犬を死に至らす可能性を持つ寄生虫
近年、犬の医療が発達していることや、予防薬が入手しやすくなったことで、犬が寄生虫によって亡くなってしまうリスクは減少傾向にあります。
しかし、だからといって、年間件数が0ではありません。ペットを取り扱う保険会社の調べによると、健康な成犬は0%であるものの、シニア犬は全体の死亡原因の0.3%、子犬期に関しては2.8%を占めています。
この結果を見てもわかるとおり、犬が感染する寄生虫によっては、犬に死をもたらす恐ろしい寄生虫も存在するのです。
犬が亡くなる可能性もある危険な寄生虫3選
犬にとって、危険な寄生虫たち。その中でも、犬が亡くなる可能性もある危険な寄生虫をご紹介します。それぞれどのような寄生虫なのか、また感染してしまった際の症状、適切な対処法についても解説していきます。
1.フィラリア
犬に寄生する寄生虫の中でも、最も有名な寄生虫といえば、フィラリアではないでしょうか。現在では、定期的に販売されているフィラリア症予防薬を投与することで、大半は予防することができます。
しかし、フィラリア予防薬を投与していない犬の場合、蚊を媒介して心臓にフィラリアが寄生してしまうことがあります。フィラリアに寄生されると、食欲不振や息が荒くなるなどの症状が見られ、最悪の場合、死に至る危険性もあります。
フィラリアが寄生していると診断された場合、予防薬を投与しながら寄生したフィラリアの寿命を待つ方法と、注射でフィラリアを死滅させたり、手術を行い心臓から取り出す方法のいずれかを選択することがほとんどです。
後者2つは危険を伴うことがありますので、最初の寿命を待つ方法をとることが多いでしょう。いずれの方法をとるのかは担当医としっかり相談してください。
2.回虫
一般的に『おなかの虫』と呼ばれることの多い回虫は、基本的に母子感染や他の犬の糞から感染することが多いです。意外と回虫が寄生している犬は珍しくなく、寄生していても症状が現れないケースも多いです。
しかし、子犬期の犬が感染してしまった場合は、おなかが膨れたり、下痢、腹痛、食欲不振などの症状を引き起こしたりします。また、子犬は免疫力も低いため、症状が早期に悪化してしまうケースも多く、最悪の場合、命にかかわる危険性もあります。
回虫症に感染した場合は、一般的に抗線虫薬を投与することで駆虫します。大半は一度投与することで駆虫が完了するため、治療法は比較的簡単です。子犬が腹痛や下痢といった症状を見せたら、まずは病院に相談し、検査してもらいましょう。
3.犬鞭虫
犬鞭虫は、大きさが6cm前後もある消化管内に寄生するタイプの寄生虫です。主に、自然の多い地域で寄生されることが多く、犬鞭虫が生息している土壌などに触れることで、感染してしまう恐れがあります。
犬鞭虫に感染すると、下痢や血便といった症状が見られるようになります。症状が悪化してしまった場合、脱水症状が貧血、低タンパク血症などの症状が見られるようになり、最悪の場合、死に至る危険性があります。
下痢が続くなどの症状があれば、動物病院で糞便検査をしてもらいましょう。便を持参すると診断率が上がります。軽症であれば駆虫薬で駆虫します。一度では駆虫することが難しいため、一般的に数か月にわたって駆虫治療が行われます。
犬の持つ寄生虫は人へ感染することも
今回は『フィラリア』『回虫』『犬鞭虫』の3つの寄生虫を解説しました。しかし、犬が感染する可能性のある寄生虫は、他にもいます。また、恐ろしいことに、犬から人へと寄生虫が感染してしまうケースもあります。
寄生虫の種類にもよりますが、犬から人へと感染した場合、重症化するケースが多く、後遺症をもたらしたり、死に至るケースも多数報告されています。特に、病気を患っている人、乳幼児、高齢者などは免疫力が低下しているため、重症化率、死亡率が高いです。
犬と一緒に同居している場合は、触れ合った後に手を洗ったり、愛犬とキスすることを避けたりするなど、寄生虫が感染してしまうリスクを少しでも回避できるよう心掛けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。現在では、寄生虫による犬の死亡率は低くなっていますが、それでも今なお、死亡するケースが報告されています。また、犬から人へと感染してしまうと、人が死亡するケースも多数報告されているので、日頃から予防薬を投与し、愛犬の様子を注意深く観察しましょう。