“いつも通り”が危険に!夏の散歩で見落としがちな落とし穴とは【獣医が解説】

“いつも通り”が危険に!夏の散歩で見落としがちな落とし穴とは【獣医が解説】

夏の朝晩の散歩を「いつも通り」で済ませてしまっていませんか?暑さが増すこの季節には、犬にとって命に関わるリスクが潜んでいます。本記事では、飼い主が見落としやすい夏の散歩の危険ポイントを3つに分けて解説します。

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東京大学動物医療センター内科研修過程修了。一般診療と皮膚科専門診療を行い、国内・国外での学会発表と論文執筆も行う。現在は製薬会社の学術担当を務めながら、犬猫について科学的に正しい情報発信を行っている。Syneos Health Commercial 所属MSL、サーカス動物病院 学術、アニー動物病院 非常勤獣医師。

見落としがちな危険①:時間帯による地面の温度と熱中症リスク

田舎道で散歩する柴犬

夏の散歩でまず気をつけたいのは「時間帯」です。気温が高い昼間はもちろん、夕方でも地面がまだ熱を持っていることが多く、犬の足裏(肉球)には大きな負担がかかります。特にアスファルトやコンクリートは、外気温よりもさらに高温になるため、低い位置にいる犬は私たち以上に暑さを感じているのです。

また、犬は人間のように汗をかいて体温調節をすることができません。パンティング(ハアハアと息をする)によって体温を下げますが、湿度が高いとそれもうまくいかず、すぐに体温が上がってしまいます。熱中症の初期症状には、激しい呼吸、舌の色の変化(赤〜紫)、ふらつきなどがあり、重症化すると命に関わることも。

散歩は、日の出前後や日没後の気温が落ち着いた時間帯を選ぶようにしましょう。また、実際に外に出る前に手の甲や手のひらを地面に数秒置いてみて、「熱い」と感じたら犬にとっても危険な温度です。こうしたちょっとした確認が、犬の命を守ることにつながります。

見落としがちな危険②:水分不足と屋外での過ごし方

水を飲む犬

「家でお水を飲んだから大丈夫」と思って出かけるのはNG。夏の散歩では、こまめな水分補給が命綱です。特に暑い日は、散歩中15〜20分おきに少量の水を与えるのが理想的。犬は私たちよりも体温が上がりやすく、熱中症になるスピードも早いため、のどが渇く前の水分補給が重要です。

また、直射日光の当たる道を避け、なるべく木陰や建物の影など、涼しさを感じられるお散歩コースを選びましょう。公園などでは、木陰で休憩する時間を意識的に取り入れることで、犬の体への負担を大幅に軽減できます。短時間の散歩を複数回に分けることも有効です。

加えて、屋外での遊びすぎも注意ポイントです。ボール遊びやランニングは犬が飼い主の期待に応えようと無理をしてしまうことがあるので、過剰な運動は避けましょう。

見落としがちな危険③:肉球の火傷と日焼け、そして野外の思わぬトラブル

アスファルトの上に立つ犬

夏のアスファルトは、人が靴を履いていて気づかないうちに60度近くまで温度が上がることもあります。その上を裸足で歩く犬の肉球は、火傷を負いやすくなっています。歩いたあとに足を舐め続けていたり、歩くのを嫌がったりする場合は、肉球をやけどしている可能性があります。必要に応じて、犬用のブーツやパウバーム(肉球用保護クリーム)で保護してあげると安心です。

さらに見落としがちなのが「犬の日焼け」です。特に鼻や耳、薄毛の部分は紫外線の影響を受けやすく、皮膚炎や皮膚がんのリスクも。人間用の日焼け止めは成分的に犬には有害なものが多いため、ペット用のサンスクリーンを使用してください。

加えて、夏の散歩では虫や野生動物にも注意が必要です。草むらや川辺では、マダニやハチなどの危険な生き物に遭遇することもあります。水辺では、釣り針の放置にも注意が必要です。知らずに飲み込んだり足に刺さったりすると、命に関わる事故に繋がります。

まとめ

早朝に散歩する犬

夏の散歩は「いつも通り」では通用しない季節です。犬にとっての安全を最優先に、時間帯や地面の温度、水分補給、肉球や皮膚の保護など、多くの配慮が必要です。小さな心がけの積み重ねが、愛犬の命を守ります。

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