【獣医師監修】ペキニーズがかかりやすい病気は?症状・予防法や動物病院を受診する目安まで解説

【獣医師監修】ペキニーズがかかりやすい病気は?症状・予防法や動物病院を受診する目安まで解説

ペキニーズで注意したい病気について解説します。乾性角結膜炎や角膜潰瘍などの目の病気、短頭種気道症候群、椎間板ヘルニア、顔のしわに起こる皮膚トラブルを取り上げ、気をつけたい症状や動物病院を受診する目安、適正体重の維持や暑さ対策、日頃の観察、健康診断など健康管理と早期発見のポイントを紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

ペキニーズで注意したい主な病気

カルテを書く獣医師と台の上で伏せるペキニーズ

ペキニーズでは、乾性角結膜炎や角膜潰瘍などの目の病気、短頭種気道症候群(BOAS)、椎間板ヘルニアなどに注意が必要です。

国内のペット保険データでも、乾性角結膜炎や潰瘍性角膜炎、椎間板ヘルニアなどは、ペキニーズで犬全体より高い請求割合が示されています。

たとえば乾性角結膜炎はペキニーズで3.1%、犬全体で0.4%、椎間板ヘルニアはペキニーズで6.9%、犬全体で1.4%でした。

ただし、これらはペット保険契約犬の診療・請求データであり、すべてのペキニーズが同じ確率で発症することを意味するものではありません。犬種として注意したい病気を知り、日頃の健康管理に役立てることが大切です。

乾性角結膜炎・角膜潰瘍などの目の病気

ペキニーズでは、乾性角結膜炎や角膜潰瘍など、眼の表面に起こる病気に注意が必要です。

ペキニーズのような短頭種は眼球が前方に出て見えやすく、角膜が刺激を受けやすい特徴があります。また、犬を対象とした研究では、短い頭部形態や鼻のしわ、眼瞼裂の広さなどと角膜潰瘍との関連も報告されています。

目の病気は種類によって治療法や緊急性が異なるため、見た目だけで判断せず、異常が続く場合は動物病院で確認してもらうことが重要です。

乾性角結膜炎(ドライアイ)

乾性角結膜炎は、主に涙液が不足することで角膜や結膜の表面を十分に保護できなくなる病気で、「ドライアイ」とも呼ばれます。

涙には眼の表面を潤し、異物や刺激から守る働きがあります。そのため、涙が不足すると眼表面に炎症が起こり、状態によっては角膜にも傷が生じることがあります。

ペキニーズでは犬全体と比べて乾性角結膜炎の請求割合が高く、犬種として注意したい目の病気のひとつです。

乾性角結膜炎は、ほかの結膜炎や角膜疾患と似た状態に見えることもあります。必要に応じて涙の量を測る検査などを行い、原因や眼の状態に応じた治療が検討されます。

角膜潰瘍・角膜炎

角膜は眼球の表面を覆う透明な組織です。角膜潰瘍は角膜表面が傷ついて欠損した状態で、傷が深い層まで及ぶこともあります。

一方、角膜炎は角膜に炎症が起こった状態を広く指す言葉です。原因には外傷や感染、涙液の異常などさまざまなものがあり、角膜潰瘍と角膜炎は必ずしも同じ状態ではありません。

国内のペット保険データでは、潰瘍性角膜炎の請求割合はペキニーズで4.3%、犬全体で1.0%と、犬全体より高い傾向が示されています。

角膜の傷は浅いものから深いものまであり、状態によって治療方法も異なります。目の表面に異常が疑われる場合は、自己判断で目薬を使うのではなく、獣医師の診察を受けることが大切です。

短頭種気道症候群

ペキニーズで注意したい呼吸器の問題が、短頭種気道症候群(BOAS)です。BOASは、鼻孔や軟口蓋など上部気道の構造によって空気の通り道が狭くなり、呼吸に負担がかかる状態をまとめた呼び方です。

ペキニーズのような短頭種では、頭部や気道の形態が呼吸のしやすさに影響します。2026年に発表された短頭種14犬種を対象とした研究でも、ペキニーズはBOASへの注意が必要な犬種のひとつとされています。

ただし、短頭種であればすべての犬にBOASが起こるわけではなく、重症度にも個体差があります。また、「短頭種だから呼吸音が大きくても普通」と一律に考えるのも適切ではありません。

BOASは呼吸だけでなく、運動のしやすさや暑い時期の体調にも影響することがあります。日常生活でどの程度呼吸に負担がかかっているかを確認しながら、その犬に合った管理を行うことが重要です。

椎間板ヘルニア

ペキニーズでは、椎間板疾患にも注意が必要です。椎間板は背骨と背骨の間でクッションのような役割をしており、その一部が飛び出すなどして脊髄や神経を圧迫する状態が椎間板ヘルニアです。

国内のペット保険データでは、椎間板ヘルニアの請求割合はペキニーズで6.9%、犬全体で1.4%と、犬全体より高い傾向が示されています。

また、ペキニーズを対象とした研究でも椎間板の逸脱が確認されており、犬種として椎間板疾患への素因があることが知られています。

ただし、「胴が長く脚が短いから発症する」「階段を使ったことが原因になる」など、体型や特定の行動だけを原因と考えるのは適切ではありません。遺伝的な素因を含む複数の要因が関係します。

椎間板ヘルニアでは、症状や発生部位によって必要な検査や治療が異なります。単純X線検査だけでは病変を十分に評価できないこともあり、状態によってCTやMRIなどの画像検査が検討されます。

顔のしわに起こる皮膚トラブル

ペキニーズでは、顔のしわが重なっている部分の皮膚にも注意が必要です。しわの内側は湿気や皮脂、汚れが残りやすく、炎症を起こすことがあります。

このような皮膚の重なりに生じる炎症は「皺襞性皮膚炎(しゅうへきせいひふえん)」と呼ばれます。ペキニーズのように顔にしわがある犬種でみられる皮膚トラブルのひとつです。

ただし、顔に赤みやかゆみがあるからといって、すべてが皺襞性皮膚炎とは限りません。細菌や酵母などによる感染、アレルギーをはじめ、ほかの皮膚疾患が関係している場合もあります。

そのため、「ペキニーズは皮膚病になりやすい」と広くまとめるのではなく、顔のしわなど犬種の特徴と関連する部分を中心に注意しておくとよいでしょう。

ペキニーズの病気で注意したい症状と受診の目安

悲しげな表情で伏せているペキニーズ

ペキニーズの体調変化に早く気づくには、病名を予測するよりも、普段の呼吸や目の状態、歩き方などと比べて「いつもと違う変化」がないかを見ることが大切です。

同じような症状でも原因はさまざまで、見た目だけで病気を特定することはできません。気になる変化が続く場合や悪化している場合は、自己判断で様子を見続けず、動物病院へ相談しましょう。

呼吸・目・歩き方などにみられる変化

呼吸では、以前よりいびきやガーガー、ゼーゼーといった音が目立つ、少し動いただけで息が上がる、散歩中に立ち止まることが増えたといった変化に注意しましょう。

短頭種のペキニーズでは呼吸音が聞こえることもありますが、「この犬種だから普通」と決めつけず、これまでと比べて呼吸の様子が変わっていないかを見ることが重要です。

目については、目やにが増えた、充血している、涙が多い、目を細める、前足で目を気にするといった変化が受診のきっかけになります。

片方の目だけを閉じるようになったり、目を開けにくそうにしたりする場合には、痛みを伴う眼疾患が隠れていることもあります。

歩き方では、ふらつく、足を引きずる、動きたがらない、首や背中を動かすのを嫌がるといった変化に注意が必要です。

また、普段は上れる段差を嫌がる、抱き上げたときに痛がるなど、いつもの動作に変化がみられる場合もあります。

これらの症状は、短頭種気道症候群や目の病気、椎間板ヘルニアだけにみられるものではありません。症状から病名を決めつけず、いつからどのような変化があるのかを獣医師に伝えるようにしましょう。

すぐに動物病院を受診したい症状

呼吸が明らかに苦しそうな場合は、速やかな対応が必要です。安静にしていても呼吸が苦しそう、舌や歯ぐきが青紫色になる、呼吸状態の悪化とともに倒れるといった症状がある場合は、すぐに動物病院へ連絡してください。

目では、眼球を強くぶつけたなど明らかな外傷がある、強い痛みで目を開けられない、眼球や角膜の見た目が急に変化したといった場合は、早急な受診が必要です。

歩行についても、突然立てなくなった、歩けなくなった、足をほとんど動かせないなど、急な麻痺や明らかな神経症状がみられる場合は様子を見続けず、速やかに動物病院へ連絡しましょう。

また、症状が急速に悪化している場合や、飼い主から見て「いつもと明らかに様子が違う」と感じる場合も、受診をためらわず動物病院へ相談することが大切です。

ペキニーズの健康管理と病気の早期発見のポイント

食器の前に座ってフードを待つペキニーズ

ペキニーズで注意したい病気のなかには、日常の工夫だけで完全に防ぐことが難しいものもあります。そのため、健康への負担をできるだけ減らし、体調の変化に早く気づけるようにすることが大切です。

体重や暑さに配慮するとともに、健康なときの目や皮膚、歩き方などを普段から把握しておくと、小さな変化にも気づきやすくなります。

適正体重を保ち暑さに注意する

ペキニーズの健康を維持するためには、太りすぎを避け、その犬に合った体重や体型を保つことが基本です。

体重だけで判断するのではなく、肋骨の触れやすさや腰のくびれなどから体型を評価する「ボディコンディションスコア(BCS)」も参考になります。

短頭種を対象とした研究では、犬種全体を合わせた解析で、BCSが高いことと短頭種気道症候群(BOAS)との関連が報告されています。

ただし、ペキニーズだけを対象にした結果ではないため、肥満をBOASの原因と考えたり、減量だけで予防できると考えたりするのは適切ではありません。

また、ペキニーズのような短頭種では、暑い環境で体温を調節する負担が大きくなることがあります。特に気温や湿度が高い日は、暑い時間帯の外出や激しい運動を避け、涼しい環境で過ごせるようにしましょう。

安全に過ごせる気温を一律に決めるのではなく、その日の気温や湿度、活動量、その犬の呼吸状態や体調を見ながら調整することが大切です。

目・皮膚・歩き方を日頃から確認する

体調の変化を早く見つけるためには、健康なときの状態を知っておくことが役立ちます。

目の開き方や普段の目やにの程度、顔のしわの皮膚の状態、立ち方や歩き方などを日頃から見ておくと、「いつもと違う」という変化を見つけやすくなります。

顔のしわは汚れや湿気が残りやすいため、皮膚の状態を確認しながら清潔に保ちましょう。濡れた場合はやさしく水分を取り、強くこすらないようにします。

目の周囲についても、毛や汚れが眼球を刺激していないかを確認します。人用の目薬や皮膚薬などを自己判断で使用するのは避け、ケア方法に迷った場合は獣医師に相談してください。

歩き方は散歩中だけでなく、立ち上がるときや方向転換するときなど、普段の生活のなかでも確認できます。元気なときの動き方を把握しておくことが、変化を見分ける手がかりになります。

定期的に健康診断を受ける

症状がないときから定期的に動物病院で診察を受けておくことも、健康状態を把握するために役立ちます。

診察では体重や体型だけでなく、目や皮膚、呼吸状態、心臓や肺、関節や歩き方など、家庭では確認しにくい部分も含めて全身の状態を確認してもらえます。

また、健康な時期の体重や診察結果などを記録しておけば、その後に変化が生じたときの比較材料にもなります。

健康診断の内容や受ける頻度は、ペキニーズという犬種だけで一律に決めるものではありません。年齢やこれまでにかかった病気、治療中の疾患、日頃の体調などによって必要な診察や検査は変わります。

かかりつけの獣医師と相談しながら、その犬の年齢や健康状態に合った健康管理を続けていきましょう。

まとめ

獣医師に触診されているペキニーズ

ペキニーズは、目や呼吸器、背骨、顔のしわ周辺などに注意したい特徴がありますが、すべての犬が同じ病気になるわけではありません。

大切なのは、犬種として注意したい傾向を知ったうえで、その子にとっての「いつもの状態」を把握しておくことです。普段から体調や動き方を見ていれば、小さな変化にも気づきやすくなります。

また、体重管理や暑さへの配慮、日常的なお手入れ、定期的な健康診断を続けることも健康維持につながります。気になる変化がみられたときは自己判断で様子を見続けず、必要に応じて早めに獣医師へ相談しましょう。

呼吸が苦しそう、急に立てない・歩けないなど明らかな異常がある場合は、速やかに動物病院へ連絡してください。日頃の観察と早めの対応を心がけることが、ペキニーズの健康を守るうえで重要です。

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