愛犬にとってどっちがいい?「往診」と「通院」の違い3つ

愛犬にとってどっちがいい?「往診」と「通院」の違い3つ

ここ10年で、東京都内では、往診専門の獣医さんが増えている…ということをご存知でしょうか?いろいろな事情で愛犬を動物病院に連れて行けない時、獣医さんが往診してくれるのは、とても心強く、ありがたいことです。今回は、獣医さんに往診してもらうことと、動物病院に通院することの違いを比較してみたいと思います!

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

往診を依頼するケース3例

ソファーで眠るゴールデンリトリバーの老犬

愛犬が大型犬のため

荷物も含めての重量が10㎏を超えると、路線バス、電車などの公共交通機関を使うことは難しくなります。
ですから、大型犬を動物病院に連れて行くには、車か徒歩しか運搬手段がありません。
たとえ車があったとしても、愛犬の体があまりにも大きすぎて、車に乗せることが困難な場合もあります。
また、シニア期の大型犬の半数には、慢性疾患があると言われていて、病状が進行し、寝たきりになったり、歩くことが困難になったりして、今までは徒歩で通院できていた病院にも、通うことができなくなり、往診を依頼する…というケースです。

終末医療を受けるため

病気や老齢のために衰弱し、回復の見込みもなく、動けなくなっているにも関わらず、少しでも病状を改善するために頻繁に通院しなければならない…。
そんなときは、飼い主さんも患畜となった愛犬にも大きな負担がかかります。
その負担を軽減し、終末医療を受けるために獣医さんの往診を依頼する…というケースです。

飼い主さんが家を空けられないため

一緒に眠る赤ちゃんとお母さん

飼い主さんのおうちに、目が離せないほどの小さな赤ちゃんがいたり、あるいは逆に介護が必要なお年寄りがいたりして、飼い主さんが一時も家を空けることができないというケースです。

往診のメリット4つ

犬を抱いて獣医師の説明を聞く飼い主

生活環境を含めて、診察を受けられる

ふだん、愛犬が生活している環境を、獣医さんに診てもらうことができます。
例えば、ヘルニアや関節炎などの慢性疾患があるなら、愛犬の体にかかる負担を軽減できるような床材や、段差の解消などのアドバイスをもらえることもあります。

ストレスがない

動物病院への移動、待ち時間、他の動物の気配などが、病気で弱っている愛犬にとっては非常なストレスになります。
往診してもらえれば、そういったストレスに晒されることがありません。

飼い主側に動物病院に連れて行けない事情があっても、治療を受けられる

大型犬は、電車、バスなどに乗せることができません。
それなのに車がない、あるいは重たくて車に乗せられない…など。
飼い主さん側の事情で動物病院に連れて行けなくても、往診してもらえれば治療を受けることが出来ます。

診察時間が長く、獣医さんとのコミュニケーションがとりやすい

往診時間を予約しているため、決められた時間内にしっかりと獣医さんと話をすることができます。

往診のデメリット4つ

考え込む男性医師

全身麻酔を使った治療ができない

麻酔とは、薬物によって人為的に痛みなどの感覚をなくしたり、意識をなくしたり、動かなくさせることを言います。
動物は、人間と違って治療中にじっとしておくことが難しいため、人間よりもずっと麻酔を使用して治療を行うことが多くなります。
麻酔を使う場合には、最悪の場合、死亡してしまうこともあるほど、高いリスクが伴います。
もし、往診の際に麻酔を使って治療をした際、容体が急変したときに、獣医さんが持ってきた医療器具だけでは対処できません。それに、麻酔は全身状態を変化させるのでしっかりしたモニターを行う必要があります。なのでそういった機械の問題などもあります。

外科的な手術ができない

全身麻酔ができないということは、外科的な治療ができないということです。

レントゲンなど精密機器を使った検査が出来ない

往診専門の獣医さんの車には、簡易の医療器具が積まれています。
ですが、やはり動物病院の設備には適いません。

往診料がかかる

通常の診察料に加えて、往診料が発生します。
もし、獣医さんの車がおうちの近くの時間貸しの駐車場を利用していたなら、その分の費用も加算されます。
もし、保険に加入していたのなら、診察代、治療代に関しては保険が適用されますが、「往診料」に関しては、保険適応外になります。

通院のメリット5つ

動物病院の診療室

外に出ることが刺激になる

ペットの飼育環境の改善、獣医学の進歩によって、飼い犬や飼い猫の寿命は飛躍的に伸びました。
高齢になった分、10~11歳を過ぎると、徐々に人間同様にボケ、認知症、痴ほうと言った症状が現れるようになる場合もあります。
認知症を発症していても、していなくても、シニア期の犬にとっては、外に出て家族以外の人や動物に会うこと、外の風景を見ることはとても良い刺激になります。

より正確な治療を受けられる

自宅での診察、治療では、どんなに獣医さんの知識や技術が高くても、医療機器や薬剤などは、獣医さんが持参したものでしか対処できません。
やはり、通院して受診する方が高い水準の医療を受けられます。

検査結果がすぐにわかる

血液検査や尿検査をしたとき、検査結果がすぐにわかります。

総合的な治療を受けられる

複数の専門の獣医さんが在籍している動物病院なら、皮膚科、内科、眼科、外科、循環器科など、それぞれ得意分野、専門分野の先生に診察してもらうことができます。
また薬剤に関しても、普段のお薬の他に漢方薬や東洋医学に詳しい先生がいればさらに治療の選択肢が広がります。

通院のデメリット

混んでいる動物病院の待合室

往診治療のメリットは、そのまま通院治療のデメリットでもある。

混んでいて、待ち時間が掛かる、先生や獣看護師さんとゆっくり話がしにくい…など、通院治療のデメリットは、往診治療のメリットの裏返しとも言えます。

まとめ

人の手の上に置かれた人の手

往診治療も通院治療もそれぞれにメリット、デメリットがあります。
どちらがいいかは、飼い主さんや愛犬の事情、状態によって違いますし、どちらが良いと決めつけることではありません。
大事なのは、愛犬のために最善の選択をすることだと思います。

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