保護施設の犬のストレスレベルを下げリラックスさせる音楽ジャンルは何かをリサーチ
あなたの愛犬は音楽が好きですか?
犬をリラックスさせるための音楽のCDやダウンロードもたくさん販売されているように、クラシック系の音楽が犬のリラックスに効果があることは既にいくつかの研究で明らかになっています。
今回ご紹介するのはスコットランドのグラスゴー大学の研究チームとスコティッシュ動物虐待防止協会が共同で行った「どの音楽ジャンルがより犬のストレスレベルを下げリラックス効果が高いか」というリサーチです。
リサーチの対象と方法
このリサーチの対象になったのはスコティッシュ動物虐待防止協会のセンターで保護されている犬たちです。
保護施設というのは、どんなに設備が整えられ人々が手を尽くしても、やはり自分の家庭で過ごすようなわけにはいかないものですから、そこで過ごす犬たちのストレスをできる限り軽減しリラックスして過ごせるようにすることはとても大切です。音楽が犬の心身や行動に良い影響を与えることは判っているのですが、どんなジャンルの音楽ならより効果的かという点が注目されました。
選ばれた音楽ジャンルはクラシック・ソウルミュージック・ポップス・レゲエ・ソフトロックの5種類です。
対象になった犬たちは心拍数を測るモニターを付け、尿検査でストレスに密接に関係するホルモンの数値を測定して、身体に現れるストレスレベルをチェックします。
また音楽が流れている時とそうでない時の行動の変化も観察されます。
気になるリサーチの結果は?
5種類のジャンルの音楽ですが、ジャンルに関わらず音楽が流れている時の犬たちは明らかに横たわる時間が増え、立っている時間が短くなっていたそうです。吠え行動については目立った変化は認められなかったそうですが、音楽を停止した時に吠えたいような仕草をする犬が多かったそうです(「え?停めたの?終わり?」という感じでしょうか。)
行動から観察される様子で、音楽は犬にとって好ましいものであるというのは明らかなようです。
さらに心拍数やホルモン値から観察された結果を集計したところ、一番多くの犬のストレスレベルが低くなったのはレゲエ、続いてソフトロックという結果だったそうです。行動面でもレゲエとソフトロックでは好ましい行動の変化が多く見られたとのことです。
しかし面白いことに、人間と同じように犬もそれぞれにお気に入りの音楽があり、レゲエよりも他のジャンルが好きという犬もいるそうです。また、いつも同じ音楽ばかり聴いていると身体が慣れてしまいリラックス効果も下がってくるので、違うジャンルの音楽をミックスして聴かせるとより効果的だそうです。
このリサーチの結果を受けて、スコティッシュ動物虐待防止協会のセンターでは犬舎のためのサウンドシステムを導入することを決めました。日本の愛護センターなどでも、音楽を流して犬たちのストレス軽減に役立てる施設が増えるといいなあと思います。
まとめ
音楽は人間だけでなく、犬にとってもポジティブな効果があることがリサーチによって証明されました。ストレスレベルを下げ心も身体もリラックスさせてくれる、嬉しい効果ですね。
このリサーチでは保護施設の犬が対象になっていましたが、お留守番の時や自動車に乗せる時など、家庭の愛犬たちにも応用できそうです。
犬に人気があったジャンルはレゲエ、次いでソフトロックですが、犬によっても好みがあるので愛犬の好みはどんな音楽か観察するのも楽しそうです。
夏に向かって、愛犬と遠出する機会も増えるかと思います。人間だけでなく、犬もいっしょに楽しめる音楽を準備していくと、素敵な思い出がいっそう増えそうですね。
《参考》
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0031938416306977
https://www.scottishspca.org/newsroom/latest-news/reggae-gets-paw-of-approval/