アメリカの刑務所内の動物保護施設「ペン・パルズ動物保護施設」

アメリカの刑務所内の動物保護施設「ペン・パルズ動物保護施設」

アメリカで活動している「ペン・パルズ動物保護施設」という動物保護施設があります。この施設は動物が大好きな刑務所職員と受刑者で運営されています。動物を育てる事で受刑者達の心にも変化が起きています。彼らの様子を紹介します。

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アメリカのユニークな動物保護施設「ペン・パルズ動物保護施設」

アメリカの動物保護施設のアイディアにはいつも驚かされてしまう事ばかりです。今回紹介する動物保護施設も、一見普通の動物保護施設に見えますが、保護されている犬達の環境を知ったらきっと皆さん驚いてしまう事でしょう。

今回紹介する「ペン・パルズ動物保護施設」はアメリカ・ルイジアナ州北部で活動を行っています。この施設では、家族を失ってしまった多くの犬達や猫達が保護され、動物保護施設のスタッフさん達は、動物達のご飯を上げたり、糞尿の後片付けや犬達が社会化できるように毎日訓練を行ったりと大忙し。保護された動物達の為に活動を行っています。
この施設ではルイジアナ州立大学から獣医さんが犬や猫達の健康診断や手術のアシスタントまで行ってくれるので、保護されている犬や猫達は、生活面でも医療面でも不自由なく安心して生活する事ができます。

この動物保護施設は一見他の動物保護施設と変わりがないように思えますが、動物保護施設がの運営しているスタッフさん達に「ある秘密」が隠されています。

驚いた事に、この動物保護施設は、「動物が大好きな刑務所職員」と、「動物大好きな受刑者達」で運営しているのです。その為この「ペン・パルズ動物保護施設」は、有刺鉄線で囲まれた刑務所の中にあります。

この動物保護施設で活動をしているスタッフさん達は、犯罪者だったとはいえ動物達の事を心から大好きで、毎日動物達の事を大切に面倒をみています。

スタッフのワイリー・バンスコーターさんは、17歳の時に薬物に溺れてしまい強盗をして、有罪判決を受けました。バンスコーターさんは動物がとても大好きで、この動物保護施設で毎日動物達のお世話をしています。彼は今までの事を振り返りながら

「自分に起きた事で最高の出来事だと思います。この場所で自分のやるべき事を見つけたような感じがします。」

と動物保護施設の事を語っています。

「ペン・パルズ動物保護施設」の運営風景

ディクソン更生施設内にあるペン・パルズ動物保護施設は、2005年にアメリカで大きな被害をもたらした自然災害「ハリケーン・カトリーナ」が上陸してからしばらくして開設されました。

台風の被害で家や家族を失ってしまった犬達の数は数百頭にも及び、大きな被害が出てしまいました。そんな犬達を救う為、動物保護団体ヒューメイン・ソサイエティが活動を行っていましたが、多くの動物達を保護するには動物達を保護できる場所の確保が必要でした。

そこで、動物保護団体が考え出した場所がディクソン更生施設だったのです。ディクソン更生施設は広大な敷地に、使用されていない納屋がありました。そして、何よりもその更生施設には動物達が大好きな職員と受刑者達がいたのです。犬達を保護するにはうってつけの場所でした。

ディクソン更生施設に保護されてきた動物達は、職員と受刑者達により大切に育てられました。その姿を見ていたヒューメイン・ソサイエティのスタッフが、受刑者達の動物達を大切に思う気持ちに感銘を受け、刑務所に約7000万円の資金を提供し、本格的な動物保護活動を行う様になったのです。

この動物保護施設は、受刑者達によって作られました。施設を作る作業も勿論受刑者達が作り上げたものです。そして、2010年8月に「ペン・パルズ動物保護施設」が無事に開設されました。

ペン・パルズ動物保護施設では、受刑者達が週7日間、休みなく動物達のお世話をしています。時には、刑務所から離れて動物達の里親探しのお手伝いをする事もあります。

また、この施設では、ルイジアナ州立大学の獣医や学生達による動物飼育講座が開かれています。動物保護施設のスタッフのバンスコーターさんは、動物看護師の学位を取得する為、動物達の事を熱心に勉強しています。彼はワクチン接種、寄生虫や皮膚状態の検査の他にも医療行為を手掛けられるようになりました。

バンスコーターさんの他にも、元受刑者のマット・エルドリッジさんは、アニマルプラネットの番組『ピットブルズ&パロリーズ』のスタッフとして出所後活躍しています。

受刑者達の活躍を間近で見守って来た刑務所職員のジョン・スミスさんは、

「受刑者達は動物達とのふれあいが始まると、受刑者達は『必要なのは共感だった』事を悟ります。ですが、性犯罪者や動物を虐待した受刑者は、動物保護施設で働く事が出来ません。彼らを雇うと問題になってしまいますので。受刑者はいずれ出所していき社会に戻ります。私達は税金を使う人間ではなく、納税者を育てているのです。」

とコメントしています。

この動物保護施設で自分の新しい道を見つけたバンスコーターさんは、チワワとテリアが混ざった小さな体の犬と一緒に遊ぶ時間が何よりも大好きな時間だと言います。彼は、2018年に出所が予定されており、出所したら動物看護師の仕事に就き、将来的には獣医になりたいという素晴らしい夢を見つけました。

ペン・パルズ動物保護施設はイーストフェリシアナ群全域を対象としている唯一の動物保護施設です。およそ80頭の犬や10数匹の猫を保護しています。動物保護施設内には、動物達が遊べるように屋外アジリティコースもあり、安心して生活できるように医療設備も整っています。多くの犬や猫達の新しい里親探しにも成功しており、動物達が素敵な第二の人生を送れるように手助けをしています。

この様子に注目したオレゴン大学の大学院生カルマリータ・アウフデルハイデさんは、

「動物達が施設を訪れた時、動物達はとても怯えています。動物達はどこにいるのかも分からない見知らぬ環境で、動物達にとっては刑務所に入れられたような気持ちだと思います。受刑者達は、動物達と同じ気持ちを味わっているから動物達と共感する事ができ、愛情や理解を示すのでしょう。受刑者達は、動物達を抱いたり、撫でたりときちんと動物達の面倒をみて、動物達にとって良い生活ができる様にしようとしています。自分達が動物に与えているものと同じチャンスが来るのを期待しているのだと思います。」

とコメントしています。

受刑者にも保護された動物達にも明るい未来が来るといいですね。

まとめ

アメリカでは、今回紹介した動物保護施設の様に、刑務所内での動物保護を行っている動物保護団体がいくつか存在しています。刑務所内で保護を行っているスタッフさん達は、多くの犬や猫達に新しい人生を探し幸せにしてきました。彼らの活躍は世界中で注目されています。動物保護という活動で受刑者さん達も動物達と一緒に成長していく素晴らしい取り組みの今後が期待されています。

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