人と犬とのセカンドチャンス! 刑務所で行われている画期的なプロジェクト

人と犬とのセカンドチャンス! 刑務所で行われている画期的なプロジェクト

ハンガリーのデプレツェン刑務所では、金曜日になると近くの保護施設から犬達がやってくる。囚人たちとあるプロジェクトを遂行するために・・・。受刑者は二度と犯罪に手を染めることなく、犬は新たな家庭に迎えられる-彼らが塀の中でしていることとは?!

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デブレツェン刑務所では、金曜日は「犬の日」?

悪そうな犬

人と犬との更生プログラム

ハンガリー東部にあるデプレツェン刑務所で行われている画期的なプロジェクトは、囚人が犬と共に学び、共に社会復帰を目指すというもので、2014年にスタートしたこのブログラムでは、7週間にわたり囚人が犬と共に規律、けんかの回避、口輪をはめる訓練など10項目の課題に取り組み、規律や自制心、信頼の感情を育んでいく。

デプレツェン刑務所では金曜日になると、刑務所近くの保護施設から数頭の雑種犬が連れてこられ、楽しそうに受刑者とトレーニングを始める姿が見られる。
受刑者の中にはさまざまな犯罪歴を持つ者がいて、その中には暴力犯罪者もいるのに対し、保護犬の中には森の中に捨てられ、人が近づくことさえ難しかった犬もいる。

実はこのプロジェクトでは、しつけが難しく引き取り手のいない雑種犬があえて選ばれ、連れて来られるのだという。

地元の犬の訓練士アンナマリア・ナジ氏は、「囚人と犬の運命はとても似ている。それぞれの道を切り開くために、お互い助け合っている」と語る。

犬が人の「鏡」になるミラー・メソッド

鏡

特筆すべきは、このプロジェクトで採用している、ハンガリーで開発されたミラー・メソッド(参照:http://www.dogactually.net/blog/2012/08/do-as-i-do.html)という技法。
これは人が出す指示に犬を服従させる従来の訓練法とは趣が異なり、ミラー・メソッドは人がやることを犬が鏡のように写し取る=真似するというもので、例えば、人が地面に伏せたら、「やって!」の指示で犬も伏せるように教えていく。
犬が自らその人の行動を真似したいと思うほどに、互いの関係ができていなければ成立しない。

犬は単に人の行動を真似するだけ・・・人は犬の行動を修正するのではなく、自分の過ちを修正することになる。
犬と向き合うには、囚人は自らと向き合わざるを得ないというわけだ。

わんこが受刑者達の心を解きほぐしていく

その人本来の良い面が引き出される

当たり前の話だが、刑務所生活が楽しいものであるはずがない。
受刑者たちは、人間と社会への不信感から心を閉ざし内に引きこもっているのが常だ。
それが、犬といることで心が和み「自分がどこにいるのかを少しの間だけ忘れられ、不信感も消える。
「犬は人間より正直だ」とは同刑務所のサンドル所長の言。

受刑者でこのプロジェクトに参加するローランドさんによれば、
「このコースは私にも犬にも良い影響を与えている。犬に会った後は何日もいい気分だ」とのこと。

ひとりの囚人の「いい気分」はきっと、周りの囚人にも伝染していくのかもしれない。
それを裏付けるように、ブログラム参加のウェイティングリストには、たくさんの受刑者が名を連ねているという。

再犯防止に貢献

同所長は、「このプログラムによって忍耐強くなり、人をよりよく理解することに役立ち、最終的には(刑務所の)外でもうまくやっていけるようになる」と、プログラムが囚人達の生来のポジティブさを強化・維持するのに役立っていることを指摘する。
これまで約300人の受刑者のうち30人がこのプロジェクトを修了し、「卒業生」は、その後ひとりも犯罪に手を染めていないという。

犬の未来も変えるプロジェクト

このコースに連れて来られるのは、もとの飼い主に捨てられたり虐待されていた犬達。
通常なら、里親に引き取られるまで平均3~4年は保護施設の暗い犬舎で過ごすことになるが、「かわいくなければ6年にも7年にもなり得る」と訓練士のトロさん。
それだけに「刑務所に行くことは犬達にとって、とても大きな冒険のようなもの。誰かにやっと気にかけてもらえるのだから」。

コースが始まって数週間後には、囚人と犬との間に固い絆が生まれ、彼らが部屋に入ってくるだけで犬達は飛び跳ねて迎えに行くようになったという。
これまで、7週間のコースを修め証明書を受けた31匹のうち、12匹が里親のもとで新しい生活をスタートさせている。
「囚人達の犬のしつけは魔法みたい」と トロさんは語る。

人と犬

まとめ

ハンガリーのデプレツェン刑務所にて2014年より始まった社会復帰プログラムは、犯罪を犯した受刑者と飼い主に捨てられた犬の両方を救う画期的なものでした。
刑期を終えた受刑者が再び犯罪に手を染めることはなく、しつけが難しいと敬遠されていた施設の犬達は、人間への信頼を取り戻し新たな家庭を得ることでしょう。

受刑者のための更生ブログラムに犬の訓練が取り入れられたのは、1981年のアメリカはワシントン州の女性刑務所が最初と言われ、その後は男性刑務所でも行われるようになり、刑務所内の暴力沙汰が減り、や殺処分にするしかないと言われたような犬達も新たな飼い主にもらわれていったそうです。
我が国では、2013年に島根で「刑務所育ち」の盲導犬が初めて誕生しました。
そして、犬の訓練を更生プログラムに取り入れ始めた少年院もあるそうです。

犬の力は偉大。けれど人間中心社会では、人間側が積極的に犬達を受け入れる態勢をつくらなければ、生かされる道はかなしいかな限られてしまう。
人と犬の幸せな共存社会をつくりあげるには、こうした犬と人との様々な共同プログラムを構築し、成功例を増やしていくことが大切なのかもしれません。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 男性 kouennneko

    とても素敵な記事。ありがとう。人にも犬にも幸せになって欲しいです。好んで罪を犯す人はそんなにはいないだろうし、望んで捨て犬になる犬も、いませんものね。
  • 投稿者

    50代以上 女性 沼田

    苦境に立たされている人と犬の絆。それを暖かい目で見守り支援する社会。すばらしい。介護施設、支援施設、地域全体に広がることを願っています。
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