犬の「尿検査」で分かる事とは?

犬の「尿検査」で分かる事とは?

愛犬のオシッコの量が極端に少ない、色が濃い、ニオイがきついなど、愛犬のオシッコに異常が見られた時や、愛犬がなんとなく元気がない…と言った時、獣医さんに診て貰うと思います。でも、尿検査の結果の見方や、何を調べているのか、詳しくご存知でしょうか?今回は、尿検査ではどんなことを調べていて、何が分かるのかを出来るだけ簡単にご紹介したいと思います!

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬の異常なオシッコの状態とは?

獣医さんに診察される犬

普段、愛犬の排尿、排便の世話をしている飼い主さんだけが愛犬の異常なオシッコに気づくことが出来ます。以下のようなオシッコの状態の時は、出来るだけ早く獣医さんを受診しましょう。

量が多い

異常に水を欲しがり、オシッコの量も多く、何度もトイレに行きたがり、普段は全くしないのに、おねしょなどの症状が出る時。

色が濃い

普段のオシッコの色よりも、オレンジっぽく、量が少ない時。

血尿

量が極端に少ない

排尿するしぐさを何度もするのにオシッコが出ていない時。

オシッコをする時に鳴き声を上げる

普段は声を出さないのに、オシッコをする際、鳴き声を上げる時。

獣医さんは、どんな時に尿検査をする?

ːフレンチブルドックと眼鏡をかけたチワワ

毎日、愛犬の健康状態に気を配り、排泄物の様子をよく観察していても、ほとんどの飼い主さんは、医学的な専門知識については素人です。尿検査が必要かどうかの判断は、獣医さんの判断によって行われますが、では、どんな時に尿検査を実施するのでしょうか?

健康診断

特に病気だったり、体調が悪いワケではなく、ワクチン接種の際や、普段の健康維持のために定期的に健康診断を受けている場合、尿検査を実施する動物病院もあります。

おしっこに異常があるとき

血尿や排尿姿勢があっても全然でないときなど、膀胱炎や結晶が疑われる時に尿検査を行います。

腎臓病や糖尿病などの病気が疑われる時

オシッコが多いと、糖尿病や慢性腎臓病、内分泌疾患などの疑いがあります。

一般性状検査

頭に氷嚢を乗せている犬

人間の視覚や嗅覚などを用いる検査で、官能検査、官能試験とも呼ばれている検査です。

尿の色調

外でオシッコをさせていても、お家の中のトイレトレイでオシッコをしていても、飼い主さんなら、愛犬が元気な時のオシッコの色を知っているはずです。
健康で体になんの異常もなければ、尿は黄色味がかった色をしていると思います。まず、尿検査では、視覚によって色が無色か、褐色がかっていないか、赤味がかっていないか、白く濁っていないかなどを調べます。
この時点で、もし、尿が白く濁っていたら、結石や脂肪、細菌などなにか異常な成分が尿に含まれている可能性があります。

尿量

オシッコの量は、食べ物、環境の温度や湿度、飲んだ水の量、年齢や利尿剤を飲んでいる、などの条件で変化します。
例えば、スイカやキュウリなど利尿採用のある食べ物を食べたり、お水をがぶ飲みしたりすれば尿が増えますし、逆に暑いとオシッコの量が少なく、色も濃くなります。
そういった事情が全くなく、病的にオシッコの量が減る場合はなんらかの事情で脱水していたり、腎臓がうまく動いていない、おしっこの通り道になにか物理的な障害物があったりする可能性などもあります。
さらに、オシッコが全く出ていないと末期の腎疾患や尿管、尿道がなんらかの原因で詰まっている可能性もあります。
そんな状態のまま、何も処置しなければ、尿毒症となり、命を落としてしまうこともあります。

尿比重

尿比重とは、オシッコの濃度を示す数値です。色が薄いオシッコをしていれば比重は低下し、逆に色が濃いオシッコをしていれば比重は高くなってきます。大体、一般的に1.020~1.040が犬の正常値とされています。が、>1.040でも正常のこともありますし、結晶などが原因であれば場合によっては濃すぎると判断される場合もあります。逆もしかりで1.020でも正常のこともあれば、場合によっては低いと判断されることもあります。

尿化学的性状検査

試験紙検査

さまざまな試験紙を用いて、判断時間を計測し、比色表で比色判定を行う検査です。

pH(ペーハー)

ペットとして飼われている犬や猫のオシッコは、食べるものによって酸性から弱アルカリ性を示します。ですが、体内にあるオシッコの中で細菌が増殖していると、アンモニアが発生し、オシッコがアルカリ性を示すことがあります。

タンパク

オシッコは、腎臓というフィルター構造で血液をろ過して作られます。タンパクがオシッコに混ざっている、ということは、腎臓になんらかの異常があると考えられます。また炎症や精子、細胞成分などがあっても上がってきます。
また、尿蛋白の検査は、尿検査紙を用いる方法と、検査センターにおいて尿蛋白濃度の定量を行う方法があります。

ブドウ糖

通常、オシッコの中に糖が出ることはありません。高血糖か、腎機能に異常が見られたり、ストレスなどがあると、オシッコの中に糖が検出されます。

ケトン体

ケトン体とは、体内の脂肪が分解されて出来る物質で、オシッコの中に排出されます。健康であればケトン体がつくられることはないので、オシッコを調べても「陰性」になります。
糖尿病、飢餓、絶食、など栄養状態が悪いこと等が原因で、「陽性」となります。
ケトン体が含まれているオシッコを「ケトン尿」と言い、この「ケトン尿」が出る、という事は、エネルギー源として脂肪酸を過剰に消費している異常な状態を示しています。

尿潜血

尿潜血には、血尿とヘモグロビン尿の二種類があります。血尿は、泌尿器系や生殖器系のどこかで出血していることを示します。他にも、薬や医療行為が原因で出血してしまう場合もあります。ヘモグロビン尿は、血管内で赤血球が破壊されることを示しています。

ビリルビン

シーツにくるまっている犬

血液中の赤血球は、全身に酸素を運ぶ役割を果たしています。この赤血球が古くなって役目が終わり、破壊された際に出来る成分がビルビリンです。ビルビリンは、肝臓に運ばれ、胆汁と混ざって消化管の中に排出されます。
血液中のビリルビン濃度が高くなると、黄疸と言って、白目などが黄色くなる症状が見られますが、その時、オシッコにもビリルビンが排出されています。

尿沈渣

顕微鏡で検査している人

オシッコを遠心分離し、上澄みの液体を捨て、沈殿物を顕微鏡などで検査する方法です。

細胞成分

細胞成分を検査し、白血球、赤血球、上皮細胞などからそれぞれの原因を突き止めます。

結晶

結晶は、結石の原因となって、泌尿器系に炎症を起こす可能性があります。リン酸アンモニムマグネシウム結晶(ストラバイト結晶)、シュウ酸カルシウム結晶が犬には多い結晶成分です。
    

尿円柱

腎臓の中の尿細管という器官で、たんぱく質などの細胞成分が固まってできたものが尿円柱です。尿円柱が尿検査で発見された場合は、腎疾患の疑いがあります。

微生物

尿中に見られる微生物には、細菌や真菌、まれに寄生虫などがあります。

尿の採り方

トイレに前足をかける犬

犬の採尿は、人間のように自分で採尿できないので、やり方を知らないと上手に採取できません。まず、キレイに洗浄したトレイやコップを用意しておきます。
愛犬がオシッコをし始めたら、数秒オシッコを出した後、用意していた容器で受けます。
尿は、室温に置いておくと成分が変化してしまうので、採尿後はなるべく早く検査に出すようにしましょう。
もしすぐに持っていけないようでしたら、冷蔵庫で保管しましょう。 また、病院さんによっては、尿検査専用の採尿棒を準備されてるところもあるので聞いてみてください。

まとめ

検査を受ける犬

尿検査の結果が出たら、動物看護士さんか、かかりつけの先生が詳しく説明してくれると思います。それでも、なにかわからないことがあれば、躊躇せずに理解できるまで獣医さんか、動物看護士さんに教えてもらいましょう。人間なら、不快感や痛みを言葉で伝えることが出来ますが、動物は言葉を話せないのですから、体の中の状況を知るためには、正確な検査結果を把握することが大切です。また、何か異常があればすぐに気付けるように、普段から愛犬のオシッコの量、ニオイ、色などにも気を配りましょう。

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