飼い主の心の状態と犬の分離不安には関連がある?【研究結果】

飼い主の心の状態と犬の分離不安には関連がある?【研究結果】

飼い主と離れている時に吠え続けたり物を破壊したりする犬の分離不安。悩んでいる人が多い犬の行動上の問題の一つですが、犬の分離不安と飼い主自身の心の状態の関連についての研究が発表されました。

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犬の分離不安の原因を調査

破壊した椅子のそばに伏せるコリー

犬を単独で留守番させるときに、キュウキュウ鳴き続けたり、吠え続けたり、家具やドアなどを破壊してしまったという行動の問題に頭を悩ませている飼い主さんは少なくありません。これらは一般的に分離不安と呼ばれるものです。先ごろ、スウェーデンのエトヴェシュ・ロラーンド大学の倫理学の研究者が、犬の分離不安の原因を探るための研究の結果を発表しました。

分離不安は、それぞれの犬の経験、遺伝的要因、ホルモン的要因その他にもいくつかの要因があって、単純に「これが原因だ」と言えるものではありませんが、このたびの研究では、要因の一つである飼い主と犬の関係性=愛着と分離不安が取り上げられました。

人間の母親と子供の間の愛着と分離不安

母親に抱きついて甘える男の子

さて、犬の話の前にちょっと人間のお話をします。人間に限らないのですが、ほとんどの種の生き物は、親に対する愛着を示します。愛着とは、特定の相手に対する特別な結びつき、またはそれを求める現象を指します。愛着の様々な形を愛着スタイルと呼びます。愛着スタイルは大きく分けて『安定型』と『不安定型』の2つがあります。

親に子供が発するサインや感情的なニーズに対し、子供自身が予測できる方法で対応すると、その子供は安定型の愛着スタイルを身につける可能性が高くなります。これは言い換えれば、子供が他者を信頼し安全に感じるということです。

反対に、親が子供からのサインやニーズに対して、子供が予測できないような方法で対応、またはサインやニーズに反応しないでいると、その子供は不安定型の愛着スタイルを身につける可能性が高くなります。不安定型には『他者を信頼せず親密な態度を避ける回避型愛着』と、『見捨てられたり拒絶されたりすることを恐れる不安型愛着』があります。(人間の場合、不安定型には他のタイプもあるのですが、ここでは便宜上この2つだけをあげます。)

人間の子供の分離不安は、不安定型の不安型愛着スタイルの子供に発症する可能性が高いと言われています。また、子供からのサインやニーズに対する親の対応は、その親が子供の頃にどのくらい安定した愛着スタイルを持ってきたかに影響されます。

飼い主の感情と犬の愛着スタイル

窓の外を見つめるプードルの後ろ姿

犬の家畜化の影響として、犬は飼い主に対して子供が親に持つのとよく似た愛着を持ちます。それでは分離不安を示す犬は、人間の子供と同じように不安定型の不安型愛着スタイルを持っているのでしょうか?犬がサインやニーズを示しているときの飼い主の対応は、その人自身の愛着スタイルに影響されるのでしょうか?これらのことを調べるために、研究者は犬の飼い主125人に、飼い主が不在のときや帰宅したときの犬の行動、犬を単独で残したときの飼い主自身の不安について、アンケート調査を実施しました。

研究者は犬たちの愛着関連行動と、犬を単独で残したときの飼い主の感情に基づいて、愛着スタイルのグループ分けを試みました。犬の愛着スタイルは人間の場合と同じように、安定型と不安定型に分けられ、不安定型はさらに回避型愛着スタイルと不安型愛着スタイルに分けられました。

そして、人間と同じように不安定な不安型愛着スタイルのグループで分離不安の行動が最も多く報告されました。飼い主や近所の人がはっきりと分かる吠えや鳴き声で不満を表す犬たちです。

一方この研究では、吠えたり鳴いたりも破壊行動もせず、黙って飼い主の不在に苦しんでいる犬がいることも示されました。これは犬の回避型愛着スタイルです。単独で残されたときに高いレベルのストレスを経験していることが心理的症状として現れているけれど、行動には現れないため、分離不安が気づかれにくいのです。

不安定型のグループの犬で、飼い主が犬を単独で残すことに不安を感じていない場合、飼い主は自分の犬の行動に問題があるとさえ考えていない場合が多々ありました。(実際には問題があるにも関わらず)この場合、飼い主自身が不安定な回避型愛着スタイルを持っている可能性があります。

以前の研究では、回避型愛着スタイルの飼い主が分離不安のある犬を飼っている率が高いことも分かっています。回避型の人が持つ特徴のひとつに、微妙なニュアンスやサインを読むのが苦手というものがあります。その場合、犬が発しているシグナルやサインに対して飼い主の反応が薄い、又は反応がないため、犬は安全の感覚を持つことが難しくなります。

人間の場合は、親の愛着スタイルが回避型及び不安型の両方の場合で、子供の愛着スタイルが不安定になりがちなのに対し、犬の場合は飼い主が回避型愛着スタイルであった場合だけが犬の不安定な愛着につながっているようでした。

また、犬が飼い主不在のときに中程度のストレス行動しか示していないけれど、飼い主自身は犬を置いていくことに強い心配を感じている場合もあります。実はこれが最も多く見られるパターンだったのだそうです。この場合、飼い主自身が不安型愛着スタイルを持っている可能性がありますが、犬への影響は大きくありません。

まとめ

ハスキー犬を撫でている男性

犬の飼い主に対する愛着のスタイルのうち、分離不安行動に繋がりやすいタイプがあり、それは飼い主自身の愛着スタイルの影響を受けているという、エトヴェシュ・ロラーンド大学の研究結果をご紹介しました。研究者は「犬の分離不安の全てにおいて、飼い主の反応に問題があるというわけではありません」と強調しています。

けれども、犬が発するサインやシグナルに注意を向けてきちんと読み取り、犬が理解できる方法で反応することが、犬にとって安全であるという感覚に繋がるというのは、とても重要なポイントです。愛犬が不安定な愛着スタイルを持ってしまうに至らないよう、自分自身の感情や犬への対応を改めて見直そうと思わせられる研究結果でした。

《参考》 https://www.elte.hu/en/content/secure-owners-calm-dogs.t.984

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