捨てられた犬たちの楽園!?
非武装の平和国家としても知られる中米の国・コスタリカ。
ここに「Territorio de Zaguates」という捨て犬保護施設があります。
ボランティアスタッフによって運営され、現在、900頭以上の捨て犬たちが暮らしていますが、この施設が世界にも他に類を見ない「捨て犬たちの楽園」として注目されています。
まるで放牧場!山中に広がる広大な敷地
900頭も収容されてるのでは、さぞや窮屈に暮らしているのだろうと思ってしまいがちですが、そんな心配は全くご無用。
「Territorio de Zaguates」は、サンタバーバラの山中に位置しているのですが、そこにはアルプスの少女ハイジが出てきてもおかしくないほどのパノラマの広大な草地が広がっています。
900頭以上の犬たちが連なって山中を移動するさまは、さながら放牧場を大移動する羊の群れのよう。
犬たちはこの広大な敷地内を自由に駆け回って過ごしているのです。
捨て犬のシェルターだと言われなければ、山中のドッグランかと見間違えてしまいます。
捨て犬の楽園どころか、飼い犬たちですらも「なんて贅沢!」と叫んでしまいそうな理想的な環境です。
もちろん、夜間はボランティアスタッフがしっかりと犬たちを守り、お世話をしてくれています。
犬たちはここで充実した毎日を過ごしながら、新しい飼い主さんとの出会いを待つのです。
一般開放されたシェルターは新しい出会いの場にも
シェルターは一般開放されているため、犬好きの近隣住民や里親希望者が出入りし、収容されている捨て犬たちと触れ合うことができます。
自然の中を犬たちとのびのび駆け回れば、その子を引き取った後の遊び方もイメージしやすいですよね。
実際、これがきっかけで新しい家族に迎えられる犬も多いそうです。
捨て犬たちが次の人生を歩むために
コンクリートの冷たい壁と床に囲まれた無機質な室内で、迫りくる命の期限を察知した犬たちが、鉄格子の隙間から身を震わせてこちらを見ている…。
もちろん、全ての施設がそうではありませんが、日本で捨て犬の保護施設といえば、そんな光景を想像する人がほとんどではないでしょうか。
けれど、「Territorio de Zaguates」の犬たちには、そんな悲壮感は全くありません。みんな、自然の中で健康な身体を揺らし、きらきらとした笑顔を輝かせています。
保護施設の役割は、まずは、行き場を失った捨て犬たちに居場所を提供すること、そして、捨て犬たちに新たな家族との出会いを与えることです。
とはいえ、犬たちが新たな家族と出会うためにはいくつかの課題があります。
それは、犬の心の傷を癒すことと、犬を人や他の犬と慣らし、社会化することです。
コンクリートの部屋の中に閉じ込められているだけでも、犬にとってはひどく不安で大きなストレスを感じるでしょう。
心の傷を癒すどころか、更にトラウマを与えかねません。
ですが、「Territorio de Zaguates」の犬たちは広大な山野でのびのびと遊ぶことで、心の傷を自然と癒していきます。そして同時に、スタッフや他の犬と自由に戯れることで、社会性も身につけていくことができるのです。
また、更に素晴らしいところは、「Territorio de Zaguates」では、来所した人たちが、捨て犬たちの一番魅力的な姿を見られるということです。
訪れた人々は自然体で暮らす犬たちと触れ合うことで、その子の個性や魅力を十分に知ることができます。
そのうえで、その子との新しい生活をしっかりイメージして家族に迎えることができるのです。
まとめ
いかがでしょうか?こんな施設が近くにあればぜひ行ってみたい、と思った方も多いのではないでしょうか。
現在、日本で犬を飼いたいと思ったときには、ペットショップで購入するのが主流となっています。
しかし、海外の多くの国では保護施設から引き取るのが一般的であり、この流れを受けて、日本でも保護犬を家族に迎えようという風潮が生まれつつあります。
こんな魅力的な施設があれば、その風潮を後押しできるかもしれません。
もちろん、土地の確保や運営管理の問題もあるため、すべての保護施設を「Territorio de Zaguates」と同じようにすることは不可能でしょう。
けれど、「Territorio de Zaguates」は、犬との関わり方や、保護施設の本来の姿を見つめ直すロールモデルとなってくれるのではないでしょうか。