犬の加齢性疾患のための遺伝子治療に青信号、心臓病などに期待

犬の加齢性疾患のための遺伝子治療に青信号、心臓病などに期待

僧帽弁閉鎖不全症など犬の加齢性疾患のための遺伝子治療の商用化が一歩進んだという発表がありました。その内容をご紹介します。

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犬の遺伝子治療

試験管と顕微鏡と犬

特定の遺伝性疾患のために正常な遺伝子を持たない人の細胞に正常な遺伝子を挿入することで治療をする遺伝子治療は人間の医療の分野で様々な方法が研究されています。

しかし人間のための治療の前の段階として、犬の特定の疾患を予防や治療するための遺伝子治療も研究されてきました。

アメリカのハーバード大学医学部が企業と共同で研究開発してきた遺伝子治療技術があります。このたびリジュブネイト・バイオという企業がこの治療技術を商用化するための世界的なライセンスを取得したという発表がありました。この遺伝子治療技術では、犬のいくつかの加齢性疾患の予防および治療が対象となっています。

マウスでの治験は結果良好

マウスと遺伝子のモデル図

遺伝子治療の研究者は、マウスに3種類の寿命関連遺伝子を挿入することで、加齢に伴う疾患と闘い健康上の利益をもたらすという仮説を立てました。マウスの細胞に遺伝子を運ぶための運搬役としてアデノウイルスの血清型が使用され、肥満、2型糖尿病、心不全、腎不全のマウスに注入されました。

肥満のマウスと、2型糖尿病のマウスのうち肥満型であったものは遺伝子治療開始後に体重の減少が確認されました。腎不全によって腎臓の繊維化があったマウスでは萎縮腎が75%減少、心不全のマウスの心機能は改善が見られました。

このように加齢に関連する4つの症状全てに治療が効果を示し、健康状態が改善されました。商用化に向けての研究の次の段階は、これらの治療を犬に対して試みることです。

犬の僧帽弁閉鎖不全症の治療研究スタート

3匹のキャバリア

ライセンスを取得したリジュブネイト・バイオ社は米国国防総省のリサーチプログラムからの資金やアメリカン・キャバリアキングチャールズスパニエル・クラブからの助成金を確保しました。そしてこの資金によって僧帽弁閉鎖不全症の遺伝子治療のパイロット研究がスタートしました。

僧帽弁閉鎖不全症はキャバリアキングチャールズスパニエルに非常に多く見られる心臓の疾患です。キャバリア以外でも高齢の小型犬に多く見られ、犬の心臓病の中で最も多いと言われています。研究者は僧帽弁閉鎖不全症に遺伝子治療が有効であることが実証されれば、キャバリア以外の犬種にも治療研究を拡大したいと述べています。

またマウスでの治験で、この治療には繊維化を抑制する働きがあることがわかったため、拡張型心筋症などの他の心臓病にも適用できると考えているそうです。キャバリアを対象にしたパイロット研究がうまく行けば、米国食品医薬品局との動物用医薬品の試験に進むことができます。このプロセスには通常は約3年かかるそうですが、犬の心臓病に効果的な治療が開発されることに期待が膨らみます。

人間に対する遺伝子治療は、遺伝性疾患などで比較的まれな疾患を対象としているのですが、この研究が対象としている加齢性の疾患は人間でも一般的で多く見られるものです。治療法が犬に対して安全で効果的であることが判れば、人間のための同様の治療も道が開かれます。

まとめ

笑顔のシニアゴールデンレトリーバー

心不全や腎不全など犬の加齢性疾患のための遺伝子治療の技術が、研究室の中だけでなく実際に病気で苦しんでいる犬の治療に使われるよう商用化されるためのプロセスが一歩進んだというニュースをご紹介しました。

犬も人も加齢と共に健康が少しずつ衰えていくことは仕方のない部分もありますが、老化の過程であっても苦痛を感じることを減らし、生活の質を保つための治療が開発されることに期待したいですね。

《参考URL》
https://otd.harvard.edu/news/rejuvenate-bio-launches-to-help-dogs-live-longer-healthier-lives

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