冬は愛犬の耳の先端に注意!皮膚に起こるトラブル『虚血』とは?【獣医師執筆】

冬は愛犬の耳の先端に注意!皮膚に起こるトラブル『虚血』とは?【獣医師執筆】

寒い季節になると、犬の耳の先が赤くなったり、ただれたりすることがあります。実はそれ、「皮膚の虚血」と呼ばれる血流トラブルが関係しているかもしれません。冬に起こりやすい耳の病気について、やさしく解説します。

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東京大学動物医療センター内科研修過程修了。一般診療と皮膚科専門診療を行い、国内・国外での学会発表と論文執筆も行う。現在は製薬会社の学術担当を務めながら、犬猫について科学的に正しい情報発信を行っている。Syneos Health Commercial 所属MSL、サーカス動物病院 学術、アニー動物病院 非常勤獣医師。

耳の先が傷つくのはなぜ?寒さと血流の深い関係

片耳だけ立たせながら座っている子犬

犬の耳は、体の中でも特に血管が細く、体の中心から離れた場所です。そのため、寒さの影響を受けやすく、血の巡りが悪くなりやすい部位でもあります。冬になると体は大切な臓器を守るため、自然と末端の血流を減らします。その結果、耳の先では十分な酸素や栄養が届かなくなり、皮膚がダメージを受けやすくなります。

このように血液がうまく流れず、皮膚が弱ってしまう状態を「虚血」と呼びます。虚血が起こると、最初は耳の先が赤くなったり、色が変わったりする程度ですが、進行すると皮膚がただれたり、かさぶたができたり、ひどい場合には皮膚が壊死してしまうこともあります。

特に注意が必要なのは、ダックスフンドやチワワなど、耳が細く先端が尖っている犬種です。こうした犬では、耳の先の血管がさらに細いため、虚血の影響を受けやすいと考えられています。また、屋外で過ごす時間が長い犬や、寒い場所で風にさらされやすい環境にいる犬もリスクが高くなります。

ただのケガや皮膚病とどう違う?見分けるヒント

片耳をめくってチェックされている犬

耳の先にできた傷を見ると、多くの飼い主さんは「どこかにぶつけたのかな」「引っかいたのかな」と考えます。確かに外傷や細菌感染でも似たような見た目になることがありますが、虚血が関係する皮膚トラブルには特徴があります。

まず、左右の耳に似たような変化が出ることが多い点です。左右対称に耳の先端が赤くなったり、同じ位置にかさぶたができたりする場合、単なる偶然のケガとは考えにくくなります。また、傷が耳の先端や縁に集中しているのも特徴です。

もうひとつのポイントは、治りにくさです。軟膏を塗ってもなかなか良くならず、少し良くなったと思ってもまた悪化する、という経過をたどることがあります。これは、皮膚そのものの血流が改善していないため、表面的な治療だけでは追いつかないからです。

痛みやかゆみが強くないこともあり、犬自身があまり気にしていないように見える場合もあります。そのため、発見が遅れ、「気づいたときには傷が深くなっていた」というケースも少なくありません。

早めの対応で守れる耳、飼い主さんにできること

獣医師に背中を触られている犬

皮膚の虚血が疑われる場合、最も大切なのは早めに動物病院で相談することです。状態によっては、血流を改善したり、炎症を抑える塗り薬や場合によって飲み薬、あるいはサプリメントなどによる治療が行われます。重症例では、免疫の関与を考慮した治療が必要になることもありますが、早期であれば内科的な治療で落ち着くケースも多くあります。

日常生活でできる予防も重要です。冬場は耳が冷えすぎないよう、散歩の時間帯を工夫したり、風の強い日は外出を控えたりするだけでも負担を減らせます。室内でも暖房の風が直接耳に当たって乾燥しすぎないようにする配慮が役立ちます。

また、耳先の色や状態を定期的にチェックする習慣をつけることも大切です。赤みや色の変化、かさぶたがないかを日常のスキンシップの中で確認しておくことで、異変に早く気づくことができます。

虚血による皮膚トラブルは、正しく理解し、早く対応すれば、深刻な状態に進むのを防げる可能性が高い病気です。決して「様子見でいい」と軽くは考えず、でも過度に怖がらず、冷静に対処することが愛犬を守ることにつながります。

まとめ

立ち耳の犬の後ろ姿

冬の寒さは、犬の耳先の血流を低下させ、皮膚の虚血を引き起こすことがあります。左右対称の傷や治りにくい耳先のトラブルに気づいたら、早めの受診が安心への近道です。

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