オオカミっぽく振る舞う犬種と犬っぽい犬種のアイコンタクトの違い【研究結果】

オオカミっぽく振る舞う犬種と犬っぽい犬種のアイコンタクトの違い【研究結果】

人間の手による選択育種の歴史が長い犬種とそうでない犬種の行動を比較する実験が行われ、その結果が発表されました。オオカミのように行動する犬、犬らしい行動をする犬、その違いをご紹介します。

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オオカミっぽい犬種、犬らしい犬種

2頭のチェコスロバキアンウルフドッグ

犬のトレーニングにおいて、犬が人間の目を見るアイコンタクトはコミュニケーションの大切なポイントとされています。犬が種の異なる生き物である人間とアイコンタクトでコミュニケーションができることは、犬の家畜化とその後に続く選択育種の両方から来ていると考えられます。

では、よりオオカミに近い犬種と、人間の手による選択育種の歴史が長い犬種ではアイコンタクトに違いはあるのでしょうか?この疑問について、イタリアのピサ大学とミラノ大学の研究チームが行動実験を行い、その結果を発表しました。

3種類の犬種で行動を比較

ジャーマンシェパードの正面顔

実験は一般から募集された56匹の犬が参加しました。内訳は、23匹のチェコスロバキアンウルフドッグ、15匹のジャーマンシェパード、18匹のラブラドールレトリーバーでした。ウルフドッグが最も人間の選択育種の手が入っていないオオカミに近い犬種、ラブラドールが最も選択育種の歴史が長く人間の手が入った犬種、シェパードはその中間です。

犬たちはよく似た生育環境(普通の家庭犬として飼い主と近しい関係にある)で、特別なアイコンタクトが必要な訓練などを受けたことがない者ばかりが選ばれました。実験は全て、それぞれの犬の自宅で行われました。

犬たちはまず、プレートの上に置かれた食べ物に金属製のザルがかぶせられている実験装置を見せられ、ザルを自分で持ち上げたりずらしたりして食べ物を得るように訓練されました。

この第一段階に合格した77%の犬たちは次の実験に進みました。2番目の実験では食べ物にかぶせられたザルがプレートに固定されており、犬が自力で食べ物にありつくことは不可能なよう設定されていました。犬が不可能なタスクを与えられた時に、人間に頼るかどうかを確認するためです。この判断の基準は犬が実験を行なっている人間の目をどれだけじっと見つめたか、アイコンタクトに費やされた時間の長さでした。

犬種間で行動に明らかな違いが!

見つめるラブラドール

実験の結果はとても明らかなものでした。不可能なタスクを前にした犬たちは3犬種ともに実験装置をじっと見たり匂いを嗅いだりすることにほぼ同じくらいの時間を費やしました。その後、ウルフドッグとシェパードは装置を動かそうとすることにラブラドールよりも長い時間を費やしました。

さらに人間の目を見て助けを求めるアイコンタクトを取った犬はウルフドッグでは17匹中9匹、シェパードでは12匹中9匹、ラブラドールでは15匹中13匹でした。アイコンタクトの時間の長さは、ウルフドッグでは平均して1秒未満、ラブラドールでは平均して4.5秒と大きな違いがありました。シェパードはちょうどこの中間でした。

またアイコンタクトを取る対象となる人間が、ウルフドッグの場合は実験者(実験装置を操作する責任者だが犬にとっては馴染みのない人)シェパードの場合は側にいた飼い主、ラブラドールは実験者と飼い主の両方というように、興味深い違いが観察されました。

この結果から研究者は、人工的な選択育種の歴史の長いラブラドールのような犬種はオオカミのような行動が少なくなったと結論付けています。チェコスロバキアンウルフドッグの選択育種は、オオカミに近い古代の犬種により近くなるよう行われています。
研究の次の段階ではウルフドッグとジャーマンシェパードの比較を明確にして、チェコスロバキアンウルフドッグの遺伝的な役割をより良く理解していく予定だそうです。

まとめ

様々な犬のポートレイト

チェコスロバキアンウルフドッグとジャーマンシェパード、ラブラドールレトリーバーという選択育種の歴史の長さが違う3犬種を比較する行動実験の結果をご紹介しました。人間の手によって選択育種された歴史が長いほど、オオカミ的な行動が少なくなり、人間に助けを求めるためのアイコンタクトが増えるというのは、予想できたとは言えやはり興味深く面白いですね。

そして、このように人間の手が加わるほどに犬は人間の助けを必要としているということから、犬という生き物に対して人間は大きな責任を背負っているのだと痛感します。チェコスロバキアンウルフドッグもオオカミに近いとは言え、やはり人間の手が加わって人間の側で生きていくように作られた生き物です。

人間は犬に対して、きちんとその責任を果たしているのだろうか?と改めて問われたような気がします。

《参考URL》
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.190946

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 男性 柴犬大好き

    このアイコンタクトの法則は一部例外があります。

    オオカミとDNAが2%未満しか違わない、柴犬はアイコンタクトの達人ですよ。
    ご飯、遊んで欲しい、おやつ、目と鳴き声で要求のオンパレード。

    後一日に2回位ふいに意味不明の強烈な眼力を、喰らわして来てもうもう可愛くて仕方がないです。
  • 投稿者

    20代 男性 匿名

    私の犬も訓練時取りにくい場合はアイコンタクトして助けを求めます、ですがとろうとするあまりキツくなってしまっています。もう少し愛犬の気持ちを理解して訓練を続ける必要があると思いました。とろうとする意識はあるのでそれを損なわないように接する必要がありました
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