犬の乳腺にできるしこりの種類
犬の乳腺にできるしこりには、乳腺肥大・乳腺過形成、乳腺炎、腫瘍等があります。
その他にも乳腺由来ではない皮膚の腫瘍が、乳腺と同じ部位にできることがあります。
乳腺肥大・乳腺過形成とは?
乳腺の発達に伴って発情後に多くみられます。
乳房の肥大や過形成が発生するのは、卵巣ホルモンの分泌量や治療による卵巣ホルモンの過剰投与に関係していて、乳腺組織と複数の乳頭のうち下の方ほど乳房の肥大や過形成がみられます。
たまに乳頭口から乳汁や透明の分泌物が出ることもありますが、無理に出したりしない方がいいようです。
この発情後の過形成は、1~2ヶ月で退縮しますが、退縮せずに触知可能なしこりが確認できるようならば犬の乳腺腫瘍と考えられるため、検査を受けた方が良いでしょう。
乳腺炎とは?
乳腺組織に炎症がみられ、多くの場合乳頭口から乳腺に細菌が混入しておこります。
犬の乳腺腫瘍とは?悪性の乳癌の確率は約5割
乳腺腫瘍は犬やネコには比較的多く見られる腫瘍です。雌犬に多く認められる腫瘍で10歳以上の子に多いといわれています。
また、乳腺腫瘍はホルモン依存性腫瘍であり、腫瘍の発生には卵巣ホルモンの分泌が関係しているとも言われています。
この乳腺腫瘍の場合、ネコでは85%が悪性であると言われていますが、犬では良性か悪性かは半々の確率のようです。
良性の乳腺腫瘍には「乳腺腫」と「繊維腺腫(良性混合腫瘍)」があり、悪性の乳腺腫瘍には「乳腺願」と「願肉腫(悪性混合種)」「炎症性乳癌」があります。
その中でも、炎症性乳癌は、非常に悪性度が高く、激しい皮膚の炎症を伴うため皮膚炎や乳腺炎と判別がつかない場合もありますが、炎症の起こり方が激しいのが特徴です。
犬の乳腺腫瘍が良性か悪性かの見極め方
さて、次は犬の乳腺腫瘍が良性か悪性かの見極め方についてです。その簡単な方法としては、細胞診という方法があります。炎症部分の一部の細胞を注射用の針で採取して顕微鏡で観察するという方法です。
ただし、細胞診は針で採取した細胞のみで判断しますので正確な全体像はわからず可能性の判定になります。最終的な判断は切除した乳腺腫瘍を病理組織診断しなければわかりません。
犬の乳腺腫瘍の原因と発生率
犬の場合の乳腺腫瘍はホルモン依存の疾患としてよく知られています。
諸説あるようですが、一般的には最初の発情前に避妊手術を施すと発生率が0.05%、初回の発情後に施した場合は8%、2回目以降は26%となり、それ以降に手術を行っても乳腺腫瘍尾の発生は75%以上になるという統計があります。
予防するためには若齢のうちに不妊手術をすることが提唱されているようです。
また、乳腺腫瘍は雌に限らず雄に発生します。これは人間も同様ですが、おっぱいがある以上全く可能性はゼロではありません。
犬の乳腺腫瘍の予防方法
言い換えれば、避妊をすることによって乳腺腫瘍を発症する確率を低く抑えることができるということが分かっています。
多くの動物病院でブリーディングを考えていなければ避妊をと推奨している理由の一つといえるでしょう。
犬の乳腺腫瘍の治療方法
では、犬が乳腺腫瘍になってしまった場合はどうすればよいのでしょう。
外科治療
転移がない場合は、基本的には外科治療が基本となるでしょう。人と比べて犬はおっぱいの数が多いので腫瘍の拡がり方などにより手術の方法がいくつかあるようです。
・腫瘤部分の切除術
腫瘤を必要最小限の周囲組織とともに切除する方法で、乳腺腫瘍が単体の場合に用いられます。
・乳腺部分切除術
部位によって複数の乳腺を一括して切除する方法。
・片側乳腺前切除術
片側全ての乳腺を一括切除する方法。
などがあげられます。
良性か悪性かによる治療と経過の違い
良性腫瘍の場合、完全切除によって経過は良好となります。
悪性腫瘍の場合は、すでに転移を起こしていることもありますし、手術で取り除くことができても再発をする可能性が高いです。また放射線療法を行う場合もあるようです。
最近は動物医療も進んできましたので、人間に置き換えて考えれば何となく想像がつくかもしれません。また、悪性腫瘍の場合は、摘出後に化学療法を実施すると部分寛解が可能とも言われていています。
悪性の中でも炎症性乳癌については手術を行うと出血が止まらず、傷がつかない場合もありますので手術不適応とする場合もあります。
犬の乳腺腫瘍の早期発見方法
愛犬のお腹を触ってしこりの有無をチェックする
普段の生活の中で人間の手を嫌がらない子に育てることが大事になってくると思います。
乳腺腫瘍は飼い主でも比較的簡単に見つけることのできる腫瘍だと言えます。日頃からお腹を触っていれば早期発見できる病気なのです。
その為には常日頃からよく観察し、手で触れても嫌がらない子に育て、日々確認することが大切です。
愛犬に健康診断を受けさせる
10歳を超えた頃からの発生率が高いとされているので、可能ならば健康診断を受診することをお薦めします。今や犬も人間ドックならぬドッグドックを受けられる時代になってきました。
簡単な検査ならば半日で受けることも可能な健康診断が受けられる病院も増えてきています。これを受診することで乳腺腫瘍以外の病気の早期発見にもつながります。
犬の乳腺腫瘍予防には「避妊手術」が重要
避妊手術のメリット
乳腺腫瘍は卵巣ホルモンの分泌に影響されるところが多いため、避妊をすることにより発症率が下がり、過形成などの疾患もなくなります。そして、乳腺腫瘍に絶対ならないというわけではないけれど可能性としては低くなるということが明らかです。
また、避妊をすることで発情期がなくなり、散歩時も発情中の散歩のような注意もイベントへの参加、旅行時などの気遣いも減るでしょう。
ただ、今後発生するかどうかも分からない病気を予防するため、発情期の煩わしさがないという理由のために、小さい子にメスを入れると言うことには多少後ろめたさや憂い、または心配だという気持ちも否定できません。
飼い主さんの考え方もあると思います。いろいろなことを考慮しつつ、どういう選択が愛犬にとって、飼い主にとって一番いい方法かということを考えることが大切です。
まとめ
乳腺腫瘍に限らず、体表にできるしこりは、いつも愛犬に触れて注意深く観察することで発見できることが多いので、見つけたら自己判断することをせずに信頼できる動物病院の先生に相談することが一番です。
そして、もし納得がいかなかったり、不安に思うならばセカンドオピニオンも考えた方がよいでしょう。また、普段から簡単なメモ程度でもいいので愛犬飼育日記をつけると便利です。
他の症状や病名で犬の病気を調べる
犬の乳腺腫瘍の他にも、気になる犬の病気や、普段見ない行動をとっていて心配なときに病気を調べることができる辞典がありますので、ぜひ活用してみてくださいね。↓
ユーザーのコメント
40代 女性 匿名
腫れも軽減してきてますが 今後 大きい病院で診て貰うか 経過観察中です。
今の医師からは、腫れが無くなれば このまま様子みる。又は専門にみてもらう。
と提示されました。
経験のある方いらっしゃいますか?
50代以上 女性 あお
5歳ころから体のあちこちに出来物が増え、腫瘍に移行する可能性もあるのでわきの下と乳房の周りは特に注意深く触って経過観察をするようにと言われました。
急に大きくなったり、形が変わるようなら摘出したほうが良いとのことでした。
出来物や、腫瘍は免疫力の低下によってできる可能性があると聞いたこともあり、豆類、ブロッコリー、シイタケなどをドライフードに混ぜて与えています。
今のところ出来物に変化はないのですが、免疫力を高める食材やマッサージをするときのアロマなどありましたら教えてください。
50代以上 女性 匿名
今年また、乳腺腫瘍が出来てしまい、手術することになりました。胸の辺りに大きいのが一つ、お腹の辺りに0.5ミリ程のが2つ、今回は、悪性かどうか心配してます。
年齢も心配ですが、再発を繰り返すのであれば、経済的にも大変ですし、犬
為に一番いい方法は、無いでしょうか?誰か経験のある方アドレスお願いします
50代以上 女性 匿名
今年また、乳腺腫瘍が出来てしまい、手術することになりました。胸の辺りに大きいのが一つ、お腹の辺りに0.5ミリ程のが2つ、今回は、悪性かどうか心配してます。
年齢も心配ですが、再発を繰り返すのであれば、経済的にも大変ですし、本人の負担などを考えるととても悩んでます。
食欲もあり、元気です。
どなたかいいアドバイスお願いします。
女性 mocmoc
手術で開腹したところ、少々肥満体だったので触診ではわからなかったところに小さい腫瘍があったのでそれも一緒に取ってもらいました。肥満も腫瘍ができやすい原因のひとつになり得るので、太らせないことが大事です。
しこりの感じは、人が蚊に刺された時に少し膨らんで硬くなる状態に似ています。それが少し動く感じです。愛犬のお腹を触って一瞬硬いような違和感を覚えたら、そっと指で押して確認するとわかりやすいです。
手術になると早くて2日~1週間ちかくは入院になる場合があります。その間はシャンプーができないので、日程が決まったら先に洗っておくといいと思います。
また、事前に麻酔の耐性テストを行ってからの手術になると思いますが、万が一のことも考えて、手術当日は飼い主さんも身動きが取れるようにしておくと後悔しないと思います。うちの愛犬は麻酔にはぎりぎり耐えられるという判断だったのですが、念のため心停止した場合の機械も用意してもらっていました。手術中に心臓が止まってしまい急いで戻す処置をしてもらえましたが、もしかしたらと思うとやはり当日は怖かったです。
20代 女性 さくらんぼ
腫瘍は悪性であれば発育スピードが早くあっという間に大きくなります。小型犬であれば野球ボールくらいの大きさになることも珍しくありません。大きくなると皮膚が自壊してしまいます。
乳腺腫瘍に気付いたら可能であれば手術で摘出し病理検査を受け今後の治療を決めます。
悪性だった場合は、肺に転移することが多いです。残念ながら悪性の犬の乳腺腫瘍には抗がん剤が効かない為に、治療法は基本的に対処療法になります。
肺に転移し咳や呼吸に異常が見られれば、それに対する薬を使うといった治療です。
例え悪性だったとしても、すぐ亡くなってしまうのではないかと諦めないで下さい。
当院に通われていた患者さんの中には悪性の乳腺腫瘍を患い肺に転移しても、呼吸に関する薬を使い18歳まで長生きしたワンちゃんもいます。
乳腺腫瘍にならないためにも、犬を飼い始めたら生理が2回来る前に避妊手術を受け乳腺腫瘍の予防をしましょう。
30代 女性 ちょびこ
50代以上 男性 laladog
医師は、高齢でもあり、全身麻酔や手術は、かなり危険を伴うのでお勧めは出来ないとのことでした。
飼い主の判断次第をもとめていますが、もともと無理な治療はしない方針のようです。
高齢でリスクのある手術を行わないのであれば、あえて(針)生検するのも、患部に傷を与えることで悪化しないか心配です。
手術をするのであれば、早いほうが良いと思いますが、現在はとても元気なので、手術や生検や様々な検査が原因で却って悪化させ、健康な生活が過ごせなくなる不安も大きいです。
このまま経過観察(放置)して、後で大きな苦しみを与えるのも心配です。
難しい問題ですが、ご意見を頂ければ幸いでございます。
女性 sora
女性 Chika
40代 女性 ひまわり
しこりができてきたな、とは思っていたけどなくなった物もあったし、大きさも変化もないし、そのうち手術しないとな、なんて軽く考えていました。
病院では年明けあたり手術を考えて下さいね、と言われていました。
ところが、12才のミニチュアダックスに乳腺近くの炎症が自壊して(急で2日間の出来ごとでした)お正月で病院もお休みで、お正月でも開いている病院に駆け込むことに。炎症性乳腺腫瘍かも、と言われて、ドキドキしました。炎症が治まらないとちゃんとした検査も手術もできない、ということで抗生剤の注射をされ10日後に手術。
両側にしこりがあるのですが、炎症のあった右側を先に全摘出しました。
病理検査の結果は悪性が2個で、今のところ転移はしていない、とのことでしたが定期的にレントゲン検査を受けることになりました。
同じような時期に11才のチワックスも乳腺炎になり、とりあえず炎症のない右側の乳腺摘出と避妊手術。
そちらは検査結果は良性でしたが、今炎症のある左側はわかりません。
こんなことなら、もっと早く手術しておけば良かった、と後悔です。
全身麻酔が怖く抵抗があったのですが、ガンのほうがもっと怖いです。
2頭とも2度目の手術を控えていますが、まだ前回の皮膚が伸びていないので手術できません。
ミニチュアダックスは乳腺炎から良性が悪性になった可能性が高く、急激にしこりが大きくなりました。
手術後1ヶ月半経ちますが、先日検査で今のところ転移はしていません。子宮水腫にはなっていましたが・・・
乳腺摘出はできずに子宮卵巣摘出手術だけしました。
年をとるといろいろ病気になるものですね。続けて何度も手術するのは怖いですしかわいそうですが、元気や体力があるうちに取ってしまいたいとつくづく感じました。
2度目の手術が終わるまでドキドキです。
女性 鶴