犬用ローハイドガムとは?
骨の形に成形されていることが多いので骨ガムと呼ばれる犬用のおやつの名称はローハイド(生皮)というものです。牛や馬の皮革を取った時の副産物で、皮革製品に使われる部分のすぐ下にある層がローハイドの原料です。犬のおやつに加工される際に煮たり焼いたりしていないので生皮という名で呼ばれます。
動物の皮から毛や脂肪を取り除いて、皮革製品などに使う部分を取った残りの部分を洗浄したり漂白した後に乾燥、成形したものが犬のおやつとして市販されています。
こうして見ると自然なもののように思えるのですが、どこから危険だという声が出てくるのでしょうか?
ローハイドガムの種類
一口にローハイドと言っても、加工される工程は製品によって大きな違いがあります。
まず、加工されるまでの保存や運搬の際に超高濃度の食塩水や防腐剤を使用するのか、冷凍するのか。衛生上確実で、加工後の製品への残留などを考えるとより安全なのは冷凍です。
その後、生皮は洗浄〜漂白〜殺菌されていきます。この工程で強力な薬品を使うと手間が省けて早く大量に処理できますが、安全性という面で言うまでもなく理想的ではありません。強い化学薬品を使っている製品は、噛んでいる間に犬の口の周りが赤くなったり痒くなったりする例もあります。
一方で、弱い洗剤で時間をかけて洗浄し、漂白殺菌にオキシドールを使うと安全性が高くなる代わりに時間と手間とコストがかかります。
日本製とか国産と表記されている製品では、強い薬品を使っていないことをセールスポイントにしています。値段は高くなりますが、愛犬の安全のためには押さえておきたいポイントです。
安全性に配慮した製法のローハイドは、そのことをアピールして販売しているので、製品の原産国や製法については購入前にしっかりとチェックしましょう。
ローハイドガムの注意点
では、メーカーが安全性をアピールしている国産のローハイドなら全くリスクはないのか?と言うとそうではありません。ローハイドを与える時にはいくつか注意する点があります。
一番のリスクは噛みちぎったローハイドの欠片が喉や消化器官に詰まってしまうことです。めったに起こることではありませんが、起こった時のダメージは深刻で命に関わることもあります。特に胃腸などに詰まると、すぐに気がつきにくく開腹手術が必要になったりもします。
このような事故を防ぐためには、愛犬に合ったサイズのローハイドを選ぶことが重要です。大き過ぎる製品は、上記のような事故の他にも歯が欠けるリスクもあります。
普段からあまり食べ物を噛まずに丸呑みするタイプの犬は詰まるリスクが高くなります。ラブラドールなど噛み切る力が強くて食べるのが大好きというタイプに多いリスクです。愛犬が丸呑みタイプなら、ローハイドガムは避けた方が無難です。
どんなタイプの犬でも、ローハイドを与える時には飼い主が目を離さないことが鉄則です。小さくなった最後の欠片は飲み込む前に回収します。お留守番の時の暇つぶしにローハイドのような噛むおやつを与えることは止めましょう。
犬によっては、ローハイドがうまく消化できないという場合もあります。おなかを下してしまったり嘔吐した場合には、それ以上与えるのは止めましょう。
ローハイドガムを与えるメリット
注意点やリスクを並べてきましたが、高品質のローハイドであれば、もちろん与えるメリットもあります。
まず、ローハイドを噛む摩擦で歯がきれいになります。噛む時に唾液がたくさん出るのも口の中を衛生的に保つのに役立ちます。
長い時間をかけてローハイドをあぐあぐと噛むことは犬にとってはストレス解消にもなります。
先に挙げたようなリスクから「うちの犬にはローハイドは向いていないかも」と思った飼い主さんには馬アキレスのおやつや、デンタル専用の犬用おもちゃなどの中から、ぴったりのものを探すことをお勧めします。
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まとめ
犬のガムの大定番とも言えるローハイドガムですが、与える前に知っておきたいリスクがあることをご紹介しました。特に中国製など製法に不安のあるものは、そのリスクをよく知っておきたいものです。
きちんとした製法で作られた安全性の高いものを与える場合も、単なる「長い時間静かにしてくれる重宝なツール」ではなく、ローハイドが愛犬に合っているかどうか、危険な食べ方をしていないか、食べた翌日の体調はどうかなどをしっかりと見極めてあげてくださいね。
リスクとメリットをよく比べて、最終的に判断をするのは愛犬のことを一番よく知っている飼い主さんです。