マダニ感染症が犬からヒトに…私たちができる対策と予防とは

マダニ感染症が犬からヒトに…私たちができる対策と予防とは

10月初頭、マダニが媒介する感染症が犬からヒトへ感染するという、国内における初めての事例が確認されました。私たちができる対策はあるのでしょうか。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

2017年10月10日、徳島県の男性がマダニが媒介する感染症を発症したと厚生労働省より発表されました。マダニが媒介する感染症は「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」と呼ばれ、致死率は約10~30%とされています。いったいどういった経緯でヒトへ感染するのでしょうか。

今回は犬からヒトへも感染する恐れのあるマダニについて、私たちができる対策と予防を調べてみました。

マダニ感染症が犬からヒトへ

ダニと犬

今年の10月上旬、徳島県に住む40代の男性が飼い犬との接触が原因により、マダニが媒介する感染症である「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に感染していたことが判明しました。現在、この男性は飼い犬と共に回復しているそうですが、「犬からヒト」へのマダニの感染事例は初めて明らかとなりました。

この男性の飼い犬は今年の6月上旬頃に下痢などが続いたことで、動物病院を受診したそうです。同じく同月の中旬に男性も発熱や下痢が続いたことで医療機関を受診。その後、飼い犬がSFTSであることを診断されたそう。男性は体調を崩した犬の看病の際に「ウィルスに汚染された唾液」などに触れたことで感染した可能性があるのだといいます。

また、これまでにも303人の患者が報告されており、死亡例も発生。死亡例は全て50代以上の患者だったそうです。「犬からヒト」以外にも、今年の7月には西日本在住の50代女性が野良猫に噛まれたことでSFTSを発症、死亡しています。「猫からヒト」への感染事例はこれが初めてでした。

マダニ感染症の症状

マスクをしているおじさん

マダニを媒介して感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」では、初期症状として「だるさ」「発熱」が見られ、5~6日経過ごろから「意識障害」や「出血」が起きる場合があり、重症化しやすいといわれています。致死率は約10~20%。効果が認められてきているお薬の報告も最近ではあったようですが、現在のところ残念ながら特効薬はありません。

また、SFTS以外でも、マダニからヒトが感染する病気として「回帰熱」「ダニ媒介性脳炎」「ライム病」「日本紅斑熱」「ツツガムシ病」といった感染症にかかる可能性があります。これらのマダニ感染症に感染すると、以下のような症状見られるそうです。

  • 関節、筋肉の痛み
  • 発熱、悪寒
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 下痢、腹痛
  • 皮下出血
  • リンパ節腫脹
  • 心筋炎
  • 髄膜炎

マダニから直接感染する場合もありますし、病気によっては今回の事例のように犬や猫といった動物から感染する可能性もあります。

対策と予防

ダニを除去される犬

マダニは山だけでなく、公園や草むらにも生息しています。まずはペットをマダニに感染させないことが重要です。ノミ、ダニ対策は春だけでなく、冬も必要です。なぜならノミは室内にも生息しているからです。万が一、ノミやダニをペットの周囲で確認した場合、必ず動物病院へ行き除去をしてもらいましょう。目に見える範囲以外にも生息していることが考えらるため、根本的な駆除が必要です。

なお、マダニを発見しても「手で潰さない」ことが重要です。無理に手でつぶした場合、頭などマダニの一部が体内に残り炎症を起こす場合などがあります。

犬や猫をからヒトの感染を防ぐためには、ペットが体調不良を起こした際に「よだれ」や「目ヤニ」に「直接触れない」ことが大切です。ペットと一緒に寝ている場合は、特に注意を払いましょう。また、ペットの体調不良を確認したら、必ず動物病院へ連れて行きましょう。

ペットからの感染以外でもヒトがマダニに感染する可能性はあります。むやみに草むらなどには入らずに、入る場合は、長袖などを着用し刺されないような恰好をしてください。また山林などで活動した後は、作業着は家の中へは持ち込まずに、身体にダニが
付いていないかをしっかりと確認してください。普段から自分の周りとペットの周りを清潔にし、体調不良の変化を見逃さないようにしましょう。

まとめ

検査を受ける犬

死亡例もあるマダニによる感染症。我が家の愛犬のミニチュアダックスフントも、保護当時はマダニに感染しており、とても痛々しい姿をしていました。動物病院で除去してもらうために、何度も通うことになりました。何よりも愛犬の痛々しい姿は悲しいものです。

愛犬や愛猫への対策はもちろん、人間に感染した場合の恐怖もしっかりと知り、普段から対策をしていきましょう。

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