老犬がかかりやすい!犬の『クッシング症候群』の初期~末期症状

老犬がかかりやすい!犬の『クッシング症候群』の初期~末期症状

皆さんは犬の『クッシング症候群』という病気をご存知でしょうか。主に5歳を超えたシニア前~老犬がかかりやすいと言われている病気です。今回はこの『クッシング症候群』の初期~末期末期症状、さらに検査方法をご紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

老犬がかかりやすい『クッシング症候群』

居眠りする老犬

クッシング症候群とは、副腎という器官からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されてしまう病気を指します。この病気の原因は2つあり「脳下垂体というホルモンを分泌する指令を出す部分に腫瘍ができている」「副腎に腫瘍ができている」のいずれかが原因です。

このようなことが原因になり、コルチゾールが過剰分泌され、健康に悪い影響を及ぼしてしまうのです。

これは主に老犬がかかりやすい病気として知られており、中には5歳を過ぎたシニア前の犬も患うことがあります。この後、『クッシング症候群』の症状を段階別でご紹介していきますが、老犬だけでなくシニア期前の犬も要注意ですよ。

『クッシング症候群』の初期~末期症状

老犬の後ろ姿

では、ホルモンの分泌異常によって引き起こされる『クッシング症候群』の症状を段階別に確認していきましょう。初期症状は非常に小さな変化のため、見逃す飼い主さんが多いです。しかし、末期になってしまうと死に至る危険性も出てくるので、当てはまる症状が見られたらすぐに病院で検査を受けましょう。

初期症状

水を飲む犬

まずは初期症状です。初期段階では、多くの飼い主さんが「クッシング症候群かも」と気付きません。それどころか、単純に「喉が渇いたのかな」「老化のせい」として見過ごしてしまう飼い主さんも多いでしょう。

そんな気付きにくい『クッシング症候群』の主な初期症状が以下の3つです。

  • 水を飲む量が増える
  • おしっこの回数が増える
  • 食事の要求が増える

いかがですか?愛犬に当てはまる症状はありませんか?「なんだか最近、よく水を飲むようになったし、おしっこの回数が増えている(あるいはおしっこの量が増えている)」と思い当たる場合は、クッシング症候群の初期段階に入っている可能性があります。

「以前に比べて食欲はあるから大丈夫だろう」と思っている方もいるかもしれませんが、それもクッシング症候群の症状の1つです。一度、かかりつけの獣医さんに相談してみましょう。

中期症状

初期段階よりもさらに症状が進行した中期段階に入ると、少しずつ「あれ?おかしいな」と思う症状が増えてきます。

  • 毛が抜ける
  • お腹がふくれ始める
  • 息が荒くなる

いかがでしょう。毛が抜けるようになったという症状だけでは、単に「老化のせいかな」と見過ごしてしまう方もいるかもしれません。しかし、お腹がふくれ始めたり、以前よりも息が荒くなってきたら、「あれ?おかしい」と違和感を感じる飼い主さんも多いでしょう。

また、クッシング症候群の中期症状の1つに足腰が弱るという症状もあります。足腰が弱ってしまうと、以前に比べて動きたがらなくなるという特徴が見られます。

シニア前に入った犬の場合、少しでも違和感を感じたら、すぐに病院で診てもらうのが鉄則です。クッシング症候群に限らず、それこそがすべての病気の早期発見に繋がります。

末期症状

末期症状に入ってしまうと非常に危険です。さまざまな合併症を引き起こす危険性があり、最悪の場合、死に至ることもあります。

クッシング症候群が引き起こしやすい合併症として、皮膚炎や膀胱炎、感染症、さらには糖尿病などが挙げられます。これらが重なってしまうと体にも大きな負担がかかりますし、病状が悪化してしまうことで治療できなくなり、死に至るケースもあります。

前述の通り、この段階に入ると治療も簡単にいかなくなりますので、なるべく中期段階までに病気を発見してあげることが重要です。

『クッシング症候群』を検査する方法

注射を打たれるトイプー

初期段階、中期段階でぜひ発見し、治療をしてほしい『クッシング症候群』。そのクッシング症候群を発見し、治療をしてもらうためには、まず検査をする必要があります。

クッシング症候群の検査方法は、基本的に血液検査とCT検査(あるいはMRI検査)によって診断されます。採血は数回行い、その中にはACTHと呼ばれる副腎皮質刺激ホルモンを注入することで、異常を引き起こしているコルチゾールの値を確かめる検査も行われます。

これらの検査によってクッシング症候群と判断された場合は、速やかに治療に移ることになります。治療はコルチゾールを抑える投薬や外科手術によって行われます。

軽度な場合は投薬のみ行う事になりますが、これは完治させる薬ではないため、生涯飲み続けなければいけません。薬を投薬しながら様子を見るという方法です。

脳下垂体に大きな腫瘍ができている場合は、外科手術によって腫瘍を摘出する手術が行われることもあります。しかし、この手術を行える病院は日本国内でも限られている上、非常に難しい手術とされているため、リスクも伴います。

そのため、基本的には投薬のみで様子を見ながら、コルチゾール値を抑えるという方法が選択されます。

まとめ

飼い主と老犬

いかがでしたでしょうか。『クッシング症候群』は基本的に予防法がないため、初期や中期段階で飼い主が気付き、進行を抑える治療を続けていくことが重要です。愛犬となるべく一緒に過ごす時間を長くするためにも、普段から様子を観察することを心掛けてくださいね。

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