「進行性網膜萎縮症」はトイプードルがかかりやすい病気の1つ
トイ・プードルを含む、小型犬に発症しやすい病気として、膝蓋骨脱臼、白内障、緑内障、進行性網膜萎縮、流涙症、てんかん、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、膿皮症、外耳炎、先天性難聴、歯周病などがあります。その中でも、今回は進行性網膜萎縮(PRA)について書いていきたいと思います。
進行性網膜萎縮とは
4~5歳程度で発症し、網膜にある光を受容する部分に異常が生じ、網膜が徐々に萎縮し徐々に目が見えなくなる病気です。これは遺伝的病気であるため、治療法がありません。
発症には早発型と遅延型とがあり、早発型は1歳頃から暗い場所での行動に変化が見られ、徐々に眼が見えなくなります。遅延型は4~5歳頃から行動に変化が見られ、7~8歳頃に視力がなくなることが多いと言われています。
トイプードルはこの遅延型で発症することが多い犬種です。また、病気が進行すると白内障を伴うことがあります。白内障は手術をして濁った水晶体を取り除くこともできますが、進行性網膜萎縮症を発症している犬は白内障の手術を施しても、視覚回復することがほとんどありません。
進行性網膜萎縮の症状
初めの症状は暗いところで目が見えにくくなり、大好きだったはずの夕方や夜間の散歩を嫌がり、しまいには外出すること自体を嫌がるようになります。そして徐々に物につまずいたり、溝に落ちたりと足元がおぼつかないようになります。
犬の網膜には暗い場所でも見えるようにタペタムという構造が眼底にあります。タペタムは「輝板」とも言いますが、犬はこのタペタムがあるために、暗い場所でもわずかな光を感知して行動ができるようになっています。
犬が暗闇で目が光って見えるのはこのためですが、進行性網膜萎縮症になると、網膜の萎縮やタペタムの反射の亢進が見られます。愛犬の目がいつも以上に光ってみえることがあるのも症状のひとつです。最終的には昼間や明るい場所でも物が見えにくくなるようになります。
初めての場所で明らかに不安がったり、目が見えずらいため、壁伝いに歩いたり、動作が緩慢になったりします。そしてなにより、痛みはない事と、症状がゆっくり進むため、発見んが遅れがちな病気でもあります。
犬自身も目が見えにくいということに慣れてしまうので、そのサインに飼い主が気がつくのはかなり症状が進んでからになります。また、二次的に白内障を発症することもあります。進行速度は個体差があるため、若いうちに完全に失明してしまう犬もいれば、ある程度の視力を維持することもあります。
進行性網膜萎縮の原因
進行性網膜萎縮は遺伝性の病気です。犬を飼う際には、ペットショップなどで一目ぼれとかではなく、両親犬を見せてくれ、遺伝子検査を行っているブリーダーが良いでしょう。つまり、キャリア犬を飼わないということです。
進行性網膜萎縮の治療
現在治療法はありません。しかし、犬は人間ほど視覚に頼って生活をしていませんので、目が見えなくなれば鼻と耳がより利くようになります。また、急に失明するわけではなく、数か月から数年をかけて徐々に見えなくなるので、犬が目が見えないということに順応しやすいです。
そのため、頻繁に家具の配置換えをしないようにし、餌、水入れ等決まった位置にしてあげましょう。また、犬がいる場所は歩行の妨げになるようなものを置いておかないようにしましょう。
日本にはありませんが、現在では盲目の犬用のハーネスがあります。犬の頭のあたりに金属の輪が付いていて、犬が歩きまわった時に周囲にぶつからないようにしたものです。動物の眼科医も推奨しているものです。
また、進行性網膜萎縮症から二次的に発症する白内障の進行を予防するために、アスタキサンチン含有のサプリメントや、ルテインなど、目の健康維持のための栄養補助食品をすすめられることもあります。
進行性網膜萎縮の予防
何度も書いていますが、遺伝病なので予防はできません。しいて言うならば、両親犬がよく分からない犬は飼わないこと、健康な犬を飼うこと(血統書が付いているからと言って必ずしも健康ではない)、です。健康であっても遺伝子を持っていることはありますので、病気の素因を持たない犬を選ぶことは難しいかもしれません。
日本は他の国では類を見ない、犬種の流行があります。今はトイ・プードルがまだ人気犬種の1位にいますが、そうなるにはJKCで登録数が1位になる必要があります。つまり、毎年出生数が相当な数になるということです。
そして、日本のあちこちにある仔犬製造工場(パピーミル)では、遺伝病や性格を考慮せず、交配しているケースがあります。遺伝病を防ぐということは、両親犬をきちんと遺伝子検査をしている、遺伝病のキャリア犬は交配に使わない。ということです。
進行性網膜萎縮だけでなく、膝蓋骨脱臼も股関節形成不全も遺伝することがあります。犬を飼うのであれば、病気や性格などを熟知しているブリーダーから飼うことをお勧めします。
まとめ
飼う犬に健康で幸せに長生きしてもらうには、やはり健康な犬を飼うということと、病気を防ぐことです。遺伝病は飼ってしばらくしてから発症するものが多いので、衝動買いをすることなく、きちんと管理をしているところから犬を飼いましょう。
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ユーザーのコメント
50代以上 女性 ゆゆこ
女性 カカオ
40代 女性 ぽにょ
とはいえ、事前に購入するときに分かるものではないんじゃないでしょうか?
実際に飼う時にある程度はその子の親の情報を得ることは出来るかもしれませんが、「進行性網膜萎縮症」だということを販売店では分かっていない可能性も十分にあります。仰るとおり、血統書が付いてるから大丈夫!という保証はありませんよね。
ましてや、売る側としてはそういう病気と分かっていたら「売れなくなる」為、もし分かっていても隠す可能性もあります。
この記事の内容に関しては一部賛同出来ない部分もありますが、こういう病気があるということは注意しておかないといけませんね。
ただ、ワンコを家族として迎え入れる時に注意すべきなのは、現在も沢山存在してるパピーミル(子犬製造工場)などで単なる営利目的だけに大量に繁殖させ、適切な環境ではない状態で繁殖、販売しているような悪質な販売業者などからはこういう遺伝性の病気を持っている可能性も確かに大きいと思います。もちろんそういうワンコ達が何かしらの感染症や障害、病気を持っていることも考えられます。それだけでもとっても心が痛みます。殺処分ゼロを考えるようであれば必ず購入する際には、ペットショップ、ブリーダーさんの状況などもきちんと調べた上で家族として迎え入れて欲しいと心から願います。
20代 女性 あめたま
飼い主としては予防したくても遺伝が原因となる為、防ぎようが無いという点が歯痒く感じられてしまいます。
健康なトイプードルを飼育する事が回避できる最善の手段ではありますが、ペットショップの店員さんやブリーダーの方がどれだけワンちゃんの事を熟知しているかは定かではないので不安は残ります。
私達人間が愛犬に対して出来る事は、きちんとワンちゃんの健康状態をチェックする事が第一です。
次に、本記事のように遺伝性の病気に罹ってしまった場合はワンちゃんが生活しやすく、不安を感じないような環境を整えてあげる事が重要です。
愛犬が治療不可の病気になってしまったらショックですが、ワンちゃんがどのような状態になっても面倒を最後まで見る事が飼い主の責任であり役割です。
ワンちゃんの事を第一に考え、行動を起こす必要があると感じられました。
女性 白川
進行性網膜萎縮は遺伝する病気なので予防することはできませんが、進行を遅らせることはできます。
抗酸化剤やビタミンCを投与することで、少しばかり進行を遅らせることもできるといわれています。出来る限り見える時間を残してあげたいですね。
犬は、視覚が衰えても聴覚、嗅覚が残っていれば日常生活でさほど不便を感じないといいます。進行性網膜萎縮はゆっくりと見えなくなっていくので、始まりは犬も不安を感じてしまいますが、見えなくなっていくことに段々と慣れてきます。それでもストレスは感じてしまうので、物にぶつからないようにしたり、段差をなくしたり環境を整えてあげることも大事です。
個人的には目が完全に見えなくなる前に、色々な景色を見せておいてあげてほしいと思います。犬はその土地を嗅覚でも記憶できます。一度行ったことがある場所なら、後でまた訪れた時にも思い出して楽しむことができると思います。
予防や治療ができない分、今見える段階のことを考えてあげると良いと思います。
30代 男性 iida
記事にある進行性網膜萎縮症もそうですが、若年性の白内障もトイプードルなどの人気犬種で報告がされていたように思います。信頼できるブリーダーから犬を迎えることはもちろんですが、迎えた犬に病気がわかったときにきちんとその犬の幸せのために対応してあげることがなにより重要なことだと思います。
犬は視力以上に優れた嗅覚と聴覚を持ち合わせていますので、目が不自由になっても比較的楽しく生活を送れると思います。しかしそれには家族の協力が重要ですので、目の不自由な犬が恐怖心や不安を感じないよう皆でサポートする必要がありますね。
以前飼っていた犬は、10才で白内障で失明しましたが、その後5年は元気に家じゅう自由に行き来して生活していました。ぶつかったら危なそうな家具などにはすべてクッションを巻き、床は滑らないようカーペットを敷き詰めました。
40代 女性 こたろう
女性 たぬき
20代 男性 ピカ
20代 女性 ダップー♀3歳
昨日、網膜萎縮症と診断されてかなりショックを受けています。
4日程前の夜中にたまたま目を見たら右目が充血しショボショボさせていました。
次の日様子を見て病院に連れて行こうと思い、次の日の見ると治まっていました。しかし更に次の日の夕方にショボショボさせていたので、念の為病院に連れて行くと、初めは『(多頭飼いの為)遊んでいて引っ掻かれたか?』と言っていたものの、目の周りの触診で『先天性網膜萎縮症で最終的には見えなくなる』と言われました。
先生は『良く気付いたね』と。
『まだ若いのに』とも言われました。
完治する治療法はないものの、早く気付いたおかげで、2種類の点眼薬と飲み薬をもらい症状を遅らせる事は出来そうです。
皆様も大事な愛犬の何か異変に気付いたらら、早めに獣医さんに見てもらって下さいね‼
50代以上 女性 匿名
家の愛犬を見るたびに、辛いです。運が悪く、目薬が、苦手で内服薬です。進行が進まないと良いのですが…。