犬は人間の行動を見て評価をするという研究
京都大学の発達心理学の研究チームが家庭犬とフサオマキザルを使って興味深い研究を発表しました。動物たちが人間同士の行動のやり取りを見て、それぞれの人間を社会的に評価しているというものです。
さて、犬やサルの観察研究はどんな風に行われたのでしょうか。
実験の内容がまた興味深い!
実験は、まず人間が3人並び、真ん中の人がプラスチックの容器に入ったおもちゃを取り出そうと苦心している動作を見せます。犬の場合は真ん中の人が飼い主です。次に隣の人に「容器が開けられないので手伝って欲しい」という動作を見せます。頼まれた人は手伝うことをはっきりと拒否します。次に反対側の隣の人に同じように手伝いを頼み、頼まれた人は容器を押さえてフタを開ける手助けをします。この間、犬やサルは一匹ずつ人間たちの前に座って、人間同士のやり取りを見ています。
一連のやりとりを終えた後、両隣の人が同時に動物に対して食べ物を差し出して、犬やサルがどのように反応するかを観察します。
実験の結果は?
実験の結果はサルも犬も、手伝いを頼まれた時に協力した人からのみ食べ物を受け取り、協力を拒んだ人には近寄らなかったのだそうです。特に犬は自分の飼い主に親切にした人にははっきりと喜んで懐く様子が見られ、飼い主に親切でなかった人のことは拒否する様子が見られました。
サルは自然の状態では群れで生活しているので社会的なスキルが高く、協力的な態度が群れの維持のために重要な役割を果たします。ですから協力的で公平な人間に対して好意的な評価を下します。
犬の場合は人間との関わりの歴史の長さ、いっしょに暮らしている人間との関係性の深さから、人間に対する観察眼がより繊細に進化してきたと考えられます。犬にとっては飼い主に親切な人というのは、自分が親切にされるのと同じように重要な意味があることなんですね。
この「他者に親切な人に好意を示す」という反応は、まだ言葉を話す前の人間の赤ちゃんでも同様なのだそうです。このことから人間の社会性やモラルの起源はサルや犬などの哺乳動物ですでに見られると判断できるそうです。
まとめ
犬は人間同士のやりとりを観察して、誰が自分の飼い主に親切だったか、誰が親切でなかったかを判断していて、親切な人間の方を好むということが、京都大学の研究チームの実験と研究から明らかになりました。言われてみれば確かに日常生活の中でも、飼い主が苦手だなと思っている人に対して犬がよそよそしかったり、時には吠えたりするということはありますよね。
同じ研究チームの2011年の犬の研究では、食べ物をねだる者に対して拒否する人よりも食べ物を与える人の方が犬に好まれるということも明らかになっているそうです。つまり犬は自分自身にではなくても、他者に対して食べ物をくれたり親切に協力したりする人を社会的に判断する観察眼を持っているということです。
中でも飼い主に対して親切な人を好むという点は、なんとも嬉しくなる結果ですね。でも、これは言い換えれば犬は飼い主の行動もしっかりと観察しているということです。よその犬や他の人に対して嫌な態度を取ると、愛犬がそれを評価しているかもしれないと思うとドキドキしますね。
愛犬からはもちろんのこと、よその犬からも好かれるような人間でいたいものだと、ちょっと背筋が伸びるような気持ちになる研究結果でした。
《参考》
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0149763416303578