シェパードの性格
オス・メスの性格の違い
ほかの犬種と同じように、シェパードも雄は猛々しく、メスは柔和な性格です。
ただ、知能が優れているシェパードは学習能力が高く、もともとの性格というよりも躾や生活のなかで形成される後天的な部分が大きく影響します。それに、メスは柔和だといっても、子育ての一時期は明らかに神経質になります。
ただ、訓練時のオスメスの違いははっきりしています。脚側歩行など、メスは穏やかな指示に素直に対応し、側で歩く嬉しささえ表現するのに、オスはややキツイ指示でないと対応しない、対応しても「いやいやながら」風な様子を見せる傾向があります。もちろん、個体差はありますが、シェパードには一般にそのような相違が見られます。
性格は2つのタイプに分けられる
訓練タイプの場合
警察犬などの特定の実用的な訓練をこなす活発な性格です。使役犬を目的としてブリーディングされているシェパードに多く、非常に高い身体能力を持っています。
ショータイプの場合
展覧会やドッグショーなどのイベントに出せるようなおっとりとした性格です。基本的に冷静で物静かですが、神経質な一面も持ち合わせています。
気弱なところも…
一見、シェパードは強そう、怖そうに見えますし、実際に力が強い犬なのですが、意外に気弱なところがあります。
レトリバー系の犬の方が天然というか、打たれ強いのに対して、ジャーマンシェパードは打たれ弱い性格です(見た目と全然逆)。怒られるといつまでもグチグチとしていたり、スネたりしがちです。
シェパードの作業犬としての能力
シェパード、正確にはジャーマン・シェパード・ドッグは、ドイツ原産の犬種で、そもそも”シェパード”とは羊飼いのことですから、「ドイツの牧羊犬」という意味になります。日本では通称シェパードと呼ばれていますから、ここでも以下「シェパード」と書くことにします。
シェパードという犬種は、とても知的で忠誠心と服従心に富み、訓練が好きな性格から種々な作業犬として重用されます。
- 災害救助犬
- 警察犬
- 麻薬探知犬
- 軍用犬
それぞれの用途に向いた特殊訓練を受けて、シェパードは人間社会への貢献度がとくに高い犬です。知能が高く、辛い訓練にも耐えるシェパードですが、実は盲導犬として使われることが比較的少ないという事をご存知でしょうか?
これはこの犬の高い忠誠心がかえって仇となり、幼少期に飼い主と引き離されるときに、分離トラウマが発生することが原因のようです。
シェパードの教育と訓練
「訓練の行き届いていないシェパードはシェパードではない」ということがいわれます。つまり、訓練/教育がシェパードほど大切な犬種はない、ということなのです。もっといえば、シェパードの知能はとても高く、それを引き出すリーダーシップが充分でないと犬に「舐められる」ような事態もある、との記述を読みました。
この犬ほど教育/訓練と環境で性格と性質が変わる犬種はありません。幼いころにしっかり教育されたシェパードは本来の強い顎(あご)は持ちながら從順で服從心豊かな犬に成長します。「噛む」「(噛むのを)やめる」などの命令も理解できますから、さまざまな分野で作業活動ができます。
逆に、幼犬時代に教育が行き届かなかったシェパードは、力強さだけが目立つ、攻撃的な犬になってしまいます。こうなった成犬のシェパードはもう再教育ができなくなります。
こんな話も聞いています。
ある警察犬の競技会でのこと、いうことを聞こうとしないシェパートを、飼い主(あるいは訓練士?)らしい人が、思い切りぶん殴っていうことを聞かせていました。シェパードとかドーベルマンとかは、これくらいのことができる人でないと、飼えないのだなと感じた、というのです。
これは特殊な出来事かもしれませんが、理解しなくてはいけないのは、シェパードは可愛いだけで飼う犬ではない、シェパードという犬の素晴らしさはトレーニングによって初めて開花するものだ、ということです。
シェパードを飼える人、飼えない人
ます、復習の意味でシェパードという犬のイメージを再現してみましょう。
シェパードは知能の高い犬だということ、訓練/教育が不可欠だということ、大型犬で力が強い犬だということ、リーダー意識が強い犬だということ。つまり、シェパードを飼えるひととは、これらの点を十分理解して対応できる人、ということになります。具体的には
リーダーになれるか
シェパードは賢い犬だから、飼い主が自分より格下であると判断した場合、シェパードはまったく言うことを聞かなくなります。そうなったら、自分の強さを誇示するために、飼い主や家族、ときには他人に危害を加えることにななるらないとは限りません。自分の飼うシェパードのリーダーになれるひとだけが、シェパードを飼うことができます。
褒め方を知っているか
シェパードの褒め方は短く単調にすること。
ほかの犬なら、なにか良いことをした場合、過度に褒めてあげると覚えが良くなるから、大いに褒めても構いませんが、シェパードの場合は違います。この点を理解できるひとがシェパードを飼えるひと、できないひとはシェパードは飼えないひとです。
例えば、麻薬犬を指導している警察の方に聞いたことがあります。シェパードがいうことを聞いたときには単に「よし」としか言わないそうです。これは、シェパードが「自分の方が上だ」と感じさせないために必要なことだというのです。いうことを聞いたらうんと褒めてあげたい気持ちはグッと抑へること。
フィジカルは大丈夫?
シェパードを飼う前にまず知っておきたいことは、シェパードが非常に精力的な強さと遊び心がある性格の犬だということ、そのため運動が必要だということです。運動や遊びが足りないと、いらいらから顔つきが変わってくるのが分かります。だから、毎日のジョギング、40キロくらいを引っ張りコントロールする力がないひとはシェパードを飼うことはできません。
お財布は大丈夫?
シェパードほどの知恵のある大型犬を育てるには、高品質な食事と新鮮なお水は欠かせません。それが犬の健康に欠かせないからです。おすすめの食品は、トウモロコシではなく、肉(鶏肉、牛肉、豚肉、ラム)です。
ドッグフードなら成分表などをチェックしましょう。飼うとなれば、あなたのシェパードが医者要らずの健康な身体を保てるかどうか、お財布の具合がポイントになります。
シェパードの種類
実は「ジャーマンシェパード」というのは、「シェパード」と呼ばれるたくさんの種類の中の1つなんです。最もメジャーな犬種「ジャーマンシェパード」の仲間たちを一覧にしました。
- ジャーマンシェパード
- アナトリアンシェパードドッグ
- アメリカンツンドラシェパード
- イーストヨーロピアンシェパード
- イングリッシュシェパードドッグ
- オーストラリアンシェパード
- オールドジャーマンシェパードドッグ
- カルストシェパード
- カルパチアンシェパード
- キングシェパード
- コーカシアンシェパードドッグ
- サウスロシアンシェパード
- シャイロシェパード
- セントラルエイジアンシェパード
- タービュレン
- ダッチシェパード
- タトラシェパードドッグ
- バスクシェパード
- ピカルディシェパード
- ベルガマスコシェパード
- ベルジアンシェパード
- ボヘミアンシェパードドッグ
- ホワイトシェパードドッグ
- マヨルカンシェパード
- マリノア
- ミオリティックシェパードドッグ
- ラケノア
シェパードの逸話
華麗な転身
第一次世界大戦の戦場で、一頭の雄のジャーマンシェパードが一人のアメリカ兵、リー・ダンカンに救われました。ダンカンはこの犬をリンティーと名づけて、帰国後トレーニングを積み、サイレント映画の主人公に仕上げました。
名前は「リン・ティン・ティン」。リン・ティン・ティンは27本のハリウッド映画に出演して、世界中にリン・ティン・ティン・フィーバーを巻き起こしました。戦場のジャーマン・シェパード、そうです、この犬は軍用犬として使役されていたのを、救われて別の世界で名を知られるようになったのです。
多くの命を救った英雄
2015年にチュニジアの首都で起きた観光地を狙った無差別襲撃テロ事件で一匹の警察犬が多くの命を救うために殉職しました。警察犬の名前は「アキル」。
テログループを制圧するために特殊部隊と共に現場に突入し、犯人の襲撃により命を落としました。特殊部隊が撤収する際、担架で運びだされるアキルに対して観衆は「ありがとう」の感謝の声と大きな拍手で見送りました。
まとめ
シェパードといえばコリーと並んで大型犬の貴公子、飼えれば飼いたい犬のナンバーワンです。ですが、飼うなら飼うでさまざまな縛りがあります。ここで述べたように、飼う人の覚悟がいる犬です。
現実的には、例えば茨城県ではシェパードは「危険動物」に指定されている、などです。危険だというイメージがついていること自体、シェパードを飼うことはプードルを飼うのとはわけが違ってくるわけです。それは、土佐犬やブルドッグなどでもいえることですが、シェパードの場合はそれに加えて並外れた知能があることが、飼い方を難しくしています。
もう一点、シェパードのために正しい社会的認知が必要だと思います。シェパードは強暴な性格だという世間的なイメージだけに囚われているひとも多いからです。人や他の犬や動物との交流、車の移動、混雑した場所に移動する時、ビーチや川では、動物のイベントなどへ、シェパードたちを積極的に参加させて自信をつけさせてあげましょう。
様々な環境に対応できるように、計らってやることが大切です。生活範囲が庭や小屋だけに狭められてしまうと、シェパードたちは、より吠えたり、人々や他の犬を攻撃する可能性が増えてしまうからです。もちろん、それらの「障害」を乗り越えてシェパードとの豊かな共生生活を楽しむ人がもっと多くなることが、筆者の率直な願いではあります。
▼関連記事
オーストラリアンシェパードは飼って楽しい犬!
ユーザーのコメント
30代 女性 ミニー
訓練をしっかり耐えられる辛抱強さは、優秀な犬の証拠だと思います。人間顔負けです。また、犬の持っている察知力や能力は本当に凄いと思います。
30代 女性 Chappy
ずっと、訓練でかわいそう…楽しいのかなと子供の頃は思っていました。でもシェパードにとって、その訓練こそが人との触れ合う唯一の生きがいだったりするのかもしれませんね。
30代 女性 狩路
そしてイメージ通りの活躍ぶり。躾の困難さや財布の心配を差し引いてもやはり素晴らしい。もっと多くの人が、シェパードと暮らせる位の、犬に対する知識と経験を持てるといいですね。
20代 女性 すず
それだけ賢くて優れた能力を持っているからこそあれだけの立派なお仕事が出来るのですよね。一度でいいからシェパードのような大きいわんちゃんを飼って見たいなと思いました。
30代 女性 もこじ
最近でもドックランや散歩中での事故等でシェパードの名前がニュースでも上がりますが、犬に責任はないんだなと改めて実感しました。シェパードは頭の良い犬種ランキングで必ずランクインされてる程の知能の持ち主ですよね。
飼い主が本当にリーダーか判断するところも頭の良い証拠ですね。記事を読んで、私はいくら大きい犬でも体を思いっきり叩くことは出来ません。
それ以外でも、自分はシェパードを飼う自信ないなあと思い知らされました。どんな犬種からもリーダーと認められる人間になりたいです。
20代 女性 匿名
とても賢く素晴らしい犬種です。私には過度に褒めない、いざとなったら力強く叩くと言うことができないと思います。
そんな私がシェパードを飼うことはシェパードにも可哀想だと思いました。
50代以上 女性 匿名
女性 ぽんた
女性 タカコ
女性 ゴン吉
海外では、牧羊犬として現役のボーダーコリーや、羊などをオオカミから守る役割のシェパードの食事には、朝のみ大量の生の肉だけを食べさせている、というのをテレビで見たことがあります。良質な筋肉を作ることで瞬発力や持久力が向上し、必要な栄養も均等に取れるのだそうです。元々犬は肉食ですから、それでも十分なのかもしれませんね。
お腹を壊さないのかなと思いますが、子犬の頃から生肉に慣れさせていると大丈夫なんだそうです。日本ではドライフードがメインの食事なので、生肉メインは難しいですね。
シェパードを散歩している人はしつけのしっかりできる人が多い印象です。公園などで見かけても飼い主の横にピタッとつき、何かある度にアイコンタクトを取ろうとする姿が見受けられます。一緒にジョギングをしている人もいますね。飼い主さんもしっかり指示を出すことができるので、とてもコミュニケーションが取れていると思いました。
時に厳しく、褒める時はしっかりと的確に褒められる人が向いていると思います。欲しいと思っても自分では手に余る犬種だなと思いました。
女性 匿名
大型犬にしては小さいめで、自分で考えて行動する、とても素晴らしい犬種です。
ただ、人を見ます。
言う事を聞く人と聞かない人がハッキリ分かれます。
幸いどの子も私の言う事は聞いてくれましたが、聞いてくれない人には本当に散歩すら難しい犬種です。
どの子も大体小心者で、怖いよー、とすぐ私の後ろに隠れるくせに、イザとなったら前に出て守ってくれる、ものすごく健気な子達でした。
シェパードよりも危ない犬は多いのに、なぜかシェパードの方が怖がられるのが腑に落ちません。
シェパードは犬の完成形の一つだと思っています。
女性 コロ
予防接種で見かけたシェパードは、態度こそ堂々としていましたが、さり気なく足が震えていました。怖いものは怖いけど、我慢強いんだなぁと思いました。
30代 女性 匿名
記事にある、”思い切り殴っていた、そのくらいの人でないとシェパードは飼えない”という言葉は、大変誤解を受けやすいと思います。
どの犬もそうですが、犬は殴るような人間は決して信頼しません。
犬は賢いため、殴られても必死で我慢しているだけで、殴る人に服従しているわけでも信頼できるリーダーと思っているわけでもありません。生きるためにその人の世話が必要であるとわかっているから、耐えているだけです。
シェパードと、犬と共に暮らせるのは、殴ったりする必要など全くないと理解できる人だけです。
うちの子は、リードが不要な場所でも、呼べば必ず戻ってきます。リードがなくても腰を叩けば横について歩きます。首輪を見せれば自ら首を通し、リードを持てば寄ってきて首をあげて装着を待ちます。座って、伏せしてね、待ってて、あっちに向かって、遊ぶ?寝よう?など、様々な言葉も私の指の合図だけでも理解出来ます。食いしん坊ですが、私の食事や持ち物には執着しません。
大切なのは、これらをしている彼女は全て、いつも笑っているか リラックスしている状態だと言うことです。
楽しいな、お母さん私幸せ、と彼女の瞳が私に伝えてくれます。
彼女を殴ったことなど一度もありません。殴って何かを罰したり思い知らせたりしようと思ったことも、一度もありません。
訓練とは、犬に、人との暮らしを覚えてもらうために、教えることです。訓練を成功させるには、愛犬への愛が大前提です。
犬から、無償の愛をくれる信頼できる人間であると認められた人である必要があります。
そうなれば犬は、どんな時もあなたを見つめ、あなたが見たこともないような限りない愛であなたを愛してくれます。
シェパードに、犬に必要なのは、適切な栄養と充分な運動、そして何より慈しむ心です。殴ったり脅したりするパワーや、強いリーダーでいようとしてやたらにルールを押し付けることは全く不要です。
そして、どの犬種でもそうですが、犬と共に暮らすには結構なお金も時間もかかります。
ケージに入れて、仕事や遊びで外出し、自分が家にいる時だけ可愛がれば良い、犬は人間の生活に合わせればいい、とりあえずごはんあげて適当に散歩しとけば充分幸せだろう、などと思っている人には、シェパードは、犬は飼えません。
子供を迎えるのと同じ覚悟で、シェパードを、犬を迎えてください。
女性 もふころ
シェパードを猫っかわいがりする姿は見たことがないです。そういう褒め方ではいけないんですね。
50代以上 女性 クッキー