キャバリアとは
- 正式名称:キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(Cavalier King Charles Spaniel)
- 原産国:イギリス
- 大きさ:小型犬
- 体高:30〜33cm
- 体重:5.4〜8.0kg
- 被毛:長毛、絹糸のようになめらかな被毛
- 毛色:ブレンハイム、トライカラー、ブラック&タン、ルビー
- 性格:明るい、友好的、愛情深い、活発
- 寿命:12〜15歳程度
キャバリアは、正式名称を「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(Cavalier King Charles Spaniel)」という、イギリス原産の犬種です。
ジャパンケネルクラブ(JKC)では、家庭犬や伴侶犬を中心とする第9グループの「コンパニオン・ドッグ&トイ・ドッグ」に分類され、用途はコンパニオンおよび愛玩犬とされています。
日本では正式名称を略して「キャバリア」と呼ばれることが多く、家庭で暮らす伴侶犬として広く親しまれています。
名前がよく似た「キング・チャールズ・スパニエル」とは別の犬種として公認されているため、混同しないようにしましょう。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルという名称には、イギリス王室と深いつながりを持つ犬たちの系譜が反映されています。犬種が成立するまでの詳しい経緯については、後述する歴史の項目で紹介します。
キャバリアの性格
キャバリアは、明るく穏やかで、人との触れ合いを好む犬種です。飼い主や家族に愛情を示しやすく、一般に友好的な気質を持つとされています。
遊び好きで人と一緒に過ごすことを好む一方、甘えん坊な面が強く出ることもあります。長時間ひとりで過ごすことを苦手とする個体もいるため、留守番には少しずつ慣らしていくことが大切です。
性格の現れ方には個体差があり、育った環境や社会化の程度によっても変わります。子どもや他の犬と暮らす場合も、相性を確認しながら無理のないペースで慣らしていきましょう。
キャバリアの特徴
キャバリアは、小型ながら全身のバランスがよく、優雅でやわらかな印象を与える犬種です。大きく丸い瞳と長い垂れ耳、すっきりとしたマズルを持ち、穏やかな表情をしています。
体の各部には豊かな飾り毛があり、成犬になるにつれて耳や胸元、脚、しっぽの毛が伸びることで、キャバリアらしい華やかな姿になっていきます。
キャバリアの大きさ
キャバリアの成犬時の体重は5.4〜8.0kgが目安です。体高は30〜33cmほどが一般的で、小型犬の中では比較的しっかりとした体格をしています。
極端に華奢な体型ではなく、骨格と筋肉のバランスが取れた体つきが特徴です。オスとメスで大きな体格差はありませんが、成犬時の大きさには個体差があります。
キャバリアの被毛タイプ
キャバリアは、絹糸のようになめらかで光沢のある長い被毛を持っています。基本的にはストレートですが、緩やかなウェーブが見られることもあります。
特に耳や胸元、脚の後ろ側、しっぽには長い飾り毛が発達し、優雅な外見を形づくっています。成長とともに飾り毛が豊かになり、子犬の頃とは異なる印象に変化していくのも特徴です。
キャバリアの毛色の種類
キャバリアの毛色は、ブレンハイム、トライカラー、ブラック&タン、ルビーの4種類です。
ブレンハイムは、白地に鮮やかなチェスナット色の斑が入る毛色です。頭部の斑は左右にバランスよく入り、耳の間に「ロザンジュ」と呼ばれるひし形の斑が見られることもあります。
トライカラーは、ブラックとホワイトをベースに、目の上や頬、耳の裏側、脚などへタンのマーキングが入る3色の毛色です。
ブラック&タンは、光沢のあるブラックをベースに、目の上や頬、胸、脚などへ明るいタンが入ります。ルビーは、全身が鮮やかなレッドで覆われる単色の毛色です。
同じ毛色でも斑の入り方や色合いには個体差があるため、一頭ごとに異なる表情を楽しめます。
キャバリアの歴史
キャバリアのルーツは、古くからヨーロッパの貴族に愛されてきた小型のトイ・スパニエルにあります。特に17世紀のイギリスでは、チャールズ2世がこうした小型のスパニエルを愛したことで広く知られるようになりました。
当時の絵画に描かれたスパニエルは、現在のキャバリアに近い比較的長いマズルと平らな頭部を持っていました。
しかし、19世紀になると短いマズルを持つ小型犬が好まれるようになり、より丸みのある頭部と短い鼻を持つキング・チャールズ・スパニエルが主流になっていきます。
現在のキャバリアにつながる大きな転機となったのが1926年です。
アメリカ人のロズウェル・エルドリッジが、イギリスのドッグショー「クラフツ」で、古い絵画に描かれているような長いマズルを持つスパニエルの復活を促すために賞金を設けました。
この呼びかけをきっかけに、かつてのタイプを復活させようとする繁殖が進められ、1928年にはキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの犬種クラブが設立されました。
「キャバリア」という名称は、短いマズルを持つキング・チャールズ・スパニエルと区別するために用いられるようになったものです。
その後、1945年にイギリスのケネルクラブから独立した犬種として正式に認められ、現在のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルへとつながっています。
キャバリアとアメリカン・コッカー・スパニエルの違い
キャバリアとアメリカン・コッカー・スパニエルは、どちらも長い垂れ耳と豊かな飾り毛を持つため、見た目が似ていると感じることがあります。しかし、体格や顔立ち、犬種として発達してきた用途には違いがあります。
キャバリアは体重5.4〜8.0kgほどの小型犬です。一方、アメリカン・コッカー・スパニエルはキャバリアよりひと回り大きく、体高はオスで約38.1cm、メスで約35.6cmが目安とされています。
顔立ちにも違いがあり、キャバリアは比較的すっきりとしたマズルと穏やかな表情が特徴です。
アメリカン・コッカー・スパニエルは、丸みのある頭部やはっきりとしたストップ、幅のあるマズルを持ち、より重厚感のある顔立ちをしています。
また、キャバリアは伴侶犬・愛玩犬として発達したのに対し、アメリカン・コッカー・スパニエルは鳥猟犬のグループに属する犬種です。
現在はどちらも家庭犬として親しまれていますが、体格や運動量、被毛のお手入れに必要な時間などを比較しながら、自分の生活に合う犬種を選ぶことが大切です。
キャバリアの代表的なミックス犬
キャバリアには、トイ・プードルやビション・フリーゼ、マルチーズ、チワワなどと組み合わせたミックス犬が見られます。
見た目や体格、被毛の特徴は両親のどちらを強く受け継ぐかによって異なるため、同じ組み合わせでも個体差があります。
キャバリアとトイ・プードルのミックス(キャバプー)
キャバリアとトイ・プードルを両親に持つミックス犬は、「キャバプー」と呼ばれることがあります。キャバリアのやわらかな顔立ちと、トイ・プードルの巻き毛やウェーブがかった被毛を受け継ぐ場合があります。
被毛の長さやカールの強さ、抜け毛の量には個体差が大きく、トイ・プードルの特徴を受け継いだからといって必ず抜け毛が少なくなるとは限りません。
キャバリアとビション・フリーゼのミックス(キャバション)
キャバリアとビション・フリーゼを両親に持つミックス犬は、「キャバション」と呼ばれることがあります。丸みのある顔立ちや、ふんわりとした毛量の多い被毛になる場合があります。
被毛はストレートに近いものからウェーブ、カールが強いものまでさまざまで、成犬になったときの毛質や見た目にも個体差があります。
キャバリアとマルチーズのミックス(キャバマル)
キャバリアとマルチーズを両親に持つミックス犬は、「キャバマル」と呼ばれることがあります。キャバリアより小柄になる場合があり、垂れ耳や丸みのある目、長めの被毛など、両犬種の特徴がさまざまな形で現れます。
被毛の色や長さ、毛量は一頭ごとに異なり、マルチーズのような白い被毛になるとは限りません。
キャバリアとチワワのミックス(チワキャバ)
キャバリアとチワワを両親に持つミックス犬は、「チワキャバ」と呼ばれることがあります。キャバリアよりコンパクトな体格になる場合が多いものの、成犬時の大きさには幅があります。
耳はキャバリアのように垂れる場合もあれば、チワワのように立ち耳に近くなる場合もあり、被毛の長さや顔立ちにもさまざまな違いが見られます。
キャバリアの価格相場
キャバリアの子犬の価格は、20万円台後半〜30万円台を中心に見られます。実際の価格は、月齢や性別、血統、毛色、両親犬の実績などによって異なり、40万円を超えるケースもあります。
子犬を迎える際は、生体価格だけでなく、ワクチン接種やマイクロチップ、健康診断などにかかる費用も確認しておきましょう。
販売価格に何が含まれているかはブリーダーや販売元によって異なるため、総額を事前に確認することが大切です。
キャバリアのブリーダーを探す方法
キャバリアのブリーダーを初めて探す場合は、まずブリーダー紹介サイトなどで、住んでいる地域や犬種を指定して候補を探す方法があります。
気になるブリーダーが見つかったら、犬舎の所在地や飼育環境、これまでの繁殖実績、購入者からの評価などを確認して候補を絞りましょう。
そのうえで犬舎を見学し、子犬だけでなく親犬の様子や飼育環境、衛生状態なども確認します。
キャバリアは心臓疾患などに注意したい犬種のため、親犬がどのような健康検査を受けているか、検査結果について説明してもらえるかも重要な確認ポイントです。
また、子犬の健康状態や性格だけでなく、食事内容、ワクチン接種歴、マイクロチップ、引き渡し後の相談対応などについても聞いておくと安心です。
質問に丁寧に答え、犬種の良い面だけでなく飼育上の注意点も説明してくれるブリーダーかどうかを確認しながら選びましょう。
キャバリアの飼い方
キャバリアを飼う際は、毎日の運動に加えて、ひとりで落ち着いて過ごせる環境づくりや、被毛・耳・歯などのこまめなお手入れが大切です。
室内ではフローリングで滑らないようにマットを敷き、ソファなど高い場所から頻繁に飛び降りないよう生活環境を整えておくと安心です。
また、暑い時期はエアコンを活用し、室温や湿度をその日の気候や体調に合わせて調整しましょう。
食事は年齢や体格、活動量に合った量を与え、おやつを含めて食べすぎにならないよう管理します。定期的に体重や体型を確認し、適正な状態を維持することも大切です。
キャバリアの運動量
健康な成犬では、1回20〜30分程度の散歩を1日2回行うことをひとつの目安にするとよいでしょう。ただし、必要な運動量は年齢や体格、体調によって異なるため、その日の様子を見ながら調整します。
散歩では歩くだけでなく、周囲のにおいを嗅がせたり、無理のない範囲で遊びを取り入れたりすると気分転換になります。暑い季節は早朝や日が暮れてからなど、比較的涼しい時間帯を選びましょう。
キャバリアのしつけ方
しつけは子犬の頃から始め、できたことを褒めながら少しずつルールを覚えさせていきます。トイレや呼び戻し、リードをつけて落ち着いて歩く練習など、日常生活で必要になることから教えていきましょう。
留守番にも短時間から少しずつ慣らし、ひとりでも落ち着いて過ごせるようにします。
吠えたときは一律に無視するのではなく、警戒や要求、興奮など原因を確認し、要求吠えの場合は吠えるたびに要求をかなえないことが大切です。
キャバリアのケア方法
耳や胸元、脚、しっぽなどの飾り毛はもつれやすいため、ブラシやコームを使ってこまめに整えます。特に耳の後ろや脇の下など、毛玉ができやすい部分は丁寧に確認しましょう。
垂れ耳は蒸れや汚れに気づきにくいため、定期的に耳の中を確認します。赤みや強いにおい、耳垢の増加などが見られる場合は、自己判断で耳掃除を繰り返さず動物病院へ相談してください。
そのほか、歯磨きや爪切り、足裏の毛のお手入れも必要です。シャンプーは被毛や皮膚の状態、生活環境に合わせて行い、全身を短く刈る必要はありません。
キャバリアの寿命と病気
キャバリアの寿命は、12〜15歳ほどがひとつの目安です。寿命には個体差があり、遺伝的な体質や生活環境、日々の健康管理などによっても変わります。
長く健康に暮らすためには、日頃から体調の変化を観察し、定期的に健康診断を受けることが大切です。特にキャバリアは心臓や目、神経系などの病気に注意したい犬種として知られています。
キャバリアのかかりやすい病気
キャバリアで注意したい病気には、僧帽弁閉鎖不全症をはじめ、キアリ様奇形・脊髄空洞症、乾性角結膜炎、白内障などがあります。
症状が目立たないまま進行する病気もあるため、普段と違う様子が見られたときは早めに動物病院へ相談しましょう。
僧帽弁閉鎖不全症
心臓の僧帽弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流する病気です。
キャバリアは発症しやすい犬種として知られており、進行すると咳や呼吸の速さ、運動を嫌がるなどの症状が見られることがあります。定期的な聴診などで状態を確認し、病期に応じて経過観察や投薬を行います。
キアリ様奇形・脊髄空洞症
頭蓋骨と脳の形状や大きさの不釣り合いなどによって脳脊髄液の流れに異常が生じ、脊髄内に空洞が形成されることがある神経疾患です。
首や肩を痛がる、皮膚に触れず繰り返し掻くような動作をするなどの症状が見られ、必要に応じてMRI検査などで診断します。
乾性角結膜炎(ドライアイ)
涙の量が不足したり、涙の質が低下したりすることで、角膜や結膜が乾燥して炎症を起こす病気です。
目の充血や粘り気のある目ヤニ、目を細めるなどの症状が見られ、点眼薬などによる継続的な治療が必要になることがあります。
白内障
目の水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。物にぶつかる、段差を怖がる、目が白っぽく見えるなどの変化が現れることがあります。白内障そのものの進行を確実に抑えることが証明された点眼治療はなく、視力回復を目指す場合は状態に応じて手術が検討されます。
外耳炎
耳の中に炎症が起こる病気で、垂れ耳のキャバリアでは耳の異変にも注意が必要です。耳を頻繁に掻く、頭を振る、耳垢が増える、においが強くなるなどの症状が見られます。原因を確認したうえで、洗浄や薬による治療を行います。
膝蓋骨脱臼
膝のお皿にあたる膝蓋骨が正常な位置から外れる病気です。
歩いている途中で後ろ足を上げる、足をかばうなどの症状が見られることがあります。症状や重症度によって、体重管理や運動の調整、外科手術などが検討されます。
歯周病
歯垢や歯石の蓄積によって歯肉などに炎症が起こる病気です。
口臭や歯茎の赤み、出血、食べにくそうな様子などが見られます。毎日の歯磨きを基本とし、必要に応じて動物病院で歯科検診や治療を受けましょう。
まとめ
キャバリアは、イギリス原産の小型犬で、穏やかで人との触れ合いを好む気質と、長い垂れ耳や豊かな飾り毛を持つ優雅な姿が魅力です。
成犬の体重は5.4〜8.0kgほどで、毛色にはブレンハイム、トライカラー、ブラック&タン、ルビーの4種類があります。
迎える際は、毎日の散歩や被毛・耳・歯のお手入れに加え、ひとりで落ち着いて過ごせるよう少しずつ留守番に慣らすことも大切です。
また、僧帽弁閉鎖不全症やキアリ様奇形・脊髄空洞症、目の病気などに注意が必要なため、日頃から体調を観察し、定期的な健康診断を受けましょう。
子犬を探す際は価格だけで判断せず、親犬の健康検査や飼育環境について丁寧に説明してくれるブリーダーを選び、必要な運動やお手入れ、健康管理を継続できるかを考えたうえで迎えることが大切です。



