犬のバリウム検査とはどんな検査なのか
皆さんはバリウム検査をしたことはありますか?
人のバリウム検査といえば、造影剤(バリウム)と発泡剤を飲んで、いろいろな角度からレントゲンを何枚も撮影する検査を思い浮かべます。あまり楽しい検査ではないですよね。では、犬の場合はどうでしょうか。
「バリウム検査」とは、消化管の造影検査のことをいいます。「バリウム」はX線の透過性が低い造影剤で、レントゲンを撮ると白く写ります。バリウムが食道・胃・腸管と流れていく様子をレントゲンで撮影することで、消化管の形状・運動状態や内容物の流れなどを確認することができます。
犬のバリウム検査の場合、発泡剤を用いたり、いろいろな角度をつけて撮影をしたり……ということはまずありません。犬の場合は、バリウムを飲み、確認したい部位までバリウムが流れてくるまでをレントゲンで撮影します。例えば、何らかの原因で腸管が塞がってしまった場合は、バリウムの流れが滞る様子が確認される、といった具合です。
食道の撮影ではバリウムを飲んですぐに撮影を行いますし、腸管の流れを確認したい場合には最後の撮影がバリウムを飲んでから、6時間後になることもあります。
犬のバリウム検査の方法
ここでは、一般的な犬のバリウム検査の方法をご説明します。バリウム検査が決まったら、前日晩から絶食をして検査に備えます。
当日、まず初めにバリウムを飲む前にレントゲンを撮影します。その後、バリウムを飲んでもらいます。ですが、犬用に味付けされたバリウムがあるわけではないので、バリウムをすすんで飲んでくれる犬はほとんどいません。犬が自分からバリウムを飲めないときには、シリンジやチューブを使って飲ませる場合や、検査に支障がない程度に味付けしたり、食べさせても大丈夫であれば少量のご飯に混ぜてあたえたりすることで、自分から飲んでもらう場合などがあります。
バリウムが飲めたら、いよいよレントゲン撮影です。レントゲン撮影は、バリウムが消化管の中を流れきるまで撮影を続けます。取りたい場所によって時間は変わりますが、「直後→5分後→15分後→30分後→60分後→」と続き、その後は1時間ごとに撮影します。
獣医師は、これらのレントゲンの画像やその他の検査結果から、その後の治療を検討します。
犬のバリウム検査で分かること
犬にバリウム検査を行うことで分かる異常・病気には、どのようなものがあるのかを見てみましょう。
犬の誤食
犬が誤食してしまったかもしれない場合、バリウム検査で異物の有無や、異物の場所を判断します。胃腸の内容物の流れを見ることで、閉塞や流れが滞っている箇所が分かります。異物にバリウムが付着すれば、異物自体をレントゲンで確認できることもあります。誤食が確実なときには、バリウム検査を行わずに、催吐処置や内視鏡・手術を行うこともあります。
消化管の通過障害
バリウムが消化管内を流れる様子を観察することで、消化管の形状や流れを妨げるものの有無を確認できます。
- 食道狭窄
- 巨大食道症
- 幽門狭窄
- 腸閉塞
- 腫瘍
など、バリウム検査はこれらの病気を疑う際も行われます。
消化管粘膜の異常
胃壁や腸壁についたバリウムから、消化管粘膜の状態が分かることもあります。
- 胃潰瘍
- 胃炎
- 腸炎 など
まとめ
犬のバリウム検査は、人の健康診断で行われるものとは少し異なります。消化管の検査には、超音波検査や内視鏡検査を用いる場合もありますが、バリウム検査は他の検査で分かりづらい消化管全体の形状や流れを確認できる検査です。
愛犬がバリウム検査を受けたときは、担当獣医師とよく相談して、分からない部分は遠慮なく質問してみましょう。