エキノコックス症とは|犬や人に感染する危険性と予防対策

エキノコックス症とは|犬や人に感染する危険性と予防対策

皆さんはエキノコックス症という言葉を聞いたことがありますか?全国の犬友さんに聞いたところ、北海道以外の方は、言葉すら聞いたことがない!とのことですが、このエキノコックス症は愛犬をかいして私達人間に危険な病気を引き起こすものなのです!(北海道外の方も注意が必要!)

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

エキノコックス症とは?

キツネ

エキノコックス症とは、寄生虫のエキノコックスによって、引き起こされる病気です。
北海道では、主にノネズミやキツネなどの野生動物の間で広がっていますが、きつね・犬などを介して人間へも感染します。
キツネのエキノコックス感染率は50%と言われていますので、2匹に1匹は感染しています。

人間への感染経路は、エキノコックス成虫に感染したキツネや犬、猫などの動物から排泄された虫卵が人の口から入って、感染します。(※人から人への感染はありません)
ですが、排泄の片づけや野山へ行った際には、皆さんよく手を洗ったりしていると思いますので、大丈夫だと思います。

しかし近年、キツネが農村地区や山だけではなく、普通に街中を歩いていることが当たり前になってしまいました。
それだけ感染率も高くなったと言えます。
これは愛犬とのお散歩で、愛犬が感染する可能性も高くなってきているということです。
つまり、愛犬と私達飼い主の両方にとって大切なお話です。

犬や人がエキノコックス症に感染するとどうなるの?

では、犬・人間、それぞれがエキノコックス症になってしまうと、どうなってしまうかをお話していきましょう。

犬のエキノコックス症の症状

愛犬の感染は便検査でわかる!

生活環境

犬はエキノコックスに感染しても無症状です。

便は普通の固形便に加えて、粘液の塊を排便したり、下痢をすることもあります。
エキノコックスの成虫が便とともに排泄される例もありますが、非常に小形の白色の虫体で、1~3mm程の大きさなので、顕微鏡などを使わなければ私達飼い主では判別できません。

感染しているかどうかを知る為には、動物病院にて検査をしていただくのが一番!
愛犬の便を持参することで、検査が可能です。(北海道以外に居住の場合は北海道まで検体を送る必要があります。)
便検査(虫卵および抗原検出)によって、愛犬が感染しているかどうかわかります。

もし愛犬が感染していた場合は、駆虫薬を投与されますが、それと同時に、

  • 愛犬の飼育場所の虫卵対策
  • 飼い主様のエキノコックス検査

が必要になります。

私達が気づかないうちにエキノコックス成虫に感染して、虫卵を排泄していると、飼い主である私達にとっても危険なのです。

人間のエキノコックス症の症状

人間が感染した場合には、初期症状はありません。
自覚症状がないのです!

人間は、肝臓にエキノコックス幼虫が寄生して、まるでガンのように増殖をしていきます。
周囲の組織へも入りこみ、少しずつ臓器をむしばんでいき、重い病気になって、気がついた時には治療も手術も不可となってしまう場合が多いのです。

成人であれば10年程たたないと発症しませんが、お子様であれば進行が早くて5年ほどで発症します。
早期発見であれば、ほとんどの場合が治癒するので、早期発見が大事になります。

北海道では、道が「北海道エキノコックス症対策実施要領」に基づき、各市町村に定期的な血液検査や説明会の開催などを行い注意喚起を行っています。(市町村により内容は異なります)

エキノコックス症の予防対策

野山

特に、以下のことについて注意をしましょう。

  • 野山に出かけた際には、帰った時によく手を洗うこと。
  • 衣服や靴についた泥はよく落とすこと。
  • 沢や川の生水は飲まないこと。飲ませないこと。
  • 収穫した山菜や野菜、果物などはよく洗ってから食べること。
  • お散歩時、キツネのフン付近は活動範囲でもあるので、近づかないこと。
  • 愛犬に定期的に駆虫薬を飲ませて感染源とならないようにすること。

以上のことに気をつけていれば、人と動物が安心して一緒に生活することができるでしょう。
一番の安心方法は、予防薬を飲ませる事だと私は思い、今冬から飲ませています。

もし愛犬の感染がわかったら・・・

飼い主様は、すぐに病院でご自分やご家族の血液検査をオススメします。
早期発見であれば治癒できます。自覚症状がないといっても、とても潜伏期間が長いので、お子様がいらっしゃるご家庭もできれば皆さん検査していただくことをオススメします。
お住まいの市町村によっては無料でエキノコックス症の血液検査を実施しているところもありますので、各市町村に問い合わせてみましょう。

愛犬には、エキノコックス症予防薬があります!

犬と暮らしている方なら、フィラリアやノミダニのお薬、狂犬病注射、ワクチン接種をされていることと思いますが、それと同じように、毎月1粒お薬を飲むことで、エキノコックス症を予防できるお薬があります。

ウチの子は、「インターセプターS」というお薬を飲んでいます。
エキノコックスはもちろんですが、“フィラリア予防の効果”もあり、さらに“犬回虫など5種類の虫類をも予防”をしてくれる優れモノ!なお薬です。
他にも同じようなお薬はあるかと思いますが、ウチでは、エキノコックスも予防できて、怖いフィラリアに加えて、回虫類5種にも対応されているのが決め手でした!

価格もウチの愛犬が飲んでいたフィラリアのお薬(イベルメック)とほぼお値段がかわりません。
それだったら、安心のためにもと、このお薬を選びました。

山歩きが好きなわんちゃんや、散歩中の拾い食いが気になるわんちゃん、ご自宅周辺でキツネやネズミを見かける頻度が高い場合には、ぜひ予防薬の切り替えのご検討をオススメします。

エキノコックス症は全国に広まっている!?

キツネが生息している地域の方でしたら、ある程度、エキノコックス症についてはご存じで、近づかないようにしたりキツネに餌を与えないようにしたり注意をしていると思いますが、そうでない方は、知識すらお持ちでないのが怖いところです。

たとえば、北海道旅行などでキツネに遭遇して、「かわいい!」と餌を与えてしまい触ったりとキツネも人間に慣れてしまっているのも大きな問題となっています。
かわいいからと安易にキツネに触ってしまうことも危険です。

エキノコックス症に対しての知識がなく、自然や動物とのふれあいを楽しみ、自宅に帰ってみたら、感染していた・・・というケースも報告されています。

北海道では、毎年20人の感染者が出ていますが、全国へも拡大していっています。
(あくまで届け出があった数です。気づかずに生活されている方もいる可能性はあります)

北海道外では、人間や豚、北海道から運ばれた犬から発見されたケースもあります。
感染のケースは様々ではありますが、徐々に全国へ広がっているのは確かなことです。

まとめ

お散歩

エキノコックス症は、感染症の1つであり、愛犬と飼い主様の両方に感染してしまうものだということを、ぜひ1つの知識として覚えておいてください。
また、北海道にお住まいの方は、是非フィラリア同様に、必須なお薬と考え直したほうが良いかもしれません。

北海道の一部の地域では、街にキツネが多いことから、予防薬の切り替えをされているワンちゃんが増えているそうです。
実はうちもそのお話を聞いて、お薬を切り替えました。

身近にキツネがいないから必ずしも安心というわけではないのです。
どこから感染するかはわからず、そのため現在も全国に感染が広がっているのも確かなのです。
感染に気づいていない方もいらっしゃるかもしれません。
国でもエキノコックス症については、注意喚起しておりますので、肝炎検査等の時に一緒にエキノコックス症についても検査する場合もあるそうです。

自然豊かな北海道で、ペットも満喫させたい!という飼い主様も多いようですが、エキノコックスという危険も十分に理解し、愛犬が感染することで家族へも影響を及ぼしてしまうことがあることを、ぜひご理解いただけたらと思います。

北海道にお住まいの方はもちろんですが、ご自宅周辺でキツネやノネズミを見かける頻度が高い場合には、ぜひ予防薬の切り替えのご検討をおすすめします。
愛犬とのお散歩やレジャーは、安心して楽しみたいですものね♪

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 べーちゃん

    記事を読んで、エキノコックス症という病気を寄生虫のエキノコックスによるものと知りました。そして、人間へも感染する恐ろしい病気の1つだと知りびっくりしました。色々な寄生虫がいますが、愛犬を守るため、1つの知識として覚えておきます。
  • 投稿者

    40代 女性 こみゃこ

    私の父が北海道出身で、エキノコックスは知っていました。人間が感染したらどうなるかも大雑把に知っていました。犬のエキノコックス予防薬があるのですね、初耳でした。北海道で、昔に外に繋がれてる犬や、飼いキツネに触ったこともあります。今は、北海道以外にもエキノコックスが来ているのですね。都会から、避暑地を求め犬と山地に行く人もいるでしょう。注意して行かないといけませんね。
  • 投稿者

    20代 女性 小夏

    寄生虫エキノコックス…初期症状がなく気づけば手遅れ。怖すぎる病気です。
    きつねはいないけど、他の動物からも感染するし、人間にも感染するなんて…フィラリアと同じくらいの金額ならちょっと頑張って予防する方がいいかもしれませんね!
  • 投稿者

    40代 女性 emi

    エキノコックス症、という病気を初めて知りました。
    調べてみたら、キツネ以外にも野ネズミやタヌキも感染している事がある様です。
    キツネの感染率が50%なら、他の動物もきっと同じですよね。
    今まで、何も知らずに愛犬を連れて山などの自然の中で遊ばせることも多かったので、
    エキノコックス症を知ってぞっとしました。
    都内や神奈川でも、自然の豊かな場所はタヌキなどの野生の動物がいます。
    これからは気を付けようと思います。

    もうすぐフィラリア予防の時期ですので、フィラリアだけでなくエキノコックス症も同じお薬で
    予防ができるのでしたら、そのお薬の方が良いですね!
    動物病院で処方してもらう際に、ぜひ聞いてみようと思います。




  • 投稿者

    40代 女性 グーグルぽち

    キタキツネがエキノコックスという寄生虫を持っているなど、北海道の人なら常識のようなことでも、その他の地域の人は知っている人の方が少ないのが現実です。わたしも今回エキノコックスという感染症を初めて知りました。
    わたしは愛犬を連れてよく田舎の方に行きます。そこにはキツネやうさぎ、鹿のような動物がたくさんいます。
    自然のなかにも危険があるのは分かっていたつもりですが、このように愛犬や人間に感染するものは特に心配になります。
    また以前より感染率も増えているとのことですので、注意が必要です。

    外から帰ったら手を必ず洗うことは基本ですが、周囲にキツネを近づけないよう、生ゴミなどの餌になるものの管理にも気を付けたいものです。また飼い主のみなさんは散歩中、愛犬の便をかたづけていると思いますが、エキノコックス感染している可能性を考えると犬の便の放置も危険です。住民の方や犬猫の健康に重大な影響を及ぼす可能性があることを十分に理解しておく必要があるかと思います。
    そして、万が一のことを考えて、日頃の定期検診も大事だといえそうです。
    人の集まる場所や自然公園で犬にとって安全な環境で、自由に遊ばせてあげたいものですね。
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