犬も関節リウマチになる!気をつけたい犬種と予防法

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犬も関節リウマチになる!気をつけたい犬種と予防法

関節リウマチは人間だけではなく、犬にも発症する自己免疫疾患です。確実な治療法はなく、病態の進行が重度になると起立不能状態になってしまいます。日頃から、関節に負担のかからない環境づくりを意識しましょう。

監修:獣医師 平松育子

(ふくふく動物病院)

犬の関節リウマチとは

寝ている犬

関節リウマチは免疫介在性疾患の一つ

犬の関節リウマチは、自己を防御する免疫機能に障害が発生してしまうことでみられる免疫介在性疾患の一つで、専門用語では『免疫介在性多発性関節炎』とよばれます。

関節の免疫機能が『自己』を『非自己』、つまり『異物』として認識しまい、関節内で異物を排除しようとする結果、炎症が起きてしまいます。

初期段階では関節内の『滑膜』という部分に炎症が起こり、滑膜を保っている構造内の血管内皮細胞が損傷され、細胞と細胞の間に隙間ができてしまいます。
この結果、全身の血中に存在する『滑膜』に炎症を起こさせる物質が侵入し、それが体の各関節内に侵入し、そこでもこの物質を非自己(異物)として認識してしまいます。
これが常態化することで、慢性炎症として発症します。

そして恐ろしいことに、この慢性滑膜炎が起こると、その関節の構造が破壊され、さらにそこから生じる物質が非自己として認識され、慢性炎症が持続していく、という連鎖が引き起こされるのです。

上記の通り関節リウマチは体に害がある物質や菌などが侵入してきた時に発動する免疫システムが、関節を構成する組織を誤って攻撃してしまうことが原因とされていますが、なぜ免疫システムが誤作動を起こして関節組織を攻撃してしまうのかという理由まではいまだ解明されていません。そのため、関節リウマチの発症原因は大半が不明だとされています。

犬の関節リウマチの症状

この病気は年齢に関係なく発症します。
主な症状は熱が出たり、全身が固まってしまったような硬直など、関節炎の重度によっては、びっこを示す跛行がみられます。さらに関節の崩壊が進んでしまった場合、立ち上がることができなくなることも。

関節の炎症が重度になった結果、軟骨が壊されてしまったり、靭帯の断裂も起こり、この結果、関節が不安定となり症状が重くなります。関節の炎症が初期段階で、跛行を示していなくても発熱により食欲がなかったり、元気がなく散歩に行きたがらないなどの兆候があるので、それらの兆候には注意しましょう。

犬の関節リウマチは進行性の疾患のため、放っておいても改善するどころかどんどん悪化していきます。骨の崩壊と関節の変形が進み痛みや苦痛が増して歩行困難になり寝たきりにつながる可能性もあるのです。

犬の関節リウマチの診断

犬の関節リウマチの診断には、主に『Bernett診断法』という検査が用いられます。
その検査方法は、いくつかのチェック項目の中から、該当する症状があるかを照らし合わせ、該当するものが規定数以上あれば『関節リウマチ』として診断されます。

その項目は、以下の通りです

  • 休憩した後、関節を動かしたときに関節がこわばっている
  • 一つ以上の関節が運動時に痛みを示す
  • 一つ以上の関節が腫れている
  • 三ヶ月以内に二つ以上の関節が腫れている
  • 左右対称性に関節が腫れている
  • 皮下に結節(しこりのようなもの)がある
  • 画像診断により、骨が破壊されている像が確認された
  • 血清学的検査により、リウマチ因子が検出された
  • 滑液の性状が以上
  • 滑膜の組織学検査による異常(滑膜絨毛が増えている、滑膜表面細胞が増えている、慢性炎症細胞が浸潤など)
  • 皮下結節に関節リウマチに特徴的な病変が組織学的に見つかった

これら11項目から、2つの必須項目と他の5項目の合計7項目が症状や診断と該当した場合関節リウマチとして診断されます。

犬のリウマチを予防する

グレーハウンド

好発犬種

関節リウマチの好発犬種として、グレーハウンドが挙げられます。
それは、『遺伝学的に関節リウマチを発症するグレーハウンドが多い』という調査結果があるからだそうです。
グレーハウンドを飼っているかたは、関節リウマチのリスクを念頭に入れておきましょう。

また、年齢に関係なくどの犬にも発症する可能性がありますが、マルチーズ、シーズー、プードル、ミニチュアダックスフンド、シェットランドシープドッグは若年から発症することが多いとされています。若年から関節リウマチを発症すると進行が早いとされています。

犬の関節リウマチの予防

基本的に自己免疫疾患なので対策は難しいですが、万が一関節リウマチと診断された場合、できるだけ痛みを感じることがないよう、飼い主が環境を整えあげましょう。

関節に負担がかかると炎症が進行したり、痛みが増すので階段などの段差を避ける、フローリングにマットを敷く、ベッドを柔らかい素材にするなどの工夫が必要です。
また、好発犬種のグレーハウンドを飼っている方は関節リウマチの可能性を考慮して、環境改善を行うことで万一の場合、進行をゆっくりにすることができるかと思います。

予後

一般的に、関節リウマチは自己免疫疾患なのであまり良くありません。免疫抑制剤を用いる場合がありますが、出血性膀胱炎などの副作用にも注意する必要があるのでしっかりと獣医師に相談しましょう。根本的な治療方法はないので、愛犬の関節痛を抑えたりするなどの維持療法となります。

愛犬の生活の質を維持するように、できるだけ痛みを緩和する治療に集中します。治療と並行して、自宅での生活環境や散歩なども見直す必要があります。関節への負担をかけないため、しっかりと体重管理を行い、激しい運動は控えます。

ただし、筋肉の萎縮を防ぐための適度な運動は必要なので毎日の軽い散歩などは行いましょう。また、自宅ではフローリングなどで横滑りしてしまわないよう環境を整え、どうしても寝る時間が増えるので床ずれなどしないよう気を付けてあげてください。

犬のリウマチの治療

残念ながら、根本的な治療法はなく愛犬の疼痛緩和や関節炎の進行を抑えるという維持療法しかありません。薬物療法では、基本的に炎症を抑えることと免疫抑制をターゲットとした治療が行われます。

滑膜炎を抑えるためにはプレドニゾロンという薬が用いられます。
免疫を抑制する用量と炎症を抑える用量が違うので薬の説明は獣医師にしっかりとしてもらいましょう。

時には、他の免疫抑制剤と併用して治療の様子をみることもあります。関節リウマチに関しては、抗リウマチ薬と併用することが一般的です。犬にとっては痛みがあると辛いので、薬物療法以外にも自宅では関節の負担にならないような環境づくりを目指しましょう。

他の症状や病名で犬の病気を調べる

犬のリウマチの他にも、気になる犬の病気や、普段見ない行動をとっていて心配なときに病気を調べることができる辞典がありますので、ぜひ活用してみてくださいね。↓

まとめ

走る犬

犬でも関節リウマチを発症する可能性があることは、ご理解いただけたかと思います。
跛行を示した状態は、病態が進行しており治療が難しいケースがほとんどです。
また、すべての年齢で発症するので、特にグレーハウンドなど好発犬種を飼っている方は、関節リウマチのリスクを考慮し、関節に優しい環境づくりが大切です。

初期症状には気がつきにくいので、お散歩後足を痛がる様子や元気がないなどの些細な症状に気がつくことが大切です。

しっかりと愛犬の観察を日頃から行い、Bernettの診断に当てはまらないか自分で管理することも大切です。

記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (ふくふく動物病院 院長)

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

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  • 女性 シュナ

    犬にもリウマチがあることを初めてしりました。人間でもなると大変ですし、治療の時間や生活が変わると知り合いから聞いたことがあります。突然発症する病気は本当に怖いですが、完治することがないということは飼い主としてはとても悲しい事実ですね。ですが、一番辛くて痛いのはきっと愛犬。負担が少しでも軽くなるよう、また限られた中でもより時間を楽しく過ごせるよう考えていきたいですね。
    最近、愛犬と病院にいくことが多くあったのですが、動物病院にはほんとうにいろいろなわんこや飼い主さんがきていらっしゃいます。待合室でお会いするだけですので何の病気かはわかりませんが、おそらく高齢で点滴できているわんちゃんもいます。床ずれがあるのか飼い主さんが抱き方などとても細やかにケアしていらっしゃいました。その光景をみていると、わんこも本当に幸せそうに見えました。私もそんな飼い主さんになれるようになりたいです。
  • 30代 女性 まろんママ

    たまたま先日、母がリウマチの疑いがあるということで血液検査を受けたという話を聞いてその時にリウマチについて軽く調べてみたんですが、犬も本当に同じような症状が出るんですね。人のように自分がリウマチだということを理解できない分、うまく体を動かせないこととか痛みが出ることにストレスを感じてしまうんだろうな、と考えるとやっぱりかわいそうですよね。記事を読んだ感じですと、やはり予防や完治はむずかしいもののようなので、飼い主としてはできるだけ早く症状に気づいてあげることや症状を悪化させないための対策が必要なんですよね。普段から歩いている時や走っている時などいつもと違うところがないか気をつけていようと改めて感じさせられました。
  • 女性 bonito

    友人のワンちゃんがリウマチになってしまったと聞いていたところです。確かに、リウマチは年齢に関係なく、なってしまう子は若くてもなってしまうようです。友人のワンちゃんもまだ5歳と若い方だと思いますが、リウマチになってしまったようです。他の方もおっしゃっていますが、人間にとってもリウマチは辛い症状で悩まされます。それがワンちゃんたちはあんな小さな体で負担も大きく、さらに「イタイ!」という言葉も発することができないので、さらに辛いと思います・・・。友人はリウマチになってしまったワンちゃんのために、家中のフローリングにカーペットを敷きなおしたと言っていました。家族みんなが心配して、どうにかリウマチの症状を和らげてあげようとしているようです。
  • 女性 ミサ

    人間でも関節リウマチはとても辛いですよね。動くために大切な役割を果たす関節が叫びたく
    なるほど痛くなる症状です。犬もこの関節リウマチになってしまうとは知りませんでした。また、なりやすい犬種がグレーハウンドということも驚きです。グレーハウンドに興味がある方は、このリスクを知っておいた方が良いでしょうね。また、現在は維持療法しかないようですが、今後何か良いお薬などが出てくることを祈っています。
  • 女性 ゴン吉

    リウマチは人間でも完治が難しいですよね。犬にもあるとは思わず驚きました。
    シーズーは割と色んな病気を発症しやすい犬種としてリストアップされてしまっているので、うちの愛犬も気をつけて見ておこうと思いますが、自己免疫疾患となると早期発見に努めるほか予防方法がないのですね。
    治療薬としてプレドニゾロンが挙げられていますが、ステロイドですね。心臓病を持っている愛犬には副作用の心配が大きいです。
  • 女性 コロ

    関節リウマチの好発犬種を見ると、似た犬種だけではなく様々な犬種が挙げられていたので、骨格が原因になるということではないのですね。自己免疫疾患は原因不明が多いので、予防をしようにもとても難しく、発症してしまうと完治することも難しいです。
    我が家の愛犬もシーズーなので好発犬種になっています。今現在は何ともありませんが、歳を重ねていくに連れ発症する可能性もあるので、極力関節に負担をかけないように注意しておこうと思います。

    人間もそうですが、関節リウマチは腫れて熱を持っているような状態なら冷やした方がいいです。熱もなく落ち着いているなら温めることで血流を改善し、痛みを緩和させることもできます。関節に優しいクッションと愛犬の体を冷やさない工夫で痛みも減らせると思います。
  • 女性 匿名

    我が家の愛犬(ミニチュアダックス 女の子 まもなく12歳)も、リウマチと診断され 1年になります。

    手足の関節が効かなくなり、
    人間でいうと 手の指の付け根(肉球)で歩いていた発症前と比べ、
    現在は 手首をべったりと床に付けて ヨチヨチと歩く状態です。

    改善する事は無く、関節の痛みを和らげて 少しでもQOLを良くしてあげる為にと信頼する主治医さんの苦渋の決断で ステロイド(プレドニン 5㎎)を 一日一錠 服用させ続けています。

    お外にも 本人が嫌がるのでほとんど出なくなり、副作用や ステロイドによる免疫力低下の心配もある事から 6種混合予防接種も 主治医の判断で 受けない事になりました。

    我が子が患うまで、まさかリウマチなんて(犬がリウマチを患うなんて)思いもしませんでした。

    手足以外にも 症状は徐々に広がり、
    耳の関節も突起し、尻尾の関節も2ヵ所 90度に曲がったカギ尻尾になり…。

    それでも、ステロイドのせいか 食欲だけは旺盛で 『ご飯ちょうだいっ♪』って 曲がった尻尾をフリフリしている姿が可愛すぎて愛しすぎて…

    ステロイドが悪いものとは思っていません。
    今、この子が ヨチヨチながらも 家の中を好きに歩き回り、大好きな果物を見れば チョンチョン跳び跳ねる仕草をして見せるのは ステロイドのおかげかもしれないから。

    いつか リウマチが完治できる病になる事を願って止みません。

    出来る事なら この子が この世にいてくれるうちに…

  • 女性 A

    リウマチは人間でも相当痛いです。しかもなかなかよくなりません。それが犬にも
    起こるなんて、考えただけでも悲しくなります。犬は言葉で痛みを訴えられないの
    で、日々観察してあげるなど予防策を考えてあげたいですね。
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