保護犬選びとお見合いパーティーの意外な共通点【研究結果】

保護犬選びとお見合いパーティーの意外な共通点【研究結果】

保護施設から犬を引き取る時と、お見合いパーティーで相手を選ぶ時の人間の心理には共通するところがあるそうです。保護犬譲渡の成功のための研究の結果をご紹介します。

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保護施設に犬を引き取るために来る人が求めるもの

シェルターで犬を撫でる家族

アニマルシェルターやレスキューグループなどに保護犬を引き取りたいと思ってやってくる人たちは、みんなそれぞれに「こんな犬がいいな」という希望を持っています。しかし、実際に連れて帰る犬を選ぶ段になると、最初に考えていた希望項目とあまり一致しない犬が選ばれることも多いという点に研究者が気づきました。

アメリカのインディアナ大学の心理・脳科学の博士課程の研究者は、保護施設を訪れた人々がどんな犬を欲しいと思っているか、実際にどんな犬が引き取られたかを調査しました。そこには、保護犬譲渡の質を向上させるヒントがありました。

研究者はアニマルシェルターで犬の縁組をコーディネートするカウンセラーとしてボランティアを行い、研究の一環としました。そこを訪れた1229人に対して、どんな犬が良いと思っているかアンケート調査を行いました。

重視する項目として、年齢、性別、色、サイズ、犬種(純血かミックスか)、訓練状況、怖がり傾向、防御傾向、賢さ、興奮傾向、エネルギーレベル、遊び好き傾向、フレンドリーさという13の特性が挙げられました。

カウンセラーである研究者は、このアンケートを元にして「この犬はどうですか?」と提案をするのですが、訪問者は自分が重視すると書いた特性に当てはまらない犬を選ぶことが度々ありました。

どうして求めていた特性と違う犬を選ぶのか?

シェルターの子犬たち

さて、アニマルシェルターにおける犬の譲渡縁組の調査とは別に、この研究チームのメンバーは人間のお見合いパーティーにおけるカップル成立における心理学の研究も行っていました。面白いことに、お見合いパーティーの場でも犬の譲渡縁組と同じようにリストアップした好ましい条件に当てはまらない相手を選ぶ傾向が見られました。

犬の引取り希望者がアンケートの段階で答えた希望する項目のトップは、「フレンドリーさ」だったのですが、実際に選んだ犬を見ると一致していたのは年齢と遊び好きな傾向だけというのが最もよく見られるパターンでした。
保護犬の縁組とお見合いパーティーのカップル成立の場面で、当事者たちの選択の決め手として共通していたこと、心理学の研究チームが出した結論は「見た目」でした。

人間同士のカップルの場合は、後から「思っていたような人ではなかった」としても、お互いに言葉で話し合うなどして調整したり、別れてしまったとしても大人同士のことですから何とかなったりします。

しかし、犬の縁組の失敗は犬にはどうすることもできません。言葉で誤解を解くこともできずに悲劇につながることもあるので、この調査結果を保護犬の譲渡の場で生かす必要があります。

保護犬の譲渡縁組で失敗しないために

シェルタースタッフと話す希望者の女性と犬

研究者は、犬の引取り希望者にありがちな失敗の原因をいくつか挙げています。

特定の事柄にこだわり過ぎる

ある特定の身体的な特徴や性格に過度にこだわるあまり、本来ならとても良いマッチングになるはずの犬を見逃してしまうことがあります。犬を家庭に迎えるのは、カーペットにマッチした色のソファーを購入するのとは全く違います。そこまで極端ではなくても、特定の犬種にこだわって、気質もサイズもぴったりなミックス犬が眼中に入らないなどは良くある例、犬に取っても人にとっても残念なことです。

犬が発しているサインの読み間違い

犬と暮らした経験のない人が初めてアニマルシェルターに来て犬を引き取ろうとした場合、犬の行動を読み間違ってしまうのはよくあることです。例えば「遊び好きで元気」だと思って連れて帰った犬が家中を破壊してしまったり、「従順でおとなしい」と思った犬が極端な怖がりで、そのせいで攻撃的になってしまったりする可能性があります。

環境から来る変化

シェルターは犬にとってはストレスの多い特殊な環境です。そこにいるときと家庭でリラックスした状態では違う気質や行動を見せるのも珍しいことではありません。研究者は、より良い譲渡縁組を増やすために保護施設のカウンセラーやスタッフは、上記のような失敗の原因をよく知っておく必要があるとしています。

犬の初心者に対する丁寧な説明、トライアル期間の設定とサポート、犬をボランティア家庭で短期一時預かりに出してリラックスした環境での気質を把握しておくことなどが重要だと述べています。

まとめ

シェルタースタッフに甘える犬たち

アニマルシェルターの犬の譲渡縁組での失敗を避けるために、インディアナ大学の心理学の研究者が発表した調査の結果をご紹介しました。
人間のお見合いパーティーと似た傾向があると聞くと、ちょっと驚きつつも納得が行くような気もします。犬の里親募集会場や保護施設に行って「運命の1匹」に出会ってしまったというのはよく聞く話ですし、犬にとっては一生を共にする相手になるわけですものね。

《参考》
https://doi.org/10.3758/s13428-019-01253-x
https://news.iu.edu/stories/2019/06/iub/releases/24-choosing-perfect-dog-similar-challenges-relationship-choice.html

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