イギリスでの犬の治療費事情
ご存知のようにイギリス人は犬が大好きです。そのため犬を飼っている人は沢山います。
しかし、イギリスでの犬の医療費は驚くほど高いのです。
保険に入っていても高いと感じますし、また保険でカバーができるものはとても限られてます。年金で暮らしている飼い主さん、また低額所得家庭などの人はとても払えないのが現実です。
では、愛犬の医療費を払えない人はどうしているのか、ここで獣医療のチャリティが味方となります!
PDSA「People's Dispensary for Sick Animals」
動物好きに差別はありません。
イギリスでは、経済的に余裕がない家庭にも犬はいます。そして貧しいからと言って、ひとつの命も見捨てたりはしません。
こちらの慈善団体はそのような家庭のペットが病気のとき、経済的な理由から獣医師に診てもらうことが出来ない飼い主さんを助けます。
ペットを無料で治療させる、獣医療のチャリティです。
「PDSA」はイギリス動物病院チャリティとして毎年多くの無料診察を行っており、去年は297,000匹の犬を救助しました。
現在イギリスで51の病院を持ち、更に380の動物病院との提携をして診療を行っています。また、1,500人のスタッフを雇用する団体に成長しました。
無料の診療は経済的に生活が難しく、国から住宅手当もしくは住民税手当(低所得、無職の人が受給可能な社会保障)を受けていることが条件です。
一流の獣医師が適切な医療機器を使用して治療をします。無料だからと言って手抜きはしません!
創立
1917年イギリス人女性マリア・ディキンによってによって創立されました。
マリアはロンドンのイーストエンドに住む人々を訪ねたとき、ひどい怪我や病気により獣医が必要な動物たちの風景に驚愕しました。
すべての原因は動物の治療費が払えないことです。
そして金銭的に恵まれない人たちのために無料の診療所を広げ、スタッフの養成にも励みます。この結果、現在までこのチャリティは引き継がれているのです。
動物たちのためにひとりで立ち上がった女性、とても勇気のある行動だと思いませんか。
ボランティアの仕事
ボランティアは無給です。お仕事の一つとしてチャリティショップの経営があります。
チャリティショップはリサイクルの洋服類や家具、本など一般の人が寄付をした物を販売します。お店の窓にも”いらない物を寄付して”のサインがあります。
私も時々お店に持って行かせていただいてます。
他にドッグショーの開催やロンドンマラソン参加などイベントでの資金集め、動物病院の待合室で飼い主さんの付添いなどもお仕事の一つです。
病院での待ち時間を一緒に過ごすことで、飼い主さんの辛い気持ちを少しでも和らげるのが本当のボランティア精神ですね。
獣医療サービスセンター
ある日PDSAの獣医療サービスセンターに、生後3ヶ月のスタッフォードシャー・ブル・テリア(名前はメイシー)が救急来院しました。症状は体内からきしむような音が聞こえるため、獣医師はオモチャを飲み込んだと思ったそうです。
その後メイシーは呼吸困難と鼻から出血を起こし、事態は急変してしまいました。
レントゲンを確認すると体内に約20cmの長さの刃物が・・・。メイシーは刃物の持ち手側から飲み込んでいて、刃物は腸まで達してました。緊急手術が行われメイシーは命を取りとめることができましたが、メイシーの獣医師エミリーさんは彼女はとても運が良かったと言います。
もしも持ち手側からではなく刃の側から飲み込んでいたら、内臓を裂き致命的な負傷になる可能性もあったとか...怖くなりますね。
またメイシーの飼い主さんはどこでメイシーがナイフを見つけたのかも分からない。食器洗い機から取り出したのかもしれないけど、家族は誰一人見なかったと言います。
勿論、PDSAなしにメイシーは助からなかったと感謝でいっぱいです。
このような団体が寄付から成り立っていることに、人々の寛大な心を感じますね。
ペット・フィット・クラブ「Pet Fit Club」
PDSAは太り過ぎてしまったペットも救います!
2005年PDSAによって設立されてから、これまでに78匹の犬の体重減量を助けてきました。
減量方法は主にダイエットと運動です。
飼い主さんはPDSAの獣医師により専門的はアドバイスとその犬に合ったダイエットプログラムを受け、もとの体型に戻します。
例えば、
- オスカー(スパニエル)21.6kg→12kgに減量成功
- ティティ(チワワ)5.5kg→3.9kgに減量成功
ティティは一緒に暮らしている他の7匹のフードを食べてしまっていたのが原因で肥満になってしまったとのこと。このクラブを始める前、ティティは2,3分すると息切れして殆ど歩くことができず、外のお散歩も拒否していたそうです。現在は7匹の犬に混ざり散歩をして体重維持してるそうですよ。
犬好き有名人、著名人もサポート
PDSA は、ロッド・スチュワート、エルトン・ジョン、サイモン・コーウェル、サラ・コックス、ジョアンナ・ペイジ、ジェームス・マーティンなどその他多くのサポートを受けています。
さいごに
大切なペットが病気のとき獣医に連れていけないというのは、飼い主にとってとても辛いことです。PDSAはイギリスのチャリティ活動団体のひとつに過ぎませんが、とても大きな役割を果たしていることを分かっていただけたと思います。
自分の愛犬はもちろん大事ですが世の中のすべての犬、動物に幸せになってもらいたいという気持ちから今できることを少しづつ始めてみてはいかがでしょうか。