病院のドアの前で断固として動かなくなったり、病院近くの道でうずくまって抗議したりする犬を見たことはありませんか。ニコニコと獣医師や看護師さんに愛想がいい子がいる一方で、そんな余裕のないほど病院嫌いの犬は多く、飼い主さんは手を焼いていることかと思います。
できることなら進んで病院のドアをくぐってほしいものですが、そのように病院嫌いを克服する方法はあるのでしょうか。そこでこの記事では、病院嫌いを克服するための方法について調べました。
なぜ動物病院に行くのを嫌がるのか
犬がなぜ動物病院へ連れられるのを嫌がるのかというと、ごく単純に「怖いから」ということが挙げられます。犬には長期記憶という記憶があり、この記憶は何年もの間、長く残ります。
病院嫌いの犬は、動物病院での記憶が長期記憶として頭にインプットされていると考えられます。
人間の場合は理由を理解した上で病院に赴き、治療を受けますが、犬にとっては何もわからない状態でいきなり注射による痛みや、肛門腺絞りによる違和感などを抱くことになります。恐怖を感じても無理はないですね。
そういった恐怖と動物病院が結びついて記憶されている個体は、病院嫌いになってしまいます。本能により、身を守るという点から、その傾向は強いと思われます。
一方で獣医師に可愛がってもらった、ご褒美におやつをもらったなど、プラスの記憶と動物病院が結びついている個体もいます。
犬の病院嫌いによるリスク
病院嫌いはなるべく治してあげるのが理想です。ふだんの定期的な注射や、ケアの際に嫌がったり暴れたりして困るということはもちろんですが、病院嫌いのままでいると、そもそもの治療ができないのです。
診察台に立たせることができなかったり、暴れて繊細な処置ができなかったりして、何か重大な病気をしたり怪我をしたりしたときに適切な治療ができません。
また老犬の場合は特に注意。歳をとった犬にとって恐怖を感じる場所に連れて行かれることは、かなりのストレスになります。心拍数が上がり、身体に過度の負担がかかってしまいます。犬自身のことを考えると、落ち着いて診察を受けられるようにしておきたいですね。
病院嫌いを克服するために
病院嫌いを克服するにはかなり根気が必要であり、また必ず克服できると保証できるような方法はありません。それでも少しずつ、病院への恐怖が軽減されるよう、飼い主の地道な努力が必要となります。
そのためには、上記のように動物病院とプラスの記憶を結びつけてあげることが有効です。
1.ご褒美をあげる
病院に行った前後に、ご褒美に特別なおやつを与えるとか、大袈裟に褒めてあげるとか、「ここに行くといいことがある」という風に思わせてあげる工夫をしてみましょう。
2.他の病院の選択
思い切って病院を変え、先生や看護師さんが動物とよくコミュニケーションを取ってくれる病院を探すというのもひとつです。
動物にとっても先生との相性がありますし、既に怖い記憶がある場所を、良い記憶に変えるのは難しいことでもあるので、評判の良い病院が近くにあるのなら、爪切りや肛門腺絞りなどで訪れてみても良いですね。
3.動物病院の頻度
日頃から動物病院に慣らしておくことも大切。毎回注射ばかりでは、やはり痛いとか怖いというイメージが定着してしまいます。
爪切りや肛門腺しぼり、耳掃除などちょっとしたことで訪れる回数を増やすと良いですね。恐怖の記憶が薄れ、「時々いくところだけど、怖いことはなかった」というふうに記憶をすげ替えてあげられれば成功です。
4.クレートに慣らす
病院へクレートやバッグで連れて行っている場合は、犬がその入れ物自体を怖いものとして認識し、家を出る前から手こずってしまいます。
クレートやバッグはいつも室内に置いておき、犬が自由に出入りできるようにしておくと警戒心が薄れます。
中でおやつをあげるというのも有効です。また病院で入れ物から犬を出す際には、飼い主さんの手で出してあげるようにしましょう。
5.飼い主の態度
動物は気配に敏感なもの。病院へ行くときに飼い主がふだんと違う様子を見せたり、病院というワードを出したりするだけで、不安感を煽られてしまう子もいます。なるべくふだん通りに接するよう心がけましょう。
地道に工夫を続けよう!
犬の病院嫌いを克服するための方法をいくつかご紹介して参りました。どれも根気のいる方法にはなりますが、徐々に効果が出てくると嬉しいですね。
私自身も凄まじい病院嫌いの大型犬を飼っており、克服するためのリハビリ真っ最中。同じ悩みを持つ飼い主さんたち一緒に頑張りましょう!
嫌がる犬を無理やり病院に連れていくのではなく、喜んで診察を受けてくれるように愛犬と二人三脚での努力が求められます。