保健所収容のシニア犬『てん』を迎えるまでの軌跡―シーズー達に導かれて

保健所収容のシニア犬『てん』を迎えるまでの軌跡―シーズー達に導かれて

現在、漫画連載中の『てんてこ、てん。』の主人公『てん』を迎えるまでには、私にとってかけがえのないパートナーだった2匹のシーズー犬の存在がありました。てんと出会うまでの、人生の軌跡を辿ります。

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家族にとってのアイドル犬

シーズー犬たもつ

6人家族の中心には、いつもシーズー犬の『たもつ』がいました。

たもつは、私が高校時代に引きこもりになり、犬好きな私がまた家族の輪の中に戻れるようにと、妹がアルバイト代をはたいて買ってきた子。そんなたもつは、私にとっては特別な親友のような存在でした。

幸せが崩れ始める

ソファーの上のシーズーとハチワレ猫

たもつと共に歳を重ね、どこへ行くにもたもつと一緒でした。でもそんな幸せは、母が癌になったことから崩れ始めます。

母が亡くなった翌年には父も脳出血で倒れ、苦しく長い闘病の末に死去。その頃には、たもつも17歳になり、すっかり年老いていました。

たもつは、両親を本当の親だと思っていたようで、2人が居なくなったあと一気に老け込み、持病の心臓病も悪化。一日に何度も起こる発作に苦しみ、目の離せない日々が続きました。そこで私は思い切って仕事を辞め、たもつの看病に専念することに決めたのです。

長かった闘病と苦しい最期

額を寄せ合う人間とシーズー犬

1日1日と転がるように病状が悪化し、私はいつの間にか、たもつの存在にしがみつくようになりました。両親を亡くした上に、たもつまで居なくなってしまったら…。

そんな依存心はたもつを苦しめ、早く苦しい身体から解放されたかったはずのたもつを、命の果てる最期の瞬間まで苦しめてしまいました。

闘病から7ヵ月後のことでした。

私が依存したことで、安らかな最期を迎えさせてあげられなかったという自責の念は、その後何年も私を苦しめました。

ご飯も食べられず、外出も出来ず、息をすることすら無意味に感じた毎日。涙も枯れ、生きる意味などもうないと感じていました。

たもつからのギフト

シーズー犬顔正面

しかし、たもつの闘病中にネットで有益な情報を探していた時に初めて知った現実が、後の私の生きる糧になります。

それは、この日本にはたくさんの保護犬や保護猫がいて、毎日のように殺処分されているという現実。

そして犬や猫に限らず、畜産業・ペット産業・動物実験・毛皮問題・森林破壊など、人間の贅沢品のために犠牲になる動物たちがたくさんいるという現実。

『ボクが苦しいのと同じように、世界中の仲間たちも苦しんでいることに気付いて!』

今にも終わりそうな身体全部を使って、たもつが私にそう言ってくれているような気がしました。それはきっと、たもつが最期に残した、私へのギフトだったのだと思います。

シーズー犬左頬下のアップ

すべては人間の未熟さが引き起こしている現実。

今までは、自分の目に触れなければ問題は起こっていないと錯覚していたのかも知れません。

世界を変えることは出来なくても、自分が変わることは出来る。

そう教えてくれた、たもつの死を無駄にしないためにも、泣きながらでも自分に出来ることを始めようと思いました。

それから、少しずつ保護活動を始め、ヴィーガンという動物を搾取しない生き方を選択しました。

初めて迎えた保護犬

個人的に猫の保護活動は行っていたものの、犬に対してはアクションを起こせずにいました。

ほぼ毎日のようにブログやサイトで見かける、シーズーの保護犬。次から次に保護される姿を眺める日々に悶々としていたある時、思い切ってブログ主に里親希望のメッセージを送ることに。

ケージの中のシーズー犬

推定、10歳程のシーズーの男の子。路頭に迷っている所を保護され、身元は不明。健康状態なども分からず、アップされた数枚の写真だけがその子を知る唯一の情報でした。

例えその子が病気持ちでも、長生きできなくても構わない。ただ、純粋に助けたい。その時はその思いだけで、そのシーズー犬を引き取りました。

思いがけない幸せ再び

正面でお座りシーズー犬

確かにシニアクラスの子ではありましたが、元気いっぱいで食欲も旺盛。人懐っこく、私の顔を見てはちぎれそうなくらいに尻尾を振ってくれる。

私はすぐメロメロになり、名前を『すばる』と付けました。

椅子の上でアゴ乗せシーズー

すばるは先代のたもつとは違い、人間が大好きで愛嬌が良く、どこへ連れて行っても可愛いねと褒められる。

シニア犬を助けたはずが、すばるはいつしか私の完璧なパートナーとなり、思いがけず手に入れた幸せに、私は次第に溺れていきました。

悪夢再び

そんなすばるを迎えて2年が過ぎた頃、すばるが『悪性リンパ腫』を罹患。治癒は絶望的でなす術もなく、発病からたったの3ヵ月で苦しみの末に天に帰りました。出逢ってからたった2年5ヵ月目の出来事でした。

青空の下シーズー犬

こんなに早く別れが来るなんて…悲しみに打ちひしがれ、私の毎日はまた色を失ったようでした。

たもつの時に散々思い知り、もう2度と依存しないと誓ったはずなのに、結局はまたすばるに依存していたことを思い知らされたのです。

動物たちを救う一助になりたい

それからの毎日は、相変わらず細々とした猫の保護活動と里親探しの日々が続きました。

本当は、助けを求める動物たちのために、もっと何か出来るんじゃないか…そう思いながらも、最良の答えが出ず、毎日が葛藤でした。

そんな時、新年のご挨拶に氏神様の神社に参拝し、胸の内をお伝えすることにしたのです。

その後に自宅へ帰り、Instagramを開くと、殺処分目前の2頭の雑種シニア犬のシェア記事が目に止まりました。

犬を迎え入れる予定などまったく無いどころか、猫の保護活動で増えた9匹の猫たちのお世話に追われ、犬を引き取るのはまだ先の話だと思っていたのですが、何故か見た瞬間に『この2頭を引き取ろう』と思ったのです。

改めて今の自分の環境上、本当に引き取ってお世話が出来るのかをきちんと考えました。そしてその後に、発信元の個人ボランティアの方にご連絡をし、翌日には収容されていた保健所へ直接訪問。

1頭は老衰のために当日の朝亡くなってしまったそうですが、もう1頭の一見元気そうなシニアの女の子を、その日に連れて帰ったのでした。

天よりお預かりした『てん』

てん正面

犬でも猫でも、この世に生まれた命は人の物ではなく、天より預かりし命。見返りなど求めず、ただお世話に勤しみ、時が来たら『ありがとう』と言ってまた天にお返しする。

2匹のシーズー犬に依存し、手放してあげられずに苦しめてしまった私は、次こそは同じ轍を踏むまいと、そう誓っていました。そして自戒の意味を込めて、引き取った子に『てん』と名付けたのです。

てん横になる

現在、てんを引き取ってから11ヵ月が経ちました。まだまだ空回りすることもあるけど、時間と共にてんの新しい顔を知ることが出来て、毎日が刺激的です。

きっと、てんとのご縁は今の私にとって必要なメッセージ。必然だったのだと思います。

大きなことは出来ないかも知れないけど、純粋な動物たちに向き合い、お世話させて頂けることに日々感謝の気持ちを忘れないこと。

そして、未熟ながらも自分の小さな活動が、動物たちを助けたいと思って下さる方の輪を広げ、命のバトンを繋ぐお手伝いが出来たら素敵だなと心から思っています。

車の中で見つめるてん

そんな軌跡から出逢った「てん」が主人公の漫画『てんてこ、てん。』が、現在わんちゃんホンポ内で連載されております。

保護した9匹の猫たちと共に、てんの様々な表情をお伝えしていますので、是非ご覧下さい!


連載漫画『てんてこ、てん』

元気盛りの保護猫9匹と、突然現れたのんびりおっとり、シニアの天然保護犬『てん』との凸凹エッセイ漫画『てんてこ、てん。』は、毎週金曜配信で大好評連載中です!

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