マダニが犬に与える悪影響とは?
犬がマダニに刺されると、皮膚炎や貧血などを発症します。マダニが運ぶ病原体によっては感染症になり、犬の命を脅かす可能性も出てきます。
日本各地に生息するマダニは、犬や猫だけでなく人間も刺します。愛犬にマダニが付着してしまった場合は、飼い主自身も刺されないよう注意が必要です。見つけたら一刻も早くマダニを取り除きましょう。
犬がマダニに刺された時の症状
発赤
犬がマダニに刺されても犬自身が気づくことはほぼありません。マダニが寄生するときには口から麻酔様物質が分泌され痛みや違和感を感じないようにさせるのです。口器というくちばしのような部分を皮膚に刺し抜けないようにセメントのような物質で固定し吸血します。満腹状態になると皮膚から口を離し落下します。この咬まれた跡が赤く腫れてしまったり、しこりのようになってしまうことがあります。
貧血
犬はマダニに大量に吸血されると貧血を起こします。マダニは約3~4mmと肉眼でも確認できるほどの大きさであるため、長期間に渡り吸血されると吸血量が多くなってしまうのも特徴です。
マダニは写真のように複数寄生することもあり、吸血される量が増えると更に貧血に陥りやすくなります。
感染症
原虫やウイルスを持つマダニに刺されると、マダニが媒介となりこのような微生物が犬に移りされ感染症になってしまうことがあります。
マダニによる感染症の中で特に多いのが「バベシア症」です。バベシア症はマダニの体内に寄生していた原虫が犬の赤血球を破壊しながら増殖し続ける疾患で、元気がない、食欲不振、発熱、貧血、黄疸、脾腫などの症状が現れます。
他に「日本紅斑熱」「ライム病」「Q熱」「エールリヒア症」「SFST(重症熱性血小板減少症)」などの感染症があり、症状が悪化した場合は死亡してしまうこともあります。
感染症はマダニが寄生し48時間経過すると感染率が高くなると言われているので、早めの対処が必要です。
犬がマダニに刺される原因
マダニが草むらや公園などに潜んでいるため
マダニは散歩などで外に出かけた時に犬に付くことが多いとされています。マダニは草むらや公園、山や河川敷など、犬の散歩コースとして選ばれやすい場所に生息しているため、そのような場所に犬が足を踏み入れることでマダニが体に付着し、刺されることになります。
マダニは生き物を感知できる
マダニは「ハラー氏器官」と呼ばれる感覚器官を持ち、動物の体温や振動、二酸化炭素などを感知しています。この生態から、ダニは犬の存在を遠くからでも察知し、飛びうつることができるため、草むらなどに入らなくても知らないうちに犬に寄生していることが多いのです。感染経路は至る場所にあり避けられないのが現状です。
家の中に持ち込まれていることも
外で寄生したマダニが家に潜んでいることもあります。マダニはカーペットやベッドでも生息し続けることができ、人や他のペットに次々と寄生し被害を拡大させていきます。拡大を防ぐためにも、早めに駆除をしましょう。
マダニに刺された犬を治療する方法
犬がマダニに刺された場合はすぐに病院へ連れて行きましょう。病院では専用のピンセットでマダニを潰さないようにかつマダニの口を残さないように犬の皮膚から取り除き、その後駆除薬を投薬します。駆除薬は約48時間以内にマダニを駆除する効果があります。
マダニを取った後、噛まれた部分が炎症や化膿している場合には、消炎剤を投与し抗生物質と駆除薬を併用して治療します。
犬のマダニを取ってしまったら?正しい取り方
犬を刺しているマダニを見つけても飼い主は自分で取ろうとするのはやめましょう。
画像のように、マダニは犬の皮膚に口下片(こうかへん)という部分を刺し、セメントのような物質を分泌させて体から離れないようにして吸血します。この状態で無理矢理取ろうすると、マダニの頭部だけが犬の皮膚内に残ってしまい、その部分が化膿し感染症に発展する恐れがあります。
マダニを取った後頭部が皮膚内に残ってしまったら放置はせず、残りは獣医師に除去してもらってください。ピンセットでの除去が難しい場合は、犬の皮膚を切開し除去する外科的な処置が必要になることもあります。そのため、マダニが寄生してい場合は予防薬を投与してマダニが自主的に口を離すのを待つか、動物病院で処置してもらいましょう。
感染を防ぐためにも駆除剤投与までをしっかり動物病院でおこなってもらい、傷口を丁寧に処置することが大切です。
犬のマダニの駆除薬
フロントライン(滴下タイプ)
犬に寄生したマダニなどのダニ類やノミを駆除する薬です。滴下タイプのフロントラインは犬の首あたりに滴下すると、皮脂を通して体全体に薬が広がっていきます。薬が広がるまでの2~3日の間はシャンプーは控えてください。
塗布後48時間以内に寄生したマダニを駆除します。
ネクスガード(飲み薬タイプ)
フロントライン同様、ビーフ味(牛肉不使用)の飲み薬です。投与から24時間で100%駆除するので感染の予防にも役立ちます。マダニの駆除効果は1ヶ月持続します。
投与後24時間以内に寄生したマダニを駆除します。
犬のマダニ予防対策
ブラッシングとシャンプーをする
ブラッシングとシャンプーをしてこまめにし、被毛を清潔に保つことが大切です。散歩の後は毎回ブラッシングをし、月に1~2度くらいの頻度でシャンプーをおこなうとよいでしょう。犬の体に触れることはマダニの寄生や、皮膚や体調の異変に早く気付くことにも繋がります。
草むらを歩かない
マダニは犬の体に寄生したまま成長するのではなく、数回寄生して吸血・脱落して脱皮を繰り返しながら成ダニになり草むらで産卵します。吸血するときには動物に近づきますが産卵・脱皮は草むらなどで行います。予防薬をつけていてもいったんはマダニに寄生されますので、寄生のチャンスをマダニに与えないためにも草むらには入らないようにしましょう。
予防薬を処方してもらう
マダニに刺される前に、動物病院でダニの予防薬を処方してもらいましょう。予防薬の料金は個体の体重によって異なりますが、月に1回投与、1回につき1,000~2,000円くらいの範囲が多いようです。
犬によってはマダニの予防薬で副作用が出る場合があります。獣医師に予防薬を使うタイミングや副作用によるリスクなどを総合的に判断してもらい、納得した上で処方してもらいましょう。
市販予防品を利用する
ペットショップやホームセンターにもマダニを予防する商品があります。犬の体に滴下するタイプの駆除薬や首輪、スプレー、電子駆除などさまざまです。動物病院で処方される予防薬と同じように、犬によっては副作用が出ることを念頭において使用してください。
犬のマダニを見つける方法
マダニを見つけるには、散歩後に犬の体を隅々まで見ることが一番効果的です。マダニは犬の頭部や耳、目の縁や腹部、足の指の間や背中に特に寄生しやすいとされています。一目でわかる場合もありますが、皮膚に近い被毛の根本部分に潜んでいることもあり、見つけられないこともあります。被毛の流れに逆らうように掻き分けながら見てください。
マダニは黒っぽい色をしているので、被毛の色が濃い犬は特に注意深くチェックしてあげましょう。
マダニ以外で犬を刺すダニの種類
ヒゼンダニ
ヒゼンダニはマダニとは違いとても小さく肉眼では見えにくいのが特徴です。生き物の皮膚の中に潜り込みトンネルを掘ることから「穿孔(せんこう)ヒゼンダニ」とも言われています。
犬がヒゼンダニに穿孔されると「疥癬症(かいせんしょう)」という皮膚病になることがあります。疥癬症になった犬は激しい痒みに耐えられず、皮膚がボロボロになるまで掻き壊し、衰弱してしまうケースもあります。
耳ダニ
耳ダニはヒゼンダニの一種です。マダニが犬の体の至る場所に寄生するのに対し、耳ダニは耳にだけに寄生して、耳垢や耳管組織液を食べて繁殖するのが特徴です。犬が頭を激しく振る、後ろ足で耳を引っ掻く、床に耳を擦りつけるような行動が見られたら耳ダニが寄生している可能性を疑ってみてください。
繁殖力が強く耳に大量の卵を産みつける耳ダニは、飼い主が気づいた時には既に愛犬の耳にびっしりと寄生していることも少なくありません。放置しておくと、慢性の外耳炎や中耳炎を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。
ニキビダニ
ニキビダニはほとんどの動物の毛包に寄生し、寄生されている動物が健康であれば目に見えるトラブルを引き起こすことは稀ですが、体調が崩れると一気に増殖し、痒みや脱毛などの症状を引き起こします。
マダニは犬にとって脅威!ケアは必ず行って
マダニは犬の体に寄生し痒みを発症するばかりか、命にかかわるような感染症までも引き起こす大変怖い存在です。マダニは人間にもうつるので、私たちの生活にも危害を与えます。
犬がマダニに刺されないようにするのは難しいことですが、日頃から愛犬の体調に注意し、可能な限りの予防をしていくことは大切です。もしも愛犬がマダニに刺されてしまっても、すぐに動物病院で駆除してもらうことで被害は最小限に食い止められます。正しい知識と対処法で、犬も人間も快適に過ごせるようにしていきましょう。
ユーザーのコメント
10代 女性 匿名
マダニ対策ならシンパリカやNexGardの方が良いかと思いますよ。
またNexGardSpectraの方がおススメです。
50代以上 男性 ゆうじろう