愛犬の足の痛み、手術だけでは終わらない?理学療法の重要性
骨折や股関節、膝関節の疾患などで手術を受ける犬は少なくありません。
しかし、手術によって問題を取り除いたとしても、すぐに元の生活に戻れるわけではありません。
関節や筋肉は、動かさない期間が長くなるほど拘縮や筋力低下を起こしやすく、回復には時間とケアが必要です。そこで注目されるのが「理学療法」です。
「理学療法」とは?
理学療法は、手術後の痛みや炎症を軽減し、関節の動きを改善して筋力を回復させることで、犬の生活の質を取り戻す手助けをします。
たとえば「大腿骨頭切除術」は、レッグ・ペルテス病や股関節形成不全の治療として用いられますが、術後に残る関節部分の動きを良くするためには、理学療法の実施が不可欠です。
具体的な治療法
理学療法では、痛みや炎症を和らげる冷却・温熱・レーザー療法などに加え、関節可動域を取り戻すための受動運動やストレッチ、筋力回復のための電気刺激やマッサージ、そして全身のバランスを整える施術が行われます。
こうしたアプローチにより、回復を早め、再発や代償的な負担による新たなトラブルも防ぐことができます。
理学療法はまさに、術後回復の「影の立役者」と言える存在なのです。
最新研究からわかる!理学療法の具体的な方法と「早期開始」の重要性
2025年に発表されたKhazayeeらの研究では、大腿骨頭切除術を受けた19頭の犬を対象に、術後2日目から理学療法を開始したケースにおける回復状況が調査されています。この研究は、早期に理学療法を始めることが機能回復に大きな効果をもたらす可能性を示しています。
具体的には、術直後には冷却療法で炎症を抑え、慢性期には温熱療法で血行を促進し筋肉の緊張をほぐします。
さらに、超音波やレーザーを用いた深部組織の治癒促進、電気刺激による筋収縮のサポート、マッサージによる血行改善、他動的な関節運動やストレッチによる可動域の維持など、多様なアプローチが組み合わされていました。
これらの療法を術後すぐに始めることで、慢性的な痛みや拘縮を防ぎ、回復を促進する効果が期待できます。
ただし、これらの療法はすべて獣医師や動物理学療法士の専門的な判断と技術のもとで行われるべきです。
犬の状態に応じて最適な治療法が異なるため、飼い主の自己判断での実施は避けましょう。
理学療法で変わる愛犬の未来
飼い主が出来る「理学療法」
愛犬の回復を最大限に引き出すためには、飼い主自身の協力も欠かせません。
専門家の指導のもと、日々のマッサージや簡単な運動、散歩などを根気強く行うことが重要です。また、患部への負担を減らすための安静の確保や、滑りにくい床材への変更、段差の解消など、生活環境の見直しも回復を助けます。
さらに、過体重は患部への負担を増やすため、食事管理による体重コントロールも必要です。愛犬の様子を日々観察し、異常があればすぐに獣医師へ相談することも大切です。
「理学療法」は専門家との連携が重要
理学療法の効果を最大限に引き出すには、獣医師と動物理学療法士の連携が不可欠です。
術後の状態に応じた診断と治療計画の立案、専門機器を用いた施術、定期的な評価とプログラムの見直しを通じて、個々の犬に合った最適なケアが提供されます。また、自宅でのケア方法も専門家がわかりやすく指導してくれるため、安心して取り組むことができます。
理学療法は、愛犬が再び元気に歩き、飼い主と充実した時間を過ごすための大切なサポートです。
もし手術を受けることになった際には、手術だけでなく、その後のリハビリについても積極的に相談し、未来のために最善の選択をしてあげましょう。
まとめ
手術後の理学療法は、愛犬の痛みをやわらげ、関節の動きを取り戻し、筋力を回復させる重要な役割を果たします。
最新研究では、早期に開始することで回復が早まり、生活の質の向上に大きく寄与することが示されています。
獣医師や専門家と連携し、自宅でのケアも丁寧に行うことで、愛犬の健やかな未来を支えることができます。