ダッチシェパードの特徴や性格を解説!

ダッチシェパードの特徴や性格を解説!

シェパードといえば、ほとんどの人がジャーマンシェパードを思い浮かべることでしょう。しかし、シェパードには、実にさまざまな犬種があるのです。今回は、その中から「ダッチシェパード」についてご紹介します。

ダッチシェパードの歴史

藁の上に座るダッチ・シェパード

英語のsheep(羊)とherd(群れ)から生まれた単語「shephred(羊飼い)」がシェパードの語源で、羊飼いは羊を世話する人であることから、羊を世話する犬のことを「シェパード・ドッグ」とよぶようになりました。

一般的に、日本では「シェパード(主にジャーマンシェパード)」といいますが、海外では、名前にシェパードと付く犬種が多く存在することから、単にシェパードといっても、犬のこととは理解されず「羊飼い」と思われてしまうようです。

シェパード・ドッグは「ジャーマンシェパード系」「マトリス・オプティマ系」「イノストランツェヴィ系」の3つに別けることができ、さらにそれらから別れた種類が24~29種類あるといわれています。

同じシェパード・ドッグの仲間でも、特徴が似ているところもあれば、全く違うものもあり、実に多種多様ですが、その名が示す通りほとんどすべてのシェパード・ドッグの祖先は牧羊犬です。

ダッチシェパードの祖先はオランダ原産の牧羊犬

オランダ・ドイツ・ベルギーあたりに古くから生活していた原産の牧羊犬を祖先に持つのがダッチシェパードで、17世紀後半、土着の牧羊犬とジャーマンシェパード(ドイツ)、ベルジアンシェパード(ベルギー)、スタンダード・シュナウザー(ドイツ)を交配した犬種とされています。

陸続きで近い関係にあるベルジアンシェパードとダッチシェパードは、共にノールト・ブラバンド地方が原産地で、18世紀頃には、その地方の農家の番犬として活躍していたようです。

19世紀後半になると、各国でその国独自の犬種の確立が盛んに行なわれたことに伴って、オランダでも独自の犬種を作り出すために、1898年に「ダッチシェパード・クラブ」が結成され、この年に最初のスタンダードが誕生しています。

ダッチシェパードは優秀な作業犬

ダッチシェパードは、作業犬としての能力の高さから、現在では、牧畜・牧羊犬や猟犬、番犬の他に、警察犬や軍用犬、盲導犬、麻薬探知犬、災害救助犬など、幅広い分野で活躍しています。

とはいえ、ジャパン・ケンネル・クラブ(JKC)には登録されておらず、ブリーダーもほとんどいないことから、日本ではあまり馴染みがありませんが、扱いやすい性格でもあるため、海外ではペットとしての人気も非常に高い犬種です。

ダッチシェパードの特徴

横向き出立つダッチ・シェパード

ダッチシェパードは、隣接するドイツやベルギーの牧羊犬と、当初は非常によく似た姿をしていました。

しかし、その後、オランダ原産の牧羊犬を犬種として固定し、ドイツやベルギーの牧羊犬と明確に区別するために、さまざまな改良が重ねられ現在の姿になりました。中でも特徴的なのは、被毛です。

次に、ダッチシェパードの特徴を見ていきましょう。

見た目

ダッチシェパードは、全体的に引き締まったとても精悍な容姿をしています。外見は、筋肉質で脚が長く均整がとれたプロポーションで、楔形の頭に立ち耳で、垂れたサーベル型の尾を持っています。

また、黒っぽく鋭い目と細く長いマズルは、ダッチシェパードの精悍さを際立たせています。ほとんどの場合、大型犬に分類されていますが、大きめの中型犬に分類されることもあるようです。

大きさ

体の大きさや体重は、オスとメスで、多少の差があります。

  • 体高オス:57~62cm メス:55~60cm 
  • 体重オス:25~35 kg メス:25~30 kg

上記が、平均的なダッチシェパードのサイズです。ジャーマンシェパードの体高が、オス60cm~65cmであるのと比べると、やや小さめのサイズです。

被毛

18世紀初め頃、ダッチシェパードは、外見よりも機能が重視されていたため、さまざまな被毛の個体がいたようです。その後、他の犬種との差別化をはかるために行なわれた改良により「ブリンドル」のみに統一され、これがダッチシェパードの最大の特徴となっています。

ブリンドルとは、全身の地色に、黒、茶、赤、黄色などの色が、まんべんなく、または縞模様に入っているのが特徴で「虎毛」といわれることもあります。同じように、ブリンドルが純血種の条件となっている犬種に「甲斐犬」がいます。

被毛の長さは、ショートヘア(短毛)、ロングヘア(長毛)、ラフヘア(粗毛、ワイヤーヘア:針金状、コースヘア)の3タイプで、硬めの上毛と羊毛状の下毛のダブルコートです。

  • ラフヘア

3タイプの中では、最も古い種類といわれており、ラフヘアに、ジャーマンシェパードやベルジアンシェパードを交配することにより、ショートヘアとロングヘアが作り出されました。

しかし、現在では、ラフヘアの飼育頭数は少なく、希少な存在となっています。
被毛の質から違う色に見えますが、ラフヘアもブリンドルです。

  • ショートヘア

手入れがしやすく、寒さや雨風に強い作業犬として作り出されました。
現在では、その手入れのしやすさから人気が高く、飼育頭数はロングヘアの約2倍、3種類の中では一番数が多くなっています。

  • ロングヘア

やや硬めのストレートヘアで「高い作業能力に加えて美しい容姿を併せ持つ牧羊犬」という意図で作り出された種類で、たてがみや後ろ脚の飾り毛が特徴的です。

しかし、被毛の手入れが大変なので、一時期、飼育頭数が減少し、絶滅が危惧されていた時期もあるようです。

ドッグショーでは、被毛の長さにより「3種類の別の犬種」として扱われ、1898年に結成されたダッチシェパード・クラブも、3種類それぞれの犬種クラブに別れています。

普通、同じ犬種で、異なった毛の長さの個体同士を交配することはありませんが、ダッチシェパードに関しては、認めている国もあるようです。

ダッチシェパードの性格

ボールを咥えて走るダッチ・シェパード

ダッチシェパードは、牧羊犬をルーツに持つ犬ですので、今も牧羊犬の性格を色濃く残しています。

  • 利口で状況判断能力に富む
  • 作業意欲が非常に強く根気強い
  • 強い縄張り意識を持ち警戒心が強い
  • 独立心が強く自分で判断する傾向がある
  • 頑固な一面を持つ
  • 飼い主に忠実で従順
  • 人懐こく真面目で友好的
  • 活発
  • 勇敢
  • 控えめ

性格的には、ジャーマンシェパードの方が、活発で野性的だといわれていますが、ダッチシェパードも快活で動き回るのが大好きなうえ、高い身体能力を備えています。

そのため、現在でも幅広い分野で活躍していますが、かつては、人間と共に働いていた歴史を持つ犬らしく、人間に対して愛情深く忠実で、家庭犬としての資質も充分に備え持っています。

縄張り意識が非常に強く、見知らぬ人間に対しては強い警戒心を示しますが、むやみに攻撃的な態度を取ることはありません。必要なときには素早く行動し、それ以外のときは常に控えめに行動できる、状況判断能力に優れた賢い犬種です。

ダッチシェパードの3種類の外見の違いは、性格の違いであるともいわれますが、ロングヘアはとくに人なつこく、扱いやすい性格で、現在では、そのほとんどがショードッグかペットとして飼育されています。

ダッチシェパードの飼い方

トレーニングするダッチ・シェパード

ダッチシェパードは、基本的に頑健な体をしていますので、健康面での心配はあまりなく、平均寿命は一般的に11~14歳と、大型犬種の中では比較的長命な部類です。性格的にも、主人に対して愛情深く忠実で従順なので、飼いやすい犬種です。

しかし、大型犬であることと、牧羊犬にルーツを持つ犬種であることから、しつけと運動には充分留意する必要があります。

適切なトレーニング(しつけ)が必要

頭が良く頑固な面も持ち合わせていますので、一度誤ったことを身に付けてしまうと、成犬になってからそれを改めるのは非常に難しくなります。

そのため、できるだけ早い時期から、適切な方法でしつけをしておくことはとても重要です。社会化期のしつけには、専門のトレナーによるパピースクールに参加するなどの方法もありますので、利用を検討してみるとよいでしょう。

充分な運動とドッグスポーツでストレスを軽減

この犬種は、スタミナが豊富で身体能力が高く、運動量も多いので、毎日2回、1回につき1時間程度の散歩が必要です。散歩をするときは、できるだけ速足で歩くことを心がけておくことで、犬の運動欲求を満たすことができます。

さらに、作業意欲が非常に強い犬種ですので、オビディエンス・トレーニング(服従訓練)やアジリティなどのドッグスポーツを定期的にさせてあげることで、犬がストレスを溜めることなく過ごすことができるでしょう。

被毛の手入れ方法

ダッチシェパードの特徴ともいえる被毛ですが、抜け毛の量は、多くもなく少なくもなく並程度ですので、手入れはさほど難しくありません。ショートヘアやワイヤーヘアで週に1回、ロングヘアでも週2~3回程度のブラッシングで充分です。

しかし、上毛と下毛のあるダブルコートで、換毛期には多くの毛が抜けます。よって、抜け毛を取り除くために、換毛期には、毎日ブラッシングする必要があります。

まとめ

伏せるダッチ・シェパード

ダッチシェパードは、頭が良く身体能力の高い作業犬で、さまざまな分野で活躍している優秀な犬種です。また、人間に対しても、愛情深く忠実で従順ですので、ペットしても最適です。

しかし、大型犬で、牧羊犬にルーツを持つ犬種であることから、飼育する場合は、多くの運動量を必要とする、適切なしつけを行なう必要があるなど、注意しなければならない点があります。

それらの点に留意し、社会性をしっかり身に付けさせることができれば、共に暮すうえで、他にとくに大きな問題はありません。

体力があり大変アクティブな犬種なので、アウトドア・スポーツやドッグスポーツを犬と一緒に楽しみたいという人には、良き相棒となってくれることは間違いありません。

また、ダッチシェパードを飼うには、ほとんどの場合、海外から輸入することになりますので、かなり高額になる可能性があることも心に留めておきましょう。

はてな
Pocket
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい