①病院を好きな場所にする
注射が苦手で恐怖心を持っている犬の多くは動物病院そのものに対しても恐怖心を抱いています。動物病院で注射やさまざまな治療を受けて痛い思いや怖い思いをした経験があるのであれば、動物病院に対して恐怖心を持つのも当然でしょう。
“嫌いな場所”で“痛い思い”をさせられるというのは、私たち人間だって嫌ですよね。そのため、「動物病院が見えると逆方向に歩いていこうとする」「動物病院の駐車場についても車から降りない」といったエピソードもよく耳にします。注射だけでなく動物病院そのものを怖がってしまっている場合には、まず動物病院への抵抗をなくすことから始めましょう。
動物病院は基本的に病気になった時や注射が必要な時だけ行く場所なので、犬にとって楽しい場所にはなりにくいと思います。だからこそ病院の入り口や待合室でとっておきのおやつをあげたり、獣医師や看護師に協力してもらい、おやつをあげてもらったりなでてもらったりして、「動物病院に行くといいことがある」という経験を積み重ねて場所に対する恐怖心を和らげてあげましょう。
“好きな場所”で“好きな先生たち”に注射を受けるのであれば、その恐怖心も減り乗り越えやすくなるでしょう。
②注射を打つタイミングに気をそらす
病気を防ぐため狂犬病などのワクチン接種をしたり、検査のために採血をしたりします。犬の健康を守るために行うことですが、犬にはそれを理解することはできず、注射はただ痛い思いをさせられるものとしてしか認識できないでしょう。
「病気にならないためだからね!」「1年に1回だから頑張ろうね!」など言葉で説得しても伝わりませんし、人間に子供のように「これを頑張ったらおもちゃを買ってあげる」などのごほうび作戦も通用しないでしょう。
ですから、注射に対する犬の恐怖心を和らげるためには気をそらすという方法が有効です。犬に理解・納得させておとなしくさせるというのはむずかしいので、注射を打つタイミングで犬に話しかけたり、獣医さんなどと話をしている隙に何気なく注射をしてしまうなどできるだけ身構えさせないように工夫するといいでしょう。
もちろん注射時に犬が動いてしまうと危険なので動いてしまわない程度に気を引くということを心掛けましょう。それと並行して上記のような方法でできるだけ怖がらせないようにじっくり動物病院を好きにさせてあげるといいと思います。
③怖がっていることを叱らない
犬が注射を怖がるのは無理もないことだと思います。健康のためと理解出来ている私たち人間ですら注射は怖いと思うものですし、大人としての体裁や理性から泣きわめくようなことはせず我慢しますが、できるだけ受けたくないという人が多いと思います。
そのため、まずは犬が注射を怖がるという気持ちを理解してあげてください。怖がっている時や嫌がっている時はできるだけ怒ったり叱ったりしないようにしましょう。
恐怖心を感じている時に叱られたり、飼い主に体を抑えつけられて無理強いされることはとてもつらいものです。それが原因で犬が飼い主を信用できなくなるということもめずらしいことではありません。
犬が嫌がっていても注射を打たないといけないことはあると思います。そんな時は犬を抑える行為などはプロである看護師に任せ、飼い主さんは落ち着いた声のトーンで優しく励ましの声をかけてあげるようにしましょう。
<まとめ>犬の恐怖心を和らげる方法について
犬の中にも注射が大嫌いで大暴れする犬もいれば、全く動じず静かに受け入れる犬もいるでしょう。しかしそれで犬の性格や気質が評価されるようなものではありませんし、飼い主がそれを恥じたり情けないなどと感じる必要は全くありません。わけもわからず痛い思いをする注射を嫌がるのは当然の事です。
そんな犬たちをサポートするために、私たち飼い主にできることは「少しでも恐怖心を和らげる」事です。動物病院で獣医師などのスタッフさんにいい印象をつけることや、犬の気持ちに寄り添って頭ごなしに叱りつけたりしないことが大切だと思います。
動物病院を好きにさせたり注射をおとなしく受け入れられるようになるには時間がかかる場合もあると思います。ですが、犬にとって注射は一生付き合っていかなければならないものですので、ここで紹介した対処法などを参考にして、じっくりと場合によっては時間をかけてでも、恐怖心を和らげるような対応を心掛けでいきましょう。