深夜徘徊とは何か
徘徊とは、認知の障害やストレスなどが重なることで、絶えずうろうろとさまよい歩くさまを指します。客観的にみると目的もなく歩き回っているだけに見える「徘徊」ですが、近年では高齢者の徘徊についても、ご本人にはしっかりとした目的があることが多いことが分かっています。
長年農業に従事していた人の場合は畑や田んぼを見てくるという目的で動いている場合もあるでしょうし、会社員をしていた人の場合は出勤しようとして動き回ることもあるそうです。また家の中でなにか探し物があるからと動き回っていることも。
これらの行動は本人が思った際に表れますが、現実の時と場合にふさわしい行動ではないため外側から見ると当てもなくさまよっているように感じてしまうのです。
犬の場合も老化で認知症が進むとうろうろと家の中を徘徊し始めることがありますが、こちらも「ごはんを探している」「トイレを探している」「お気に入りの場所に行こうとしている」などという本人なりの目的があっての行動かもしれません。
しかし動き回っているうちに本来の目的を見失ってしまったり、目的を果たすための行動を起こすことができずにただ歩くだけになってしまっていることもあります。
また徘徊らしき行動が始まった際、うちの犬は年も年だからと全て認知症のせいにしてしまうことも危険があります。実は違う病気のせいだったということもあるため、いつもと違う行動が目立つようになったら動物病院に相談してみてください。
深夜徘徊の対策
前章で説明しましたように、飼い主にはなかなか負担の多そうな犬の徘徊ですが、単純な老化からくる認知症であった場合、深夜を含む徘徊は「ある程度仕方ないこと」と割り切る必要があります。なぜなら、本人(犬)に目的がある以上やめさせようとするのは難しいでしょう。
なお、筋力の維持のためにも歩くことそのものは大切なのは間違いありませんので、犬や飼い主に負担が少ない歩かせ方を考えるとよいかもしれません。
危険を排除する
認知機能が低下しているうえに体の自由が利かないことが多いため、徘徊をしている犬はちょっとした障害物などに躓いたりしてケガをしやすい状態です。歩き回る範囲から危険なもの、躓きやすそうな段差などをなくしてあげましょう。滑りやすい床材も滑り止めなどをつけてあげるとよいようです。
また危険を排除するという以外に行動範囲を管理する方法もあります。
徘徊をする犬たちはなぜか方向転換が苦手です。部屋の隅っこへ歩いて行って行き止まりになった際にくるりと方向を変えて歩くことができません。すみや角にはまってしまって動けなくなってしまうこともあるため、丸く設置したペットサークルなどの中で歩かせてあげてもよいでしょう。
もしそのようなペットサークルが手元にない場合、お風呂のマットをサークル替わりにすることもできます。柵のように隙間がないので足を引っかけたりする危険がなくなります。
行動範囲を管理することは、見守る側の人間の負担も軽くしてくれるためお勧めです。
歩き回る目的を果たさせる
犬が歩き回る目的を考えます。ごはんでしょうか、トイレでしょうか、それとも何か不安があるのでしょうか。
認知症の場合は自分が今どこにいるのか、時間はどうなのか、お腹の減り具合が分からないなどを知覚しにくく、常に「なんだか不安」という状態にあります。
まずはその不安を和らげるために声をかけて安心させてあげたり、ご飯をちょっと食べさせてあげたりしてみるのも良いかもしれません。ストレスが緩和されると徘徊の頻度が減ることもあるようです。
まとめ
日中うとうとしている時間が増えたかと思うと夜に徘徊を始めた、という場合はまず一回動物病院へ相談し、それが脳などの病気ではなく認知症からくる夜間徘徊であるかどうか確認をしましょう。
そしてもし認知症と診断された場合は、長く続く老犬介護を見据え、飼い主さんが無理なく介護に付き合えるように対策を考えていくことが大切ですね。