往診をお願いする前にするべきこと
まず、往診を動物病院に往診をお願いする前に、何を伝えるのかを整理しておきましょう。
かかりつけの病院が往診を行っているかを確認する
予防接種、避妊去勢出術、健康診断など、ふだんからお世話になっているかかりつけの獣医さんがいる病院に問い合わせるか、ホームページなどで往診をしているかどうかの確認をします。
かかりつけの獣医さん以外の先生に往診をお願いする時
出来れば、かかりつけの獣医さんに、他の獣医さんに往診をお願いすることを説明し、可能であれば、カルテのコピーなどを貰っておくと診察の時に役立ちます。
往診してくれる獣医さんが確定したら伝えること
病院から家への道順を伝え、駐車スペースの場所も伝える。
住所、電話番号のほかに、必ず、獣医さんの車を停車できる場所を確保し、その場所も伝えましょう。
病歴、症状、年齢、体重などを伝える
おそらく、往診をお願いした段階で、獣医さんからいくつか質問されると思います。
わかる範囲で、あらかじめ獣医さんの問診に答えましょう。
支払いについて
動物にかかる治療代、診察代、薬代などは思いがけないほど高額になることがあります。
往診の場合は、その場での獣医さんに支払う形になることもあるので、あらかじめ自宅に十分に支払い分の現金を用意しておくか、診療代の支払いにカードが使えるかどうかなも、往診をお願いした時点で確認しておきましょう。
往診でどんな診察が受けられる?
臨床検査
尿検査、糞便検査、病理検査などが可能です。
ただし、その場で検査結果を出せない場合が殆どですので、結果は後日知らせて貰える形になります。
身体検査
- 問診(獣医さんが飼い主さんに話を聞くこと)
- 聴診(聴診器で心臓や肺、腸の動く音などを聞くこと)
- 視診(獣医さんが動物の口や耳の中、目などの粘膜の状態を診ること)、
- 触診(獣医さんが動物の体を触り、痛がる場所やしこりなどの有無を調べること)
かかりつけの獣医さんではなく、初診の往診専門の獣医さんだとおそらく、最も「触診」に時間をかけるのではないでしょうか。
往診専門の獣医さんは、従来の獣医さんのもとで長く勤務し、経験豊富な経験な先生が多いようです。
リハビリケア
術後のリハビリや、ヘルニアなどで歩けなくなった…といった時、リハビリや日々のマッサージの仕方を教えてくれたり、最新の介護、看護の方法を聞き、実際に飼い主さんが実行できるように指導、アドバイスして貰えます。
緊急で検査が必要な時は、搬送してくれることも。
往診ののち、緊急で検査などが必要な時は、検査機材のある動物病院まで搬送してくれる場合もあります。
往診のメリット4つ
1.交通手段がない時、飼い主さんが動物病院に連れて行けない時でも診察を受けられる
往診が必要な一番の理由は、「動物病院に行けないから」です。
車がない、あるいは飼い主さんが高齢だったり、病気やケガなどの原因で、動物と一緒に公共交通機関に乗ることも出来ない…と言うとき、獣医さんの往診をお願いできれば、飼い主さんの心身の負担がとても軽減されます。
2.入院中、他の動物と接触するストレスがない
経過観察が必要な場合は、どうしても獣医さんの管理の下での入院が必要になりますが、やはり、自宅以外の場所で、しかも他の動物の鳴き声やうなり声、悲鳴などが聞こえる環境は、動物にとっては大きなストレスになります。
往診なら、一番安心できる飼い主さんの側で、他の動物の気配に怯えることもなく、落ち着いて療養出来ます。
3.愛犬が乗り物を酔いをするのを回避できる
車に乗ると、吐いてしまう、具合が悪くなる…と言った、乗り物に乗って移動すると酔ってしまう体質の動物でも、往診してもらえれば、乗り物酔いが回避できます。
もともと体が弱っている高齢の犬なら、乗り物酔いをするとますます体調を崩しかねないので、往診してもらえれば、動物の体にかかる負担が軽くなります。
4.待ち時間や移動による負担がない
腕が良く、評判の良い獣医さんだと待ち時間が非常に長い場合があります。
その待ち時間が、病気やケガ、高齢で体が弱っている動物にとっては大きな負担になります。
けれど、往診してもらえるなら、お家で診察や治療が受けられるので、飼い主さんや動物への負担やストレスが軽くなります。
往診のデメリット4つ
1.動物病院と同質の治療が受けられないことがある
動物病院には、検査機材以外にもさまざまな治療に使える機材がありますが、往診ではそれらの機材を全て持ち運ぶことは出来ません。
したがって、動物病院で受けられる同じ内容の治療や検査が出来ない場合があります。
2.通院より費用が必要な場合がある
獣医さんは、人間の医者と違って、診察などの報酬に関して、法的な制限がない「自由診療」です。往診の場合は、通常の診察代、お薬代、処置代に加えて、「往診代」や初めての診察なら「初診代」、再診なら「再診代」と言った費用が
かかります。また、夜間診療も受けてくれる獣医さんもいるので、往診代の他に、夜間診察代が別途必要となることもあります。
電話で往診をお願いしたり、ネットから往診をお願いする際に、あらかじめ概算を問い合わせておくことも出来ます。
3.動物が抵抗する
動物病院は、動物にとって自分のテリトリーではありません。
けれど、飼い犬や飼い猫にとっては、自宅は自分のテリトリーであり、診察のために来てくれた獣医さんや獣看護師さんは自分のテリトリーに入ってきた侵入者です。
普段は、動物病院でおとなしく診察を受けていても、自宅では全く違う態度をとり、獣医さんに抵抗し、暴れまわり、動物病院で診察を受けるよりもずっと手こずる場合があるそうです。
4.日時の都合が合わない
往診専門の獣医さんにしろ、動物病院で診察をしている獣医さんにしろ、どんなに診察の予約を入れていても、命に関わるような重篤な患畜(人間で言うと、患者さん)が来たら、重篤な方を優先し、予約の時間がズレてしまう、ということもあるでしょう。
また、出来るだけ早く治療を受けたいのに、飼い主さんと往診先の獣医さんのスケジュールが合わない…ということも考えられます。
往診してもらうときの準備
診療スペースを確保しておく
往診に来られた獣医さんと、動物を押さえて獣医さんの診察を手助けする人が並んで動けるくらいのスペースは必ず必要です。
あと、そのスペースの側に獣医さんの診察カバンが置ける場所も確保しておきましょう。
作業しやすい環境を整える
あまりにも暗い場所だと、獣医さんが正しい診察が出来ないことがあります。
動物の口の中の色、毛並みが良く見えて、獣医さんの手元もしっかりと見えるほどの明るい場所で診察してもらえるように、作業しやすい環境を整えておきましょう。
また、多頭飼い、多種飼いなどで、往診をお願いした患畜以外の動物がいるなら、診察の邪魔にならないように隔離しておくほうが良いでしょう。
駐車スペースを確保しておく
往診に来た獣医さんが違法駐車にならないように、必ず駐車スペースは確保し、その場所をきちんと獣医さんに伝えておきましょう。
患畜をケージ、サークルなどに入れておく
往診をお願いしたけれど、患畜が家の中を自由に動き回れるような状態の時、いざ、診察を始めようとすると逃げ回って捕まらない、あるいは、暴れて手に負えない、ということも起こりえます。
獣医さんが到着する前に、すぐに診察してもらえるよう、患畜となる愛犬をケージかサークルに入れておくか、リードで繋いでおきます。
出来るだけ清潔にしておく
例え、ひどい下痢や嘔吐をして、ひどく被毛が汚れてしまっていたとしても、獣医さんに触診して貰うときの妨げになりかねないので、出来るだけ患畜の体は清潔にしておきましょう。
まとめ
今回、この記事を執筆するにあたり、動物病院の往診ついて様々な角度で調査した結果、最近、往診専門や夜間診療専門としてお仕事される獣医さんが増えているようです。
動物病院での経験を積み、飼い主さんのニーズや気持ちを考えたうえでそのような経営方法を選んだ先生が多いように見受けられました。交通手段がない、というだけでなく、
往診してくれる先生をかかりつけの獣医さんとして頼りにするのも良いかもしれません。愛犬が車に酔うといった時や、愛犬がシニア期に差し掛かってきた飼い主さんは、今回ご紹介した注意点や準備項目などを参考にして頂き、一度、往診をお願いしてみてはいかがでしょうか?