美味しいものが多い季節によくある事故
あと数日で今年も終わりです。年末年始はクリスマスにお正月楽しいイベントがたくさんあります。この時期増えるのがペットの誤食。注意が必要です。
クリスマスの時期
美味しそうなご馳走・ケーキ・プレゼント・綺麗なツリー。1年で1番楽しみなイベントです。でもこの時期に動物病院で最も多いのがペットの誤食です。テーブルに並んだご馳走を普段はテーブルに上がらない子も、いつもと違う光景にテンションが上がり目を離した隙に食べてしまう事がよくあります。
- テーブルの上のチキンを食べた。
- ケーキを食べた。
- 焼き鳥を串ごと食べた。
- ツリーの飾りを食べたかも。
- プレゼントのおもちゃを壊してたべてしまった。
特にクリスマスの時期は、このような誤食が多く電話での問い合わせも増えます。
食べて飲み込んでしまう原因として、この機会を逃すまいと犬も必死になり、飼い主が犬の口から取り出そうとすると余計に飲み込んでしまいます。ケーキやご馳走等は油が多く、膵炎を起こします。軽ければ嘔吐下痢を数日繰り返すだけですみますが、ひどい場合だと膵炎の痛みからショック状態で亡くなることもある怖い病気です。
考えてみて下さい。体重5kgに満たない子がショートケーキを半分かじって食べたとしたら人だとホールのケーキを一人で食べるようなものです。考えただけで胸焼けがします。
鳥の骨や焼き鳥の串なんかは折れてしまうと危険なので、内視鏡か手術で取り出すしか出来ず、同じようにツリーの飾りの場合も大きければ吐き出すことも出来ず胃や腸に詰まり大変危険です。
お正月
私が何十年勤めた中で、こんな事ってあるんだと思った出来事があります。
それは正月によくニュースで報道されるお餅が喉に詰まる事故。それは人間だけだと思っていました。
数年前の正月の出来事です。当時、私は夜間救急の動物病院に勤めていました。1月１日の夜、夜間救急の電話が鳴りました。
「犬が餅を喉に詰まらせてしまった。意識はあるけど苦しそうにしてる。」
どうして犬が餅を食べたのか。疑問だらけでしたが、すぐに病院に来てもらうよう伝えて電話を切り、緊急処置の準備をしました。
数分後、犬と飼い主が到着し、すぐに診察しましたが、犬は苦しそうな呼吸で舌の色も悪く意識も虚ろでした。明らかに喉に何か詰まっているのがわかりました。すぐに軽い麻酔をかけ内視鏡で処置を行いました。
喉に詰まった餅は取り出すのが難しく、内視鏡で掴んでもすぐにちぎれてしまうので、そのまま胃の中に落としこみ無事に処置は終わりました。
麻酔から覚めた犬は、来た時とは別犬のように元気に吠え、何が起きたか理解できてない様子で私達に尻尾を振り入院室から出せと暴れていました。
なぜ食べてしまったのかを飼い主さんに聞きたかったのですが、気がついたら食べてたとしか言わなかったのでそれ以上は聞けませんでした。
確かに、犬からしたら美味しそうにごちそうを食べる飼い主さんをみて自分も食べてしまう事はあると思いますが、お餅を喉に詰まらせた犬は長年看護師をしていて初めての出来事でした。
少しでも遅ければ亡くなってもおかしくない状況だったので、今でも忘れる事の出来ない経験でした。
最後に
犬は私達が思っているよりもすごいことをします。見た目は大人でも中身は子供と一緒です。予想外すぎて予知する事は出来ません。犬は基本ご飯を丸呑みする生き物なので、口に入るものは食べれるもの。飲み込めるものと勘違いします。
年末年始診察している動物病院では、必ずといって良いほど誤食の子がやって来ます。そしてそのうち何軒かは手術や内視鏡を行い、高額な治療費となり入院を余儀なくされます。
動物病院スタッフは毎年この季節になると思うのは、今年はみんな変なものは食べませんようにと祈ります。楽しいイベントの多い年末、ペットの誤食には気をつけてあげて下さい。
