とにかく人間大好きの愛犬
生後3ヶ月でお迎えした我が家の愛犬(ウエストハイランドホワイトテリア)は、周囲の方も驚く人間好きでした。初対面の方に挨拶したり、お腹をペロンと出すなんて朝飯前。立ち話をしているオバサマ方、工事現場の昼休憩時に道端で座っているオッチャン集団を見かけたら「じーっと見つめる」→「可愛いね」と声をかけてもらえる→「挨拶して撫でてもらう」という技も身につけていました。
一般的にテリアといえば、気性が強い・頑固というキーワードでよく知られています。我が家の愛犬もそういったテリアらしい気質は持ち合わせているものの、特に、VS人間に対しては「ちょっと違う」個性を持っているのが分かるまでに、若葉マークの飼い主にも、そんなに時間はかかりませんでした。しかし、「子ども」が絡むのは「別問題」という知識は持ち合わせていました。
人間の大人と人間の子どもは別の存在?
人間大好きの愛犬にも、ある一定の好み・特徴がありました。そのラインは概ね中学生。それより下の世代になるにつれ、大人の人間にはみせない「戸惑い」を見せるのです。当時不思議に思い調べたところ、「犬にとって人間の大人と人間の子どもは別の動物と捉えている」的な内容の情報がインターネット上にありました。その真偽はさておき、我が家の愛犬の状況に当てはまっているのは事実でした。
いくつかのwebメディアで、犬が人間の子どもに戸惑うポイントに、子ども特有の声質や予測不可能の行動があると挙げられているのを参考に、子ども達の集団に接するケースがあれば、皆に犬は怖くないか?と尋ね、愛犬は保定して背中を撫ぜさせる等、触れ合い方について説明し、愛犬が怖がる・嫌がる形にならないように気をつける習慣をつけたところ、さほど時間もかからず、自分に関心を持っている小学生集団を見つけた愛犬は、「その輪に混ぜて〜」と自ら主張するようになりました。
しかし、小学生以下の乳幼児〜幼児にあたる小さな子どもさんが触れ合いを求めてきた場合は、保護者の了承や理解の程度を把握するのが大前提です。保護者の多くは、自身も犬が好きで慣れているケースですが、その真逆…自分のように動物が苦手な子どもにしたくないという希望を持っているだけの場合も、多々あります。その場合、保護者の方自身が、犬への接し方の知識はゼロの上、犬に恐怖心を持っており、それが子どもさんに伝染してしまい「トラウマの連鎖」を生みかねません。
この方は駄目かな?と直感で感じた時はお断りしますが、そうでない場合は、飼い主の方で声のかけ方、体勢、手の出し方、触り方等を親御さんにアドバイスし、愛犬を保定して、口から遠い背中を撫でてもらうようにしています。
そうまでして、愛犬を他人に触らせれるメリットがあるのかないのかは、飼い主さんそれぞれの考え方によりますし、愛犬の性格にも左右されますが、我が家の場合は保定という安心の中で幼児に触れ合う機会を重ねたことで、時間はかかりましたが、小さな子どもさんも大好きになり、散歩中に「ワンワン」とあどけない声で呼ばれると、自分の事かな?と目を合わせるまでになりました。
なぜ、愛犬は子どもに飛びかかったのか?
愛犬が世代問わず人間に慣れているとはいえ、万が一にでも他人を傷つける事態が起こっては絶対になりません。特に行動が読めない・会話が成り立たない小さな子どもさんに要注意というのは、基本中の基本です。
あの日、10歳ぐらいの女の子と4歳ぐらいの男の子の姉弟に出会った瞬間も、同じ緊張感は保っており、愛犬のリードは全長120cm。通常時は手首に一巻きして短めに、そして、人や犬との出会い頭ではさらに一巻きして、50cmぐらいを維持していました。
弟と手をつないだお姉ちゃんが「ワンちゃん、可愛いですね。触っていいですか?」と、とてもしっかりした口調でリクエストしてくれて、愛犬も嬉しそうにしていたので、最初の一歩として、「犬は怖くない?」と応えようとした矢先、
愛犬は男の子の手にパッと飛びかかったのです。そして、愛犬の口には食パンが1枚ありました。
届くはずがない距離を保っていたつもりだったのに、小さな男の子は、お姉ちゃんと繋いでいたのと反対の手に持っていた食パンを「はい、どうぞ」と差し出しており、愛犬はそれに飛びついたのです。
- (言い訳になるが)薄暗く幼児の手の先まで見えておらず気にもかけなかった。
- お姉ちゃんと手をつないでいる時点で、幼児の男の子も大丈夫と感じてしまった。
- 50cmぐらいではなく、愛犬を抱いておくべきだった。
完全に、飼い主である私の重大なミス(エラー)です。
幸いにも、男の子が持っていたのは愛犬の口には大きな食パンであったため、男の子の手に接触することはなかったものの、仮に小さなオヤツだったら、手ごと噛むことはさすがになくとも、(と信じたい)歯が当たっていた可能性を否定できません。
また、いくらしっかりしたお姉ちゃんがついていたとはいえ、10歳ぐらいの子ども。保護者がいるのと同じように小さな子どもの振舞いを管理できるわけはなく、それは大人の仕事です。
この日は、子ども達の保護者がその場にいない状況でした。ならば、飼い主の私がその責任を負うか、それが嫌ならば全面的に拒否(愛犬を抱っこして立ち去る)という選択をしなければなりませんでした。
更に、食パンだったからよかったものの、チョコレートやキャンディーといったお菓子だった場合、愛犬の体調にも影響を及ぼした可能性も否めません。幸いにも、「オヤツの食パン取っちゃってごめんね」で終わりましたが、色々な状況が少しづつ違っていれば、後悔してもしきれない結果につながっていたのは確実です。
この苦い経験から数年が経過した今も、状況が許す限り、散歩中に声をかけてくれた大人・子ども達とは出来る範囲で触れ合いの時間を持つようにしていますが、「愛犬が問題を起こしかねないシチュエーションにしない」という、愛犬シフトを重要視するようになりました。
まとめ
先月、温和な性格で知られているゴールデンレトリバーを室内飼いしている祖父母宅に預けられた孫が、祖母の目の前でゴールデンレトリバーに頭から首辺りを噛み付かれ、死亡したというニュースがあったことをキッカケに、犬と幼い子どもの触れ合いについては厳しい意見が飛び交っています。
愛犬を家族以外に触れさせるかどうかについては、飼い主さんそれぞれの考え方・ポリシーが最優先ですが、もし我が家の様に人間と触れ合うことを愛犬が望むのなら、こんなケースもあるという一例を知って頂きつつ、老若男女問わず、地域の人達に愛される存在になって頂ければと願います。