ドッグレスキュー!欲求不満のチワワのココを救え!

ドッグレスキュー!欲求不満のチワワのココを救え!

『ドッグレスキュー』と言っても、僕の仕事は獣医さんの様に犬の怪我や病気を救いに行くんじゃありません。ワンコや飼い主さんの「心のお悩み」を救いに行くことなんです。今回ご紹介するのはチワワの”ココ”のお話。

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チワワ1

はじめに

僕は現在、訪問型ドッグトレーナー兼ドッグリハビリストをしています。
基本的な犬のしつけはもちろんのこと、犬自身のサイコロジーリハビリテーション(※)や、犬の本質や知識、犬とのコミニケーション術を飼い主さんにレクチャーするのが主なお仕事です。
愛犬家のみなさんのお悩みにも様々タイプがあり、緊急を要するものからそうでないものまで、色んなご依頼を賜ります。

その中から、特に印象に残ったエピソードをご紹介します。
このお話が少しでもあなたの、『幸せなドッグライフ』のヒントになりますように。

サイコロジーリハビリテーション:犬が持つ本来の穏やかで安定した精神状態を取り戻す為のリハビリテーションのこと

チワワ2

分かってよ!と訴えるココ

いつものように1本の電話からお話は始まります。

「はい!お電話ありがとうございます♪わんぱぱです!」
「あのー。うちのチワワの事でご相談があるのですが…」
「はい♪ありがとうございます!どんなお悩みですか?」
私にだけ威嚇したり唸ったり吠えたり、たまに噛んだりするんです。主人や母にはそんな事はしないんですが…」
「なるほど。まだパピーですか?男の子?女の子?」
「7ヵ月齢の女の子です。治りますか?」
「はい♪パピーですね♪全く問題無いと思いますよ♪」
「ではトレーニングをお願い出来ます?」
「承知致しました!では後日よろしくお願い致します」

小さくて愛くるしくて可愛いし、室内で飼うには最適だとお思いの愛犬家もたくさん居られますが、実はチワワという犬種は総体的に飼うのが難しいのです。
どちらかと言うと「上級者向き」な犬なんですね。
何故かと言うと小さいが故に神経質な所があり、警戒心や縄張り意識が非常に強い、いや強くならざるを得ないのです。
見渡せば自分より大きな生物ばかりですから、自分を大きく見せたいなどの虚勢を張るのも仕方がないんですよ。
そのため過敏反応で吠えや興奮が強く出がちですよね。
そして小さくても立派な犬な訳で、本質的には大型犬と遜色がありません。
ですが見た目で判断されることが当たり前になり「可愛くて飼い易そう♪」と思われがちなんです。
そんな子をちゃんとしつけられる要素が、飼い主さんには要求されるんですよ。

チワワ3

”ピンポーン♪”

「こんにちは!わんぱぱです!」
「どうぞ。お入り下さい」

入ってすぐの玄関のケージの中にココは居ました。
全体を布で覆われていて中が見えない。
中で気配はあるが吠えることも無い…。

「ん?いつもこの状態ですか?」
「はい」
「ここがココちゃんの寝所スペースなんですね?」
「ええ。で玄関エリアと横の洋室もココの専用スペースにしています」

見るとトイレスペースが玄関の靴脱ぎ場に設置されていました。

「なるほど。普段はこのエリア全体でフリーにする事もあるという事ですね?」
「そうです。私が遊んであげようとここに来ると常に私の行動を監視し、動く度に吠えて足元にまとわりつくんです。クローゼットから物を取ろうとしても吠えます。お茶を飲もうとしても吠えるのでココに隠れて飲まないといけません。遊んでいても服のボタンとかを噛むのでいつもスエットに着替えないといけないんです。おもちゃで遊んでいても手を本気で噛んでくるし…。食糞も有るんですが取り上げようとするとヴルル〜と唸ります。テレビを付けても吠えるのでおちおちテレビも見ていられないんです。もうどうしていいか分かりません」

堰を切ったようにお話しされました。
(あーこれは飼い主さんがかなりストレスなんだなぁ)

「洋服を着せても嫌がるので、服も着せられない。とにかく私の行動をずっと監視してるんです」
「分かりました。ココと対面させて頂けますか?」
「あっ。は、はい」

布をめくるとココがキョトンとした顔で僕を見つめています。
一瞬「ママをなんとかしてよ」とココに言われたような気がしました。
(よし♪任せとけ!)そう告げてケージの扉を開けました。

ココに会う前から飼い主さんを観察させて頂いて、既に原因は解っていたので後はレクチャーさせて頂いて実践して頂くだけでした。
つまり、ココに問題がある訳ではなく、飼い主さんが間違った扱いをしているのは明らかでしたからね〜(笑)
逆に言うと「ママ!!なんで解ってくれないの〜!!」とココが不満に思ってイライラしている感じです。
これは小型犬を飼われている方に多いことなのです。

チワワ4

   カウンセリングサマリー
症状

ママにだけ異常に攻撃的反応する。吠えたり唸ったり噛んだりする。

原因
  • 飼い主さん間違った犬の知識。
  • ココが小さいので壊れないかと腫れ物に触る様に接する。
  • ココがメインの生活軸。
  • 信頼関係の希薄。主従関係の逆転。
対策
  • 犬の本質を習得し、接し方を改善して頂く。
  • 人中心の飼育環境に改善
  • ココにはサイコロジーリハビリテーションを施し、ストレスを軽減させる。
  • 発散を促し活動欲求を見たし、精神の安定を図る。

さぁ!レスキューです!

チワワ5

先ずココをケージから出します。
テレビを付けて、洋服を着させました。
僕に対しては至って従順で近寄って鼻を使い一生懸命情報収集しています。
何の問題もありません。
「あなたは分かるみたいね♪」と合格点を頂いた僕と遊びたがっています。
こうなるとリハビリテーションが入る状態なのです。
さぁ溜まった欲求不満を吐き出させましょう。

横で飼い主さんが「いつもと全然違うじゃない!」とポツリ。
人間の場合、子供と相撲をとったりして遊ぶ時、子供に自信をつけさせようとわざと負けたりしますよね。
でも犬はこれをやってはいけないんです。
特に主従関係を確立させていない場合、遊びの中で人間が優位に立つことが必要になってきます。
かといって完膚なきまでにということではありませんよ。
「敵わないな(汗」と思わせる事が大切なんですね。
これを踏まえてリハビリテーションを入れていきます。

チワワ6

ココはすごく楽しそうに僕の手にまとわりつき、ガルガル言いながら噛んできます。
タイミングよく撥ねつけテンションを上げさせて発散を促します。
飼い主さん曰く、
「獣医さんやペットショップの店員さんから、あまり過度の運動はやめて下さいと言われてました。だから激しく扱ってはいけないのかと思っていました」それは程度の問題ですね。
そりゃ力一杯とはいきませんが、プロレス遊びはしてあげないとストレスが溜まります。
「プロレス」といっても犬が遊ぶ、興奮する行為は『狩猟本能』からくるものなので疑似体験をする事で、本質を満たす役割がある訳ですね。
後は普段の生活通りに接して頂いて様々なココの行動をチェックし、ママに付きまとったりした時の対処法、吠えの対処法、食糞の制御法などのレクチャーをし、実践して頂きました。
ココがトイレに行った時など「あっ!食糞するかも!」と緊張が走っておられましたが、何事にも動揺せずドンと構えて見守る事がコツなんですよねぇ〜。
すると思いの外、ココがすんなり言う事を聞くので驚かれておりましたね(笑)
そこでポツリと一言。
「ココ。今までのはなんだったんだよ。こんなに簡単にいくのかよ〜(汗」

チワワ7

僕が飼い主さんにお願いしたこと

僕はこう言いました。

「小さい可愛い犬を迎えたら、誰でも安心して暮しやすくしてあげたいと思うでしょう。だからといって犬に気を遣い過ぎる、好き勝手させるのは良くないことです。犬はその群れに来てその群れのルールを覚えようとします。そんな時、(この群れは自分の思い通りになる♪)と認識してしまうと困惑と暴走が始まるのです。それは犬にとって安楽ではなく常に気を張って過ごさなければならなくなるということです。だから何事にも過敏に反応し、吠えたり、興奮したり気の休まる時間が無くなってしまいます。それに変に気を遣われるのも仲間としては嫌がられます。犬の世界では下位者の行為にほかならないんです」

チワワ8

すると「叱ったらダメだとしつけ教室で言われました」と飼い主さん。

「確かに間違いではないと思いますよ。褒めることも大切です。しかし僕はダメなものはダメだ!良いものは良い!という姿勢が一番だと考えます。叱るのではなく『伝える、教える』ことです。思い通りに行かないのは伝わっていないからです。テレビを付けたら吠えたので付けられない。洋服を嫌がったので着せられない。ココが嫌がっている!これは間違っています。テレビは大丈夫なんだよ♪洋服もおもちゃじゃないんだよと教えるんです。犬は決して頭が悪い生物ではありません。言葉で伝えようとするから上手く行かない。犬の世界に人間のような言葉はありません。態度、身振り手振りで伝えるんですよ
「なるほど〜」
「室内はココの縄張りではなくご家族の縄張りです。だから室内をココ仕様にする必要は全くないんですよ。『噛むから退ける』というのは『手の届く範囲に危ないものは置かない』という人間の赤ちゃんの発想です。『噛んだらダメだよ』と教えるのが正解です。じゃないと今度は人間がストレスを感じるようになり犬に悪い負のエネルギーを注いでしまいます。そうするとお互いが不幸になってしまいますから。飼育環境で多少は仕方ないとしても、あくまでも人間主導の生活環境を作るべきです!」
「はい…」
「これはお互いが幸せに暮らす法則なんですよ♪頑張ってください!」
「この子のためにも私たちがしっかりしなければいけないんですね。私やります!」
「はい♪即実践です♪」

さいごに

二頭のチワワ

自然界に生きる生物は自然と多種に渡り進化を遂げてきました。
しかし犬という動物はある時期から人間の手で約400種もの体型に作られた生き物なのです。
これは猫や小動物に言えることなのですが、「犬」として考えると「道具」として捉えられていたからです。
狩猟犬、鳥猟犬、ソリ犬や護衛犬。荷物運びや愛玩犬等など、これは人間の文明の発達に極めて関連性のあることで、犬が居なかったら人間の文明はもっと遅れていたかも知れないのです。

人間がどれほど犬の世話になっていることか!チワワは愛玩犬のエース的存在ですがそれこそ狼の流れを汲んでいることも事実です。
小さくて愛らしく可愛いのは見た目だけでその本質はれっきとした「犬」だという事を知っておいて下さい。
その上で愛情を注ぎ犬として扱ってあげればきっと楽しいドッグライフが過ごせることうけあいです♪
まぁ小さいから吠えても興奮してもリードでヒョイって事も出来るのでどうにでもなる部分があるのが厄介なんですけどね〜(笑)

わんぱぱと二頭

わんぱぱ《今日の格言》
チワワからグレートデンやセントバーナードまで犬種の特性の違いはありますが犬の本質は同じです。

(僕はこの理論で全てカバー出来ています。人間もみな兄弟です(^O^))

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