動物病院で行われる「皮下点滴」ってどんな点滴なの?

動物病院で行われる「皮下点滴」ってどんな点滴なの?

「皮下点滴」は軽度の脱水などの際に行われる処置で、短時間で処置が終了するため、動物病院ではよく行われています。皮下点滴はどんな点滴なのか、どんな時に行うのかといった情報をまとめました。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬の皮下点滴とはどのような点滴なのか

獣医師の診察を受ける犬

あなたの愛犬は動物病院で、皮下点滴(皮下補液)をしたことはありますか?

動物病院で背中に点滴をして、ラクダのコブのようなものを作ってきたことはありませんか?それが皮下点滴です。この皮下点滴とは、どういった点滴なのかを確認しましょう。

「皮下」とは、皮膚とその下の筋肉との間の、空間のことをいいます。犬の皮下は人間の皮下と比べて、ゆとりがあります。自身の皮膚と愛犬の皮膚を触り比べてみると、ゆとりがあるのがよく分かると思います。

犬の皮下点滴では、このゆとりに一度にまとまった量の補液剤を投与します。投与された補液剤は、ゆっくり時間をかけて吸収され、効果もゆっくり表れます。

処置に要する時間は10~20分ほどです。皮下点滴で使用できる補液剤は、皮下から吸収できるものに限られるため、水分や電解質の補給のために行われます。

犬の皮下点滴を行うのはどんなときか

ソファーの上で眠そうな老犬

皮下点滴の処置は短時間で済むので、犬を拘束する時間も短く、犬の負担も軽くなります。ですが、どんな場合でも皮下点滴で対応できるわけではありません。

皮下点滴が適している場合

皮下点滴に適しているのは以下のような場合です。

  • 嘔吐、下痢などで軽度の脱水がある場合
  • 慢性腎疾患による脱水の日常ケア

特に慢性腎疾患の日常ケアでは、静脈点滴のような技術や道具を必要としないために、自宅で継続して皮下点滴を行うことが可能になります。

皮下点滴が適さない場合

犬の状態によっては、皮下点滴ではなく静脈点滴等の処置を選択します。例えば、皮下点滴では補液剤の吸収がゆっくり行われるため、重症の場合には適しません。

  • 重度の脱水
  • 皮下から吸収できない薬剤や高カロリー輸液を用いる場合
  • 血圧が低下している場合

犬の皮下点滴後に起こるトラブル

ソファーで眠る2匹の犬

動物病院で皮下点滴を行った後によくみられるトラブルを、ケースごとに見ていきましょう。

皮下点滴によってできたコブを気にする

皮下点滴を行うと、補液剤で皮膚が膨らんでコブのようになります。皮下のゆとりがあまりない犬は、このコブのせいで皮膚が引っ張られるような感覚を気にすることがあります。やせ型の犬や、若くて初めて皮下点滴をした犬によくみられます。

補液剤が吸収されていく内に気にならなくなっていきますが、それには3時間~6時間ほど時間がかかります。蒸しタオルなどを当てて軽くマッサージをしてあげると緩和されますので、試してみてください。

皮下点滴後、お腹や脚が浮腫む

背中から投与した補液剤が重力に引っ張られて、お腹や脚の方へ降りてきてしまうことがあります。皮下点滴の後に、お腹や脚が腫れているように見えた場合は、まず皮下点滴の補液剤を疑います。コブを気にする場合と同様に、蒸しタオルなどを当てて軽くマッサージを行うことで、緩和されます。

皮下点滴後元気がない

これには2つの理由が考えられます。

1つ目は、前述と同様に皮下点滴を行ったことで、点滴部位を気にしている場合です。この場合は、補液剤が吸収されることで解消されるでしょう。

2つ目の理由は、病状が悪化している場合です。動物病院にいって皮下点滴を行っていたとしても、治療が追い付かないほどに体調を崩している可能性が考えられます。

背中から補液剤が漏れてくる

皮下点滴後にコブを強く圧迫してしまったり、犬の皮下のゆとりがあまりなかったりした場合に、点滴の針を刺した箇所から補液剤が漏れ出てしまうことがあります。この場合は、漏れ出ている個所(針を刺した箇所)を探して、その箇所をガーゼや乾綿で数分抑えてあげてください。

まとめ

青空とゴールデンレトリバー

皮下点滴は、軽度の脱水や慢性腎疾患の際の脱水の補正でよく用いられています。

実際に愛犬が皮下点滴を行ったことがある方も多いのではないでしょうか。

愛犬が体調を崩して心配なときに、動物病院で行った処置がどういったものなのか分からないと不安ですよね。

動物病院で実際に皮下点滴を行ったとき、この記事を思い出して愛犬のケアに役立ててください。

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