【獣医師執筆】167頭14ヶ月追跡…「犬の手作り食」長期的健康効果を科学的に検証

【獣医師執筆】167頭14ヶ月追跡…「犬の手作り食」長期的健康効果を科学的に検証

手作り食は本当に犬の健康に良いのか――167頭を最大24ヶ月追跡した研究では、健康な犬だけでなく、消化器や皮膚のトラブルを抱える犬でも、手作り食による明確な健康改善が示されました。本記事ではその科学的根拠をわかりやすく解説いたします(参考文献:Vet Sci. 2024 Sep 17;11(9):438.)。

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167頭14ヶ月追跡で見えた「手作り食」の本当の力

フードを食べない犬

なぜ今、手作り食が注目されるのか?

犬の食事は現在、大きな転換期を迎えております。市販フードは確かに便利ですが、素材の品質や添加物への不安から、より自然で安心できる食事を求める飼い主の声が増えています。今回の研究に参加した167頭の犬も、同じ理由から動物病院での栄養相談を受け、手作り食を開始していました。

研究開始時点では、約7割の犬が市販フードを主食としていましたが、14ヶ月の追跡後には62%の犬が手作り食を継続していました。すなわち、多くの飼い主が「続けたい」と感じるほど、手作り食に効果を実感していたことがうかがえます。

手作り食の大きな特徴としては「個別性」と「新鮮さ」があります。タンパク源には鶏肉や七面鳥、豚肉、白身魚などが用いられ、炭水化物は米やジャガイモ、脂質にはサーモンオイルや植物油、さらに野菜類も加熱して使用されました。すべて人が食べられる品質の食材を使用し、栄養バランスは獣医師が専用ツールを使って個別に設計していたそうです。

手作り食は栄養バランスの乱れが懸念されがちですが、この研究では必ずビタミン・ミネラルの補給が行われ、病態に応じたサプリメントも併用されました。そのため、専門家と連携すれば「安全に長期間続けられる手作り食」が実現できることが示されています。

中断理由の多くは「飼い主側の事情」であり、犬の健康に悪影響が出たわけではありませんでした。この点も、手作り食が犬にとって無理のない食餌方法であったことを示しております。

健康な犬に起きた変化「毛艶・便通・活力の向上」

検査される犬

研究に参加した167頭のうち、48頭は健康維持のみを目的に手作り食へ移行しました。そのうち約3分の2が継続しており、飼い主から見ても毛艶の向上や便通の安定といった良い変化が見られたと報告されています。特に毛の光沢や柔らかさは、多くの犬で改善が確認されました。

排便回数は47%の犬で減少し、便の質の安定も目立ちました。これは手作り食が高消化性で、腸内の負担を軽減した結果と考えられます。

さらに、肥満予防にも効果が示されました。体重管理が必要だった犬のうち、66%が適切な減量ペースで理想体重に近づいてきました。手作り食は食材のかさが多く、同じカロリーでも満腹感を得やすい点も利点の一つです。

一部に下痢などの消化器トラブルが見られた犬もおりましたが、その多くは急な食材変更や調理の不統一など、人側の操作に起因していたと考えられています。適切な指導を受けながら行うことで、安全性は十分に保つことができるでしょう。

消化器・皮膚疾患で劇的改善「症状改善率94%」

チェックリスト

手作り食の真価が最も発揮されたのは、消化器疾患や皮膚疾患を抱える67頭の犬でした。

慢性腸症の犬43頭では、下痢・嘔吐・逆流などの症状が95%で改善しており、特に若齢〜成犬で改善が顕著でした。手作り食は消化性が高く、腸の炎症を落ち着ける効果が期待できます。

皮膚疾患を持つ犬では、アトピーや慢性皮膚炎、外耳炎などが83%で改善しました。食物アレルギーの影響や、市販フードの成分が刺激となるケースもあるため、手作り食は「アレルゲンの管理」と「皮膚負担の軽減」の両方に寄与したと考えられます。

さらに、消化器と皮膚の両方に問題を抱えた犬12頭では、100%で症状の改善が報告されました。手作り食だからこそ、複数の問題に同時に対応できる柔軟性があったといえるでしょう。

サプリメントも79%で問題なく利用できており、栄養バランスの調整に大きく貢献しました。中止理由の多くは「投与しづらい」「入手しづらい」など飼い主側の事情であり、犬に悪影響があって中止したわけではありませんでした。

全体を通して、手作り食は自然派の選択肢にとどまらず、科学的にも症状を改善しうる“治療の一部”として機能する可能性が高いことが確認された研究となっています。

まとめ

獣医と飼い主

167頭を最大24ヶ月追跡した研究では、手作り食が健康維持から消化器・皮膚疾患の改善まで幅広く効果を示しました。適切に設計された手作り食は、犬の健康管理における重要な選択肢となり得ます。専門家の獣医師と連携し、安心して取り入れていくことが大切です。

(参考文献:Vet Sci. 2024 Sep 17;11(9):438.)

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