておくことができるかが重要になるという考えに辿り着きました。

実際、私は今キャンピングカーで生活しているということもあってただでさえ荷物は少なかったのですが、さらにモノを減らした結果、衣服は最終的に靴下1足、Tシャツ2枚、パンツ4枚、スカート2枚だけになりました。

私が実践している愛犬との防災

わたしの生活を通して愛犬との防災について知って損はない考え方や、実践していただけることがあると考えています。それは、「いざという時を、限りなく“いつも通り”に近づける」ということです。

例えば、私が開発・販売しているドッグスリング(犬用の抱っこ紐)は、ありがたいことに様々なメディアで「災害時にペットとの避難に役立つ便利グッズ」として紹介していただいています。

実際に2016年の熊本地震の際に「避難所に行くときも、避難所での生活もドッグスリングがあって本当に助かった」という声も、ユーザーさんからいただきました。

しかし、「防災グッズとして買いにきました」というお客様に、私はいつも「災害時にだけ使うのは難しいですよ」とお伝えしています。普段抱っこ紐を使って抱えられたことのないわんちゃんが、パニック状態の災害時におとなしく抱っこ紐に入ることはほぼ不可能だからです。

いざという時にも使えるグッズにするためには、普段のお散歩や買い物、病院に行くときなど日常の中に取り入れて使うことで慣れておく必要があるんです。

グッズに限らず食事やトイレ、お風呂といった暮らしの中で必ずある時間についても同じです。電気や水が止まってしまったらどうすればいいか、そうなっても暮らしていけるようにするには、例えばキャンプ場などで擬似体験をしておくことなども効果的だと思います。

また、これは防災に限ったお話ではありませんが、愛犬のことをよく観察して、誰よりも我が子のことを知っておくことも大事です。

言葉が話せない動物たちが“いざ”というときや不便な生活を強いられたとき、わたし達に何を求めているのか、わかってあげられるのは私たちしかいませんからね。

このように、愛犬の防災はグッズさえ用意すれば心配ないということではないんです。先ほども言ったように、いざという時を限りなく“いつも通り”にするために、足すではなく引く防災が重要だと考えています。

引く分にはお金もかかりませんから、不要な物はフリマアプリなどで売って、愛犬のおやつ代にしちゃってください。

まとめ

今回は黄瀬さんに「ペット×防災」の考え方、そして実践しているという3つのことを聞きました。

  • 足すのではなく“引く”防災を心がける
  • “いざ”という時が普段と変わらないように準備する
  • 愛犬のことをよく観察して知っておく

足すのではなく“引く”防災というのは面白い視点だと感じました。愛犬家の皆さんも今日から実践できることを日常に取り入れて、いざという時に備えてみてはいかがでしょうか。

今回お話を聞かせてくださった黄瀬さんは、今後日本全国でこうした「愛犬と防災」をテーマにしたイベントを実施していく予定だそうです。

直近では2023年9月16日(土)に北海道札幌市のイベントスペースで「愛犬とゼロから始める 守る・生き抜く防災体験会」が開催されます。(事前予約制)

黄瀬さんが普段から実践している防災について語る「防災講話」のほか、実際に災害が発生した時のことを想定した避難体験会や、黄瀬さんが開発・販売しているドッグスリングの試着会などが予定されています。

ご興味のある方はぜひ参加してみてください!

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