老犬の最期に訪れる症状
- 排泄のコントロールができなくなる
- 体温が下がる
- 痙攣(けいれん)する
- 呼吸が不規則になる
- 意識を保てず呼びかけに反応できない
老犬(高齢犬)と呼ばれる時期に突入すると、老衰や病気によって体が衰え、やがては最期を迎えます。愛犬がどんな最期を迎えるかは病気や体の衰え方によってさまざまですが、いざという時にあせらないよう、老犬の最期に起こりやすい症状を知っておきましょう。
排泄のコントロールができなくなる
意識がもうろうとしたり寝たきりになると、排泄に関わる肛門や膀胱などの筋肉のコントロールができなくなり、いわゆる垂れ流し状態になることがあります。
また、最期には腸や腎臓で水分の吸収・排泄の機能がうまく働かないために、便が固まらず下痢になったり、尿の濃さや量が元気な頃と異なるといった症状が現れることも多いでしょう。
排泄物で体が汚れた状態が続くと、皮膚炎や褥瘡(床ずれ)が起こりやすく、老犬の不快感と不衛生につながるので、できるだけこまめに体の汚れを取り除いたり犬が寝ている場所を掃除して清潔な状態を保ちたいですね。
オムツやペットシーツなどで受け止めたり、寝たきりでも使いやすい部分洗い用の洗浄液を用意しておくのがおすすめです。
体温が下がる
最期が近づくにつれ代謝が落ちるので、体温も下がりやすくなります。体温のコントロールがきちんと出来なくなり、体温が上がったり下がったりすることもあるようですが、最期の瞬間が近づいている段階では、体温は下がることが多いようです。元気な頃にはあった温もりが、手足などの末端を中心に少しずつなくなってくるはずです。
最期の瞬間が近づいているわけではなくても、元々、老犬期には体温を維持する機能が低下していることもあるため、寒そうな様子が見られたり寝たきりの場合には、毛布や湯たんぽなどを使って体温の維持をサポートしてあげるといいでしょう。
温めすぎや低温やけどが起こると良くないので、温度調節をしたり、定期的に温めている場所を確認するようにしてください。また、冷めた湯たんぽを挟んだままにしてしまうと、逆に体温をうばってしまうことがあるため注意しましょう。
痙攣(けいれん)する
腎不全や肝不全、脳腫瘍といった病気を抱えていたり、食事がとれない状況が続くと、体に老廃物が溜まる、血糖値が維持できない、脳の電気信号の伝達が狂うといった状態に陥ることで、痙攣が起こることがあります。
痙攣の仕方の例
- 手足をバタつかせる
- ピンと手足を張ったようになる
- 全身が小刻みに震える
愛犬が痙攣している時は無理に押さえつけようとせず、柔らかいクッションなどで周りを囲み、怪我をしないようにしてあげましょう。
周りで騒いでしまうと愛犬の脳への刺激になってしまうかもしれませんし、飼い主さんがけがをしてしまうことを防ぐためにも、痙攣発作が起きている時は愛犬の体を触ったり抱きしめたりしようとせず、できるだけ冷静に、静かに見守ってあげてください。
呼吸が不規則になる
老犬が最期を迎える時には、ハアハアと浅い呼吸になる、深くゆっくりとした呼吸になるなど、これまでにない呼吸の仕方が現れることがあります。
心臓が止まる時には、浅く速いあえぐような死戦期呼吸が見られることがあります。この呼吸は実際には息がちゃんとできてはいなく、心臓が止まってから呼吸が止まるまでの間に見られる呼吸だそうです。
また、浅い呼吸・深く息を吸い込むような呼吸・無呼吸がくり返されるチェーンストークス呼吸と呼ばれる呼吸が見られることもあります。顎をぐっと伸ばしてあえぐような様子になったり痰がからんだような音がすることも多く、老犬が「苦しそう」「辛そう」と飼い主さんが焦ってしまうことも少なくありません。
しかし、これは安らかに眠る準備でもあります。脳に酸素が行き届かなくなることで、やがて意識が遠のき息を引き取るのです。
意識を保てず呼びかけに反応できない
食事や水分がとれなくなって体温が正常に調節できない、脳に行く酸素が足りない状態になると、意識がぼんやりとして飼い主さんの声や触れ合いにも反応できなくなります。
老犬の目の焦点が合っていないように見えたり、眠ったままになるなど、最期の時間が近いと飼い主さんが感じやすい状態となるでしょう。
匿名 さん 男性 50代
今、まさしく看とりの中にいます。17才の柴犬(メス)です。最後の前兆とも言われてる下痢を繰り返し、フードも余り食べないので元々8キロも無い体は痩せ細り4.2キロしかありません。
飼い主がしてあげられる事。声かけて名前を呼び、物が言えないから話しかけて、たとえ余り反応なくても耳は最後まで聞こえてると言うので、感謝の気持ちを「ありがとうね。楽しかったよ。キツイね!」と声かけします。
自分も寝不足で少し辛く当たったりしたら「ごめんね!」と謝り、長くご縁を頂いた事に感謝しながら、やってくるお別れまでの貴重な時間を大切にしています。長くなると、きれいごとでは済まない事もありますが、心を改めてワンコと向き合います。
老犬のために飼い主ができること
たくさん撫でて話しかける
老犬の最期に意識がもうろうとした状態になると、飼い主さんの多くは「声も聞こえていないのではないか」「家族の声が分からないのではないか」と不安を感じることも多いかもしれません。
人間での研究になりますが、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学などの研究者が行った調査でも、「死の間際でも音が脳に届いている可能性がある」という結論が出ています。実際に臨死体験をした人の中には、「声が聞こえていて何を言われたか覚えている」というケースもあるようです。
そう考えると、犬の場合も飼い主さんの声が聞こえていて、話しかけることやなでてあげることで、老犬の最期に喜びや癒しを与えてあげられる可能性は十分あるでしょう。
愛犬が大好きだった人に会いに来てもらう
犬は何歳になっても、大好きな人とのつながりに喜びを感じてくれる動物です。もしも愛犬にとって最期に会いたいだろうなと感じる遠方の家族や犬友達がいれば、会いに来てもらうといいでしょう。もし目が見えていなくても、音やにおいでその存在を感じてくれるはずです。
モモの家族 さん 女性 30代
今年で15歳になるミニチュアダックスフントの女の子「モモ」。腎不全で一年間闘病し、今、最期の時を迎えようとしています。本当によくがんばりました。最後の最後まで撫で続けます。あなたと出会って共に暮らせてお母さんは幸せです。あなたのすべてにありがとう、ありがとう…
老犬になったら
老衰の症状を知っておく
飼い主さんの中には、愛犬の最期の症状が見られた時に「あまりにも突然だった」「お別れまでが早かった」と感じる人もいます。もちろん何の予兆もなく突然旅立つ場合や、老いてきたことは分かっていても最期の時まではまだ時間があると思っていたのに、という場合もありますが、老犬の最期が近づいてる時には、体に変化が訪れていて、それが急な場合もあればゆっくりの場合もあるのです。
- 刺激への反応が鈍い
(遊び、触れ合い、物音など) - 歩き方がゆっくりになった(※1)
- つまずきが多くなった(※1)
- 毎日食べているのに痩せ気味になる(※2)
- 柔らかい便が続く(※2)
- 毛にツヤや潤いがなくなった
- 被毛の触り心地が変化した
- 認知症を疑う症状が現れる
(夜鳴き、徘徊など) - 唇や鼻が乾いていることが増えた
- いつも目ヤニがついているようになった
※2:胃腸の消化・吸収機能の低下。
こういった症状の軽いうちは、毎日一緒に過ごしていると気づきにくいこともあります。しかし、寿命が人よりも短い犬は体が衰えるスピードも人より速いため、現れた症状をちょっとでもそのままにしていると、坂を転げ落ちるように急激に悪化することも多いのです。老衰の症状が愛犬に見られたら、気づいた段階で室内環境や生活習慣を変えて、老犬にとって暮らしやすい家や時間を作ってあげることが大切です。
以下の記事は、老犬を正しくサポートするための情報が紹介されています。これから介護を迎える人はぜひチェックしておいてください。
北川 さん 女性 50代
愛犬が虹の橋へ行き、2週間が経ちました。最後の2週間は病院通いでした。なぜかその日は仕事にいく気分でなく休み、オムツ替えてあげようと話かけると、グッタリして異常に頭が冷たいので、すぐ病院へ。老衰と言われましたが、本当に老衰だったのか?と疑問に感じてネットを見ると、ダックスのシニアに多い「クッシング症候群」にたどり着きました。
すべて先生に相談した症状ばかりでした。しかし、先生は「老犬によくあること」と。私がクッシング症候群なんて病気を知らなかったばかりに、愛犬につらい思いをさせてしまいました。
みなさんには同じ思いをして欲しくないので、一ヶ所の病院の診断を信じるのでなく、セカンドオピニオンを受けさせることをオススメします。
老犬の看取り方
愛犬の死期が近づいてきたと感じたら、どういう最期を送らせてあげたいか考えましょう。例えば、自宅で看取るのか、病院で最期までケアしてもらうのかの選択があります。
自宅の場合は面会の制限や老犬の最期に立ち会う人数の制限もなく、愛犬を自分の腕の中で見送ることができます。反対に、動物病院で看取る場合は、最期の症状が現れた時に不安を感じても、近くに獣医療のプロがいて、ギリギリまで治療にあたってもらえます。
特別なケアが必要な場合、酸素室をレンタルしたり自宅で点滴を行わせてもらったりなど、自宅にいながらできるだけの医療を受けられる場合もあるので、どのような形で最期の時を迎えたいのかもかかりつけの動物病院に相談してみましょう。満足のいく看取りができるかどうかは、後々訪れるかもしれないペットロス症候群の深さにもつながるため、家族みんなでよく相談しましょう。
どちらにしても、仕事や外出の予定の調節をしたり、ずっと側にいられる体制を整えておきたいですね。
匿名 さん 女性 50代
愛犬がシニア期に入ったら、色々な事例を参考にして、来るべきときに備えておくことが大切だと思います。私は前々から、シニア犬の補助具を見ていたのにも関わらず、老犬でも元気に見えたので「まだだろう」と思っていました。
具合が悪くなってからは家を出ることも出来ず「あの時もっと学んで用意しておけば…」と、つくづく後悔しました。無駄に思えても後悔よりましです。ぜひ備えと知識をもって、その時に備えてください。
はな さん 女性 40代
16歳11ヶ月のコーギーの女の子です。可愛くて賢くてほんとにうちにはもったいない子です。長い介護生活からイライラして後悔もたくさんあります。ほんとに幸せだったのかと…全く食べれずお水だけ飲んでる状態です。吐き気もあり苦しそうですが、絶対最後まで逃げずに見送ります。どうか眠ったように、皆が居る時にその時を迎えられるように、先代犬の優しいピスケに頼んでいます。
甘栗まま さん 女性 50代
皆さんのお話にとても勇気づけられております。長生きしてくれてありがたい嬉しさと夜鳴きで眠れないつらさ。もうじきくるであろう永遠の別れに時々泣けてしまいます。が感謝を忘れず17歳まできているシェルティー息子を抱ける幸せを噛み締めます。
まとめ
これらの症状がさほど現れない最期もありますが、何らかの病気を患っていた場合は、こういった末期症状を伴うことが多いでしょう。いざ目の当たりにすると見ている側は辛いですが、お別れの時間が来たというサインを愛犬が出しているのだと理解してあげてください。
そのため、老犬に最期の時が近い症状が見られた場合、飼い主さんは取り乱すのではなく、愛犬の身の回りの環境を整えたり、優しく声をかけて接するなど、少しでも幸せな気持ちで旅立てるよう準備してあげましょう。きっとワンちゃんも、そんな優しい飼い主さんと出会えて良かったと思ってくれるはずです。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 北川 晴美
ホルモンの病気からなのか悪性なのかまだ、病理検査の結果は聞いてませんが、血液検査の結果とお尻のあたりの左右対称に毛が薄くなるなど踏まえて、クッシング症と診断されました。
まずは、しっぽをしっかり治してからCTをかけて治療法を考えようということになりました。
また、エコーの結果でたんのうに泥が溜まってると言われて、どうしてあげたら良いか‥自分の子供のことのように目の前が真っ暗になるような感覚でした。
「痛い」とか「辛い」と言わないから‥虹の橋を渡るまで出来る限りのことをしてあげたいとおもいます。
今回の記事、メモメモものでした。ありがとうございます。
50代以上 女性 よんママ
病気で長く通院した子、元気だったのに突然亡くなった子、てんかんを起こすようになって、発作を繰り返したものの、静かに息を引き取ってくれた子、それぞれの最後でしたが、できるだけのことはしてあげたつもりですし、最後を一緒に過ごせたことで後悔せずに済んだと思います。
職場にも犬や猫と一緒に暮らしている人が多く、気持ちを理解してもらえたので、仕事を休ませてもらうことができました。
それでも、短時間のお留守番をしてもらって買い物に出ることもありましたが、その間に逝ってしまったりせず、きちんと看取らせてくれたことは、あの子たちの優しさだったのかもしれません。
もし、最後の瞬間を看取れないとしても、命の期限はわからないのだから仕方のないことだと思います。
どんなふうに一緒に生きたかが大切なんだと思って、今新しい家族、ジャックラッセルテリアと日々を過ごしています。
50代以上 女性 きゃさりん
何ひとつ病気したことなかったのに、16歳で突然てんかん起こし…その後、発作を抑える薬で1年半。
何もなかったのに、ある日 帰宅すると 発作を起こしていて 、そこから 10回以上激しい痙攣を繰り返し、何度も先生に電話して様子見て明け方病院へ。
重積発作という発作らしく、脳に後遺症が残り最初は歩くことすらできず。白内障だったものの、全盲になってしまい…お別れを覚悟してました。
しかし、病院ではこの「重積発作が起こるかもしれない。起こったらこんな危険がある」なんてひと言も聞かされていなくて。
この1年半は、毎月病院へ薬もらいに行ってたのに「なにもなければ検査しなくていいですよ」と言われてて…せめて3ヶ月に1度でも血中濃度測定してくれてたら…と 悔やまれて仕方ないです。
でも、悲しんでいても仕方ないので、そこから必死で介護して歩いたり、ゴハン食べたりできるようになったものの…私のことも忘れてしまってるみたいですね。
でも、最後までしっかり介護してあげよーと、毎日 「今日も生きててくれてありがとう」と声をかけ過ごしています。
おしっこもあちこちにしちゃうし、よくお腹壊したり、たぶん急に認知症の症状が出てきたらしく、夜泣きや徘徊 、毎日寝不足ですが、本当に 「生きててくれることが ありがたい」気持ちで大切に過ごしています。
ただ…病院では、起こる症状になにかにつけて 「もう 歳が歳だからね〜…」と片付けられてしまってる気がします。 「もう18歳なんだから 仕方ないよ」と。
今は 眠ってる時間は ほんとに多いけど、毎日穏やかに暮らせれるよーに最善のことをしてあげてます。
あの時、亡くならずに生きてくれて、私に介護してあげれる大切な時間を与えてくれたことに感謝して。
50代以上 男性 みっちー
50代以上 男性 ルナ
50代以上 女性 匿名
家族全員に連絡。みんなで家で看取る事にしました。顎を上げ弱々しい呼吸、軽く痙攣していましたが、最後に舌を出し大きく伸びをして息を引き取りました。病院に連れていけばもう少し長生きできたかもしれないという思いもありますが、10数年ぶり家族全員集合、みんな自宅に泊り、翌日火葬まで、れなに寄り添うことができて、レナも幸せだし、私たちに集まる機会を作ってくれたのだと感謝しています。