犬のおもちゃの安全性、何に気をつければいい?
愛犬におもちゃを買ってあげるとき、皆さんは何を基準にして選んでいますか?歯や顎を傷めたり誤飲して喉に詰まらせたりしないように、犬のサイズに適したおもちゃを選ぶことはもちろん大切ですね。
けれども、そういう目で見ただけではわからない危険もあります。
実は人間の子供のためのおもちゃには、使用される原料や成分に法的な規制があるのですが、犬のためのおもちゃには規制がありません。特に犬のおもちゃは口でくわえたり、何度も噛んだりすることが多いため、どんな成分や物質で作られているかはとても重要です。犬おもちゃを購入するときのポイントや、避けるべき毒性のある成分についてご紹介します。
BPAとフタル酸エステル
先に書いたように、犬のおもちゃの安全性については法的な規制がないため、統一した表示方法がないのが難しい点なのですが、「BPAフリー」「フタル酸エステル類フリー」と書かれているのは安心材料の一つです。
BPAというのはビスフェノールAの略で、プラスチック製の水筒やペットボトルなどに「BPAフリー」という表示がされているのを見ることが多いと思います。ポリカーボネートプラスチックの製造に使用される化学物質で、内分泌撹乱物質のひとつです。俗に環境ホルモンとも呼ばれています。
フタル酸エステルというのは可塑剤とも呼ばれ、プラスチックの柔軟性を高める化学物質です。こちらも内分泌撹乱物質のひとつです。
BPAもフタル酸エステルも犬の健康との関連についての研究はとても少ないのですが、2016年の研究で、缶詰ドッグフードの内側のプラスチック塗装に含まれるBPAが犬の腸内環境に影響を与えたことが発表されています。人間の場合は子供の発育に影響を与えたり、糖尿病リスクを高くしたりする可能性が指摘されています。
おもちゃに含まれる化学物質が、犬の健康にどの程度のリスクがあるのかは未知数なのですが、これらが含まれるプラスチックを赤ちゃんの哺乳瓶への使用することは規制されているため、フリーと書かれた製品を選ぶことがより安心でしょう。
成分がフリーかどうかの表示ではなく「無毒」とか「非毒性」と書かれている場合もありますが、不明な場合にはおもちゃのメーカーのサイトを確認したり、問い合わせたりしてみることをお勧めします。法的な規制はなくても、良心的な玩具メーカーは会社独自の基準を設けて公開していることが多いからです。
化学物質の他にも気をつけたい注意点
「化学物質が心配なら自然のもので遊ばせれば安心じゃない?」と考えるのはもっともなことです。
けれども、ローハイドやアキレスなどのおやつも必ず飼い主の監督の下で与えないと窒息のリスクがあります。天然の骨や鹿の角も小さくなった欠片を飲み込んで、喉や腸に詰まらせる例は少なくありません。またこれらは硬すぎて、歯が欠けるリスクはかなり高いものです。
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犬の遊びの大定番モッテコイにテニスボールを使う人も多いですね。実はテニスボールにも意外なリスクが潜んでいます。犬がボールをくわえたりアグアグと噛んだりすることで、テニスボールの硬いフェルト素材や、そこに絡まった砂などがヤスリのように犬の歯を摩耗させてしまいます。犬に与えるボールは、ラバーやシリコンなどの犬用ボールの方が安全性が高いと言えます。
まとめ
犬のおもちゃを選ぶときに気をつけたい点や、リスクが考えらる化学物質、安全と思われがちなおもちゃの意外なリスクについてご紹介しました。まとめてご紹介したので、「そんなに心配ばかりしていたら犬を遊ばせられない!」と感じた方もいるかもしれません。けれども、考えられる危険をあらかじめ知っておくことで回避できることもあります。どんなおもちゃもオヤツも、必ず飼い主の目の届くところで監督しながら与えるというのは、一番大切なリスク管理だと言えますね。
《参考》 https://www.petmd.com/dog/wellness/bpa-free-and-nontoxic-dog-toys-what-do-labels-mean?