犬のパラインフルエンザウイルス感染症について
犬もインフルエンザにかかることをご存じでしょうか?実は犬には「パラインフルエンザウイルス感染症」という、インフルエンザに似た症状を引き起こす病気があります。
人間のインフルエンザとは異なり、犬特有のウイルスが原因ですが、呼吸器系に大きな影響を与えます。
本記事では、犬のパラインフルエンザウイルス感染症の症状や治療法、予防方法などについて、初心者でもわかりやすく解説していきます。
パラインフルエンザウイルス感染症とは?
パラインフルエンザウイルス感染症は、犬の呼吸器に影響を与えるウイルスによって引き起こされる病気で、主に犬同士の接触や空気中の飛沫を通じて感染が広がります。人間のインフルエンザと混同されがちですが、実際には別のウイルスが原因となっており、犬に特有の病気です。
感染が広がりやすい場所としては、ペットホテル、ドッグラン、動物病院などが挙げられます。特に犬同士が集まる環境では感染リスクが高くなるため、注意が必要です。
症状
パラインフルエンザウイルス感染症にかかると、犬は風邪に似た症状を示します。代表的な症状は、乾いた咳や鼻水です。
咳は特に夜間や安静時に悪化しやすく、ひどくなると痰が絡むこともあります。また、透明または黄色っぽい鼻水が出ることが多く、犬の鼻がいつもより湿っていることが多くあります。感染した犬は食欲が落ちることが多く、発熱や元気の低下も見られることがあります。
検査と診断
パラインフルエンザウイルス感染症が疑われる場合、まず動物病院で診察を受けることが大切です。診断には、まずは症状をもとに獣医師が診断を下しますが、必要に応じて検査が行われます。
初期対応としては二次的な細菌感染防止のために抗菌薬の投与などにより治療がされます。咳止めも検討されるものの、安易な咳止めの処方はかえって治りを遅くすることがあるため注意が必要です。例えば、PCR検査によってパラインフルエンザウイルスが体内に存在するかどうかがわかります。
治療法
パラインフルエンザウイルス感染症には特効薬はありませんが、治療にはさまざまな方法があります。軽度の場合は、安静にさせ、水分や食事を十分に与えることで回復を助けます。しかしながら、症状が重い場合や免疫力が低い犬、子犬に対しては、追加の治療が必要です。
二次的な細菌感染が発生することもあるため、抗生物質を処方されることがあります。咳がひどい場合には、獣医師の指導のもとで鎮咳薬が使われることもありますが、薬の使用には慎重さが求められます。どの治療法を選択するかは、犬の症状の程度や健康状態に応じて決定されます。
ワクチンと予防
犬のパラインフルエンザウイルス感染症を予防するためには、ワクチン接種が有効です。特に、犬同士が集まる機会が多い犬(例えば、ドッグランやペットホテルに頻繁に行く犬)にはワクチン接種が強く推奨され、ワクチン未接種の場合は受け入れを断られるペットホテルやドッグランも少なくないです。
しかしながら、免疫抑制薬を使用している犬に関しては注意が必要です。病気の治療のために免疫を抑えるような薬を使っている場合、ワクチンの効果が減少することがあります。免疫抑制薬を使用している犬には、ワクチン接種の前に獣医師と相談することが大切です。
人間のインフルエンザとの違い
犬のパラインフルエンザウイルス感染症と人間のインフルエンザは、症状や感染経路にいくつかの違いがあります。
まず、犬のインフルエンザの原因はパラインフルエンザウイルスという別のウイルスであり、人間のインフルエンザとは異なります。また、犬のインフルエンザは犬同士でのみ感染し、人から犬への感染は確認されていません。人間のインフルエンザにかかることはありませんが、犬同士で感染が広がるため、犬の集団生活を送る犬には特に注意が必要です。
まとめ
犬のパラインフルエンザウイルス感染症は、犬同士の接触や飛沫を通じて感染する呼吸器系の病気で、風邪に似た症状を引き起こします。
症状が軽度であっても早期に治療を行うことが回復への近道です。特に、免疫力が低い犬や高齢犬では、症状が重症化することがあるため、適切な治療が必要です。
ワクチン接種によって予防が可能ですが、免疫抑制薬を使用している犬に関しては、事前に獣医師と相談することが大切です。犬の健康を守るために、早期の発見と適切な治療が非常に重要です。