マドリードの警察犬施設のリフォーム
犬のいる環境に音楽を流すことで、さまざまな効果や影響があることは過去にも多くの研究がなされています。中でもモーツァルトの音楽は犬を始めとする多くの動物の心を落ち着かせリラックス効果があることでよく知られています。
スペインの首都マドリードの警察犬の犬舎が新しくリフォームされるにあたって、犬たちのためのミュージックセラピーの設備が導入され話題になっています。
警察犬のストレスを和らげるための音響設備
リフォームされた犬舎の住民たちはマドリード警察のために働く22匹の警察犬です。彼らの任務は爆発物や麻薬の探知、さまざまな救助活動への参加などです。
この種の仕事はいつでも出動できるように準備をしておかねばならず、一旦任務に就くと高い集中力が求められるというストレスレベルの高いものです。
マドリードの市議会はこの重要な任務を負う警察犬たちのストレスを少なくし、万全の状態で待機できるようにと犬舎のリフォームを決定しました。
最新の空調設備に加えて、犬たちのストレスに対応するためにミュージックセラピー用の特殊な音響設備が設置されました。
警察犬のミュージックセラピーに選ばれた音楽
警察犬の施設にミュージックセラピーを取り入れるに当たって参考にされたのは、2012年に発表されたコロラド州立大学の研究者による論文でした。
この研究は犬の保護施設でさまざまな種類の音楽を流して、犬たちが一番リラックスした様子を見せ、吠え行動が減少したのがクラシック音楽だったというものです。
警察犬たちは犬舎にいる時はストレスが緩和された状態でリラックスしているのが理想なのですが、同時にいつでも出動して任務を開始する状態であることも求められます。
その「リラックスしながら脳に刺激も与える」という複雑な役目に理想的なのがモーツァルトの音楽なのだそうです。
音楽は1日に複数回、適切なボリュームで犬舎に流れるよう設計されています。
犬と音楽、その好みの傾向は?
犬のための音楽は多くの研究が発表されていますが、やはりクラシック音楽に対する評価の高さは一致しています。おもしろいところでは「レゲエ」が犬に好まれたという報告もあります。また音楽ではなく、本の朗読の「オーディオブック」が犬を落ち着かせたという報告もあります。
これら犬に好まれる音に共通するのは、激しいリズムが無く、一定のテンポで安定した音が連続するというところです。
つまり犬に歓迎されない音楽は、リズムやビートが激しく、テンポやスピードがしょっちゅう変化するものということです。ロックやポップスのアルバムやラジオが当てはまります。
私たち一般の飼い主と家庭犬にも大いに参考になる「犬のための音楽」ドライブやお留守番の時に上手に取り入れたいですね。
まとめ
人間のために危険な任務に就いて働いてくれる警察犬たち、彼らの負担が音楽によって軽くなり、パフォーマンスが向上するならば素晴らしいことですね。働く犬の環境を整える行政の姿勢にも拍手を送りたい気持ちになります。
また「リラックスしつつ集中力を高める」というモーツァルトの音楽の効果が犬にも発揮されるという点も驚異的です。
様々な研究がこうして、実際に犬たちの福祉の向上に役立っているのは嬉しいことです。
《参考》
http://www.bbc.com/news/world-europe-43574865