️我が家のウェスティに皮膚症状を発見したら
ウェスティはアトピーがとても多い
アトピー性皮膚炎は、世界中で10~20%の人々に影響を与える、慢性的な炎症を示す皮膚の病気です。
このアトピー性皮膚炎ですが、実は人間だけでなく犬にもあり、特にウェスティなどの犬種では非常に高い有病率が確認されています。ウェスティにおけるアトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因が関与していることがこれまでの研究からわかっています。
アトピー性皮膚炎は、アレルゲン(ハウスダストマイトや花粉など)に過剰に反応する免疫系の異常が発症の原因の一つと考えられています。
人間と同様に、犬の体でもアレルギー反応が皮膚に現れ、かゆみや炎症が起こります。ウェスティは、このアトピー性皮膚炎が特に多い犬種として知られており、スイスで行われた研究では、ウェスティにおけるアトピーの有病率が52%にまで達することが報告されています。
つまり、この研究では2頭に1頭がアトピーであったという驚くべき研究結果が報告されたということです。これは、他の犬種に比べて非常に高い割合です。
また、ウェスティは、原発性脂漏症(生まれつきの皮脂腺の過剰な発達で、皮膚がべたついてしまう病気)や、マラセチアという皮膚の常在酵母菌が関与する皮膚病に同時にかかってていることも多く、これらの病気がアトピー性皮膚炎を複雑にします。
特にマラセチアは健康なウェスティの皮膚にも比較的多く見られることがあるため、マラセチア 皮膚炎やアトピー性皮膚炎の診断時には注意が必要です。
ウェスティの皮膚症状を見た時に気をつけたいこと
アトピー性皮膚炎の最も典型的な症状はかゆみで、全身を足でかいたり、犬では足が届かない部位は舐めたり噛んだりすることが多く、これが原因で皮膚に炎症や赤み、湿疹が現れることがあります。
つまり、症状の最初は痒みであり、犬自身が痒みで皮膚をかいてしまうことではじめて皮膚炎がみられるようになるということです。
犬がかゆがっている様子を見かけた場合は、できるだけ早期に原因を特定することが重要です。犬自身が皮膚をかいたり舐めたりすることで皮膚が傷つくと、二次的な細菌感染を引き起こす恐れもあります。
アトピー性皮膚炎が進行すると、皮膚が乾燥してフケがでたり、脱毛して皮膚が黒くなったりします。さらに進行すると、犬の皮膚が、象の皮膚のように分厚くなるなどの症状が見られるようになります。
特に脇や股、足の間、顔周りなどの皮膚にシワができやすい部位に皮膚症状が現れやすく、乾燥した皮膚にひび割れが生じることもあります。このような症状が見られた場合、まずは適切な診断・治療と、皮膚の保湿が必要です。
ウェスティはアトピー性皮膚炎によって耳の中に炎症、いわゆる外耳炎を起こすことも多く、後ろ足で耳を頻繁にかいていたり、耳が赤くなり、臭いが発生している場合は、耳の他には何も皮膚症状がない場合であってもアトピー性皮膚炎の疑いがあります。
また、ウェスティの皮膚ではマラセチアという常在酵母菌が増殖しやすいです。さらに、生まれつき皮脂腺が多かったり、皮膚炎により皮脂腺が刺激されることで皮膚のべたつきが強くなっている場合は、特にマラセチアが増殖しやすく独特の臭いを発することがあります。
マラセチアが原因の場合、薬用シャンプーや抗真菌薬の一時的な使用も検討されます。アトピー性皮膚炎とマラセチア皮膚炎は併発することが多いため、多くの場合、治療の初期では両方の治療が求められます。
さらに、ウェスティは食物アレルギーを併発することが多く、食物アレルギーが原因で皮膚に炎症が現れることもあります。このため、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを併せて考慮する必要があり、食物アレルギーが疑われる場合は除去食試験を試みることも有効な方法です。
️まとめ
ウェスティのアトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因が大きく影響しています。症状にはかゆみ、炎症、脱毛、乾燥などがあり、間擦部(脇や股などシワになりやすい部位)に炎症が現れることが多いです。
また、食物アレルギーやマラセチア感染も併発しやすいため、診断と治療には動物病院での慎重な対応が求められます。